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研究の軌跡_20240720 補瀉の二元性を超えるヒーリング

いろいろなヒーラーの本を読んできたが、結局私が一番よく使っている技法は、誰に教わるともなく自然に行っているもののようである。

なぜこのヒーリングが効くのか?ということについて、少し考えが進んだので、書いておくことにする。

虚実・補瀉

気を扱う治療の場合は「虚実」と「補瀉」という概念が重要になるが、私のヒーリングの場合はとくにそれを意識せずとも、虚実どちらの場合にも効果があるように思える。

参考:なかなか治らない痛みなどに、「虚実」「補瀉」を意識して適切な治療をする

見た目上は気を送っているように見えるが、気を送っているのであれば、気が過剰で滞っている「実」の部分には逆効果になるのか?と疑問に思ったこともあるが、そういうわけでもないようだ。

がんばりすぎて滞っている部分にヒーリングをすれば、そこから気は流れて必要なところへと行き渡るようである。

ポリヴェーガル理論からのヒント

これはなにが起こっているのか?と考えてみると、ポリヴェーガル理論でも重要とされている『「安心(安全)」を感じた部分は、変化を始める』というのがひとつヒントになりそうである。

固まっている部分は、頑張りすぎてかたまっていたり、力を使い果たしてかたまっていたり、どちらの場合もあり得るが、どちらにしてもその部分は「危機的状況」を感じているように思える。

まず「安心」であると認識しなければ、どんなに言葉で励ましたところで変化は拒絶されてしまう。

それはロジカルではなく、ソマティックなアプローチの方が有効なことが多いのだろう。

言葉でくどくど言うよりも、「まず手を当てて、深呼吸せよ」とか「気になる部分の最寄りのチャクラに集中せよ」などと導くほうが、はるかに事が進むかもしれない。

虚実・補瀉の二元性を超える

虚実・補瀉の考え方は、二元性に基づいているため、その施術も二極化していて、それぞれの状況にあったものを選ばなくてはならない。

しかし、虚実どちらの状況にも効くものとして、「安心感」というものがあるのだろう。言葉としての表現は様々あるかもしれないし、言葉にしてしまったらもう正確な意味は表せないのかもしれないが。

これは二元性を超えているという意味で、真の愛にも近いもののように思える。

「どんな結果になるにせよ、あなたを見守っている」という、親の心にも似た、良し悪しを超えたエネルギーである。

私のヒーリングにおける心の状態

現に私も、「私の力で治してみせる!」とか「ヒーリングで一稼ぎしてやる!」といった気持ちは全くない。

どんな感じかというと、やはりこれも正確に言葉で表すことはできないが、「幸せであれ」というような感じである。

あるいはもっと細かく言えば、「〜であれ」という祈りの文言は、いつまで経ってもその理想的な状況との乖離があることになるため、「〜である(本来は)」というような、アファーメーションに近いような感じである。

手技のヒーリングを行わない場合でも、レッスン前には「ここに来る人は、幸せである」という想念を込めて、香を焚きながら3回転半廻すというような祈りを行うようにしている。もしかするとこれもいずれは必要なくなるのかもしれないが、今は自然にそれをやっている。

ヒーリングの際は、言葉は全く頭に浮かんでいないが、想念としてはやはり「あなたは大丈夫(治る力がある)」という感じかもしれない。私の力を送る、治してやる、というような気持ちは一片もない。

安心感や愛といった言葉に近いような、二元性を超えたエネルギーで、痛む部分を包むことによって自然に整っていく、というような感じのように思える。

二元性を超えたエネルギーとは何なのか

虚実どちらにも効くということは、神智学などの考え方で言えば形をもたない次元、そして二元性を超えた次元のエネルギーを扱っているということになるかもしれない。

参考:神智学大要 第1巻 エーテル体/アーサー・E・パウエル(編) 仲里 誠桔(訳)|書籍紹介

その次元は少なくとも物質次元ではないし、補瀉の考え方のある「気」の次元の話でもない。

「魂」の次元という言い方もあるが、魂も霊もソウルもスピリットも言葉としては曖昧で、捉え方は様々である。

そのあたりになると「愛」というものも扱われるようになるが、それこそ言葉としての捉え方は人それぞれ異なる。私は「愛」については「好悪を超えた」「平等の境地」「ニュートラル」といった表現が近いように感じるが、それもまた言葉にした時点で不正確になってしまう。

もはやこのあたりにくるとロジックを超えているが、もし探求を進めていく中で「これはロジックでは表せないな」というものに出会ったら、微細な次元にさしかかっている兆しかもしれない。

そういった次元に気づき、その次元のエネルギーや情報にアクセスするには、「私とは何か」「死とは何か」といったことに意識を向けるのが、ひとつのきっかけになると思われる。

ヒーリング研究の課題

ヒーリングを行っているその場では、ほぼ確実に良い反応があるが、やはり本人のマインドや呼吸が変わってしまうとまた癖が出てきてしまう。

とはいえ表面的なマッサージよりは、別の次元にアプローチできている気はする。そこで得た気づきを、本人が活かせるかどうか。そこも含めて導けるのか、あるいはそれは本人に任せて導くべきではないなのか。そのあたりを研究中である。

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