クンダリニーやチャクラなどについて調べていくと、その通り道である中央のスシュムナーナディは、背骨にとても関係しているようだ。
そのためクンダリニーヨーガのアーサナには、背骨を整えることを目的としていると思われるものが多い。
背骨は人それぞれ少なからず歪んでいる。背骨を整えると、姿勢も整い、神経の流れが良くなって内臓や内分泌にも良い影響があり、四肢を含めた全身をもっとうまく動かせるようになるだろうというのは容易に想像できる。
背骨を整えるセルフケア法としては、昔からピラティスをやっていた。
参考:ヨガとピラティスの違い
参考:ヨガやピラティスで使われる主な呼吸の種類・使われる筋肉
しかしピラティスはエクササイズ的なイメージがあり、人によっては、もっとゆるいやり方で背骨を整えられたほうが良いかもしれない。
というわけで他の方法も探してみたところ、不思議な体操のような「操体」というものを見つけた。
非常に古風なWebサイトに載っていたのだが、そこには「動診」という考え方があり、興味を引かれた。
私もヨガのアーサナを「診断」でもあり「治療」でもあると捉えていたのだが、操体も同じように、特定の動きをして歪みをみつける「動診」を行い、それを整えるように人それぞれ違うやり方で動いていく。その基準は、「快」の方向へ向かって動いていくという。
たとえば、アルダマツェンドラーサナのようなツイストの動きをしたとき、たいていの場合は左右どちらかやりにくい側がある。いままで、歪みをなおすというと、やりにくい側を多くやるべきだと思っていたが、操体では真逆のやり方をしていた。そして、その通りにやってみたところ、本当に左右のバランスが整ったのである。これは重大な発見だった。
この原理は、たびたび取り入れており、プライベートクラスなどでは左右あるアーサナの保持時間を変えて行ってもらったりしている。
操体の考え方はとてもシンプルで、その古風なサイトだけでも十分に原理がわかった。しかしひとまず本も一冊読んでみようと思い、下記の本を読んでみた。
「操体法―「ひずみ」を正せば体が治る (らくらくブックス) 」佐藤 武 (著), 池田 克紀 (著)
動診などひととおりの動きが載っていたが、もう少し根本的な考え方を知りたいと思ったので、創始者である橋本敬三氏の本を読んでみることにした。最近は売られていないようだったので、古本で手に入れた。
「万病を治せる妙療法―温古堂先生 (健康双書)」橋本 敬三 (著)
この本は、非常に参考になった。やはり操体とはただの体操ではなく、「息・食・動・想・環」という生活全てに関する基本的な原理が書かれていた。全てにおいて、「快」を目指していくのである。
そういう意味ではとてもシンプルな理論であり、特別に技術を習得する必要もなく、コツがわかれば人に行ってあげることもできる気がした。
ヨガの考え方と近い部分もあり、操体法のヨガの比較は下記の記事にも書いた。
参考:操体法とヨガの比較 〜息・食・動・想・環を気持ちよく〜
この記事でも紹介したが、同時期に沖正弘氏の本も読んでいた。
小さな本だが、スゴい表紙である。
最初は「目が良くなるヨガ」を探していたときに、彼の本に出会った。彼の本を再び読もうと思ったキッカケは、本山博氏の本などにも載っていた、現代ヨガと異なる、少し前の時代に日本に伝わったヨガに興味が向いたからである。
この本も独特なアーサナがたくさん載っていた。本山氏とも異なり、これらはおそらく沖氏が独自に編み出したものも多く入っているのだと思われる。ここでも動的アーサナがたくさん出てくる。
中でもとても役立ったのが「背骨を整える動き」である。しかも椎骨ひとつひとつについて、それぞれを整える動きがさらっと載っていた。この本はとても重要なことをさらさらっと書いている。根拠があるのかどうかは別としてだが、食べ物に関する理論もさらりと重大なことが書かれている。
また、8支則も独自にアレンジして10支則に変えて示したりしていた。あるいはそのように教えている師匠がいたのかもしれないが、あまり他ではみないような理論やアーサナが、沖ヨガではたくさん示されている。
操体法と沖ヨガ、キラキラした現代ヨガと比べると地味ではあるが、背骨を整えるために有効なヒントをたくさん与えてくれた。
これらのテクニックを使うと背骨はたしかに一時的に整う感じがするが、根本的な癖を直さなければ、またすぐに歪んでしまう。本当に「快」な体の使い方を身につける、あるいは思い出す。まだまだ先は長い。