研究の軌跡 目次へ 目的別メニュー

オフィスヨガの機会が増え、瞑想について研究を深める

瞑想に関する記事を書いていたこともあり、企業の方からマインドフルネスに関するレッスンをしてほしいという依頼が少しずつ来るようになった。

この時点では、「瞑想」に関してはある程度知識と実践を重ねてきたが、「マインドフルネス瞑想法」そのものに関してはそこまで詳しくなかった。

しかし、どうも調べてみるとビジネスの匂いのする自己啓発的な情報が多い。こういう場合は、源流へさかのぼってみる。

そのルーツはヨーガや禅と同じのはずだというのは気づいていたが、実際にどんな経緯でアメリカへ伝わって今のマインドフルネス瞑想法になったのかということは知らなかった。

ひとまず「マインドフルネス」と名前のついた本の中で、目に止まった下記の本を読んでみた。

「マインドフルネス」バンテ・H・グナラタナ (著)

僧侶の人が書いているので、それなりにマジメな本だろうという安易な感じで読んでみた。

ここにはヴィパッサナー瞑想について書かれていた。瞑想に関する本の中で最初に読んだスマナサーラ氏の本以来、久しぶりにヴィパッサナーという言葉に再開した。

「ヴィパッサナー瞑想 図解実践: 自分を変える気づきの瞑想法【決定版】」アルボムッレ・スマナサーラ (著)

日本で「ヴィパッサナー瞑想」という言葉を使うと、京都や千葉でやっている「10日間なにもしゃべらない合宿」のことだと思っている人がとても多いようだったので、あまり私はその言葉を使わないでいた。

久しぶりに出会ったヴィパッサナー瞑想に関する本。これはとても実用的な瞑想の本だった。

こういう場合には、こうするべし、という事例がたくさん丁寧に解説されていた。ヴィパッサナー瞑想というのは、技法としてはとてもシンプルなものなのだが、「ありのままに観る」ということを妨げる要因は様々であり、人それぞれ異なる。この本では丁寧すぎるぐらいにそれらの要因への対策を教えてくれていた。

どうやら作者であるグナラタナ氏は、スマナサーラ氏と同じスリランカの僧侶らしい。

グナラタナ氏は、先のマインドフルネス本の続編として下記の本を書いていた。

「マインドフルネスを越えて」バンテ・H・グナラタナ (著)

この本はとても難解で、スマナサーラ氏の本でも書かれていたサマタ瞑想(集中の瞑想)を究極に深めていく過程を示している。

これは、アメリカで用いられている技法としてのマインドフルネス瞑想とはかなりかけ離れているような印象を受けた。仏教的な文言も多数出てきて難しい。しかし集中を妨げる様々な要因への対策を、この本も丁寧に解説してくれていた。

マインドフルネスを伝えた人物として有名なティク・ナット・ハン氏は、ベトナムの禅僧なので、北伝仏教と南伝仏教、実はかなり異なっているようだ。ということもこの時点ではあまり知らなかったが、ひとまず私は先に南伝仏教のほうのマインドフルネスを研究していたことになる。

なるほど、昔の「ヨーガ」もこんな感じで、いろいろな宗教で用いられていたけれど実践内容はそれぞれの教義に応じて変化していったのかもしれない。

さて、実際にマインドフルネスを教える場合、どこをとっかかりにするか。いきなり心の課題に入っていっても、その課題は人それぞれ異なりすぎていて、大人数向けのレッスンではとても基本的な原則くらいしか伝えられない。本当はひとりひとりにレッスンしてあげたいところだが、オフィスでのレッスンではそうもいかない。

いろいろやり方を考えてみた末に、やはりアシュターンガヨーガ(8支則)が有効そうだと思うようになった。

集中・瞑想へ至る前に、道徳があり、姿勢があり、呼吸がある。中でも、「姿勢」は課題や進歩がわかりやすく、ビジネスマンにとっては印象を良くすることにもつながるし、健康にも結びつく。

姿勢を整えるために、チェアヨガなどオフィスでできる動きなどをいろいろと考えていった。それを行う過程で、集中(サマタ)と観察(ヴィパッサナー)を行う、そして気づき(マインドフルネス)の精度を高める、という方向性にした。

姿勢が整ったら、次は呼吸を整える。そして集中・瞑想へ向かっていく。

やはり8支則はよくできたシステムである。

 

(次)初心にかえってヨガにふれるため、母校に顔を出す

(前)背骨を整えるセルフケア方法を探して、操体法と沖ヨガを調べる

研究の軌跡 目次へもどる

サイト内検索

コラムを探すページへ