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神智学について調べる1 〜神智学大要〜

ハタヨーガのクンダリニーチャクラについて調べていたら、偶然出会った「神智学」。

これまでいろいろ調べたり感じたりしてきた微細身に関するヒントも得られそうな気がしたので、研究してみることにしよう。

見えないものに関する情報は、あやしいものも多い。しかし偶然最初に出会った本「神智学大要」という本は、とても誠実な人が書いているように思えた。

「神智学大要 第1巻  エーテル体」A.E. パウエル (編集), 仲里 誠桔 (翻訳)

図書館で見つけたのだが、この本はAmazonなどで調べても普通には売っていなかったり、アホみたいに高い値段がついていたりする。いろいろ探して、なんとか現実的な値段で古本で5巻まで全て手に入れた。

5巻に分かれているわけだが(改訂版は2巻以降が上下巻に分かれている)、それぞれが異なる微細身およびそれを取り巻く世界、そして太陽系までを説明しているらしい。

これまで意識してきた「気の体」はどうやら神智学では「エーテル体」と呼んでいるようだ。

さらにそれとは別に、感情を表すアストラル体、思考を表すメンタル体などがあるらしい。コーザル体というものは、ヨーガでも出てくる。これらを含めて人間を7つの層で表すようだ。7つの層といえば、バーバラ・アン・ブレナン氏のオーラの考え方を思い出した。若干用いている言葉は違うが、同じようなものを表しているのだろう。

「光の手〈上〉」バーバラ・アン ブレナン (著)

ブレナン氏の考え方と同じように、各体にはそれぞれチャクラがあるらしい。

しかし、神智学のチャクラはヨーガのチャクラとは結構異なるシステムのようだ。すべてまっすぐ並んでいるわけでもないらしい。脾臓チャクラというものがあり、そこからプラーナを吸収して、全身に行き渡らせるという。そのかわり、ヨーガでいう仙骨部分のチャクラは定義されていない。

これらのチャクラは尾骨先端に眠っているクンダリニーを呼び覚ますことで活性化させる、といった理論はハタヨーガと同じのようだ。というよりハタヨーガから持ってきたのかもしれない。どちらが先なのかよくわからないが、微妙に異なるところもあったりするのが興味深い。

チャクラが活性化していれば、エネルギーはうまく全身に行き渡る。また、各体の間でうまく連携ができるようになる。人はふつう、感情や欲求と、意志や思考と、肉体の健康状態がバラバラになっていることが多い。これらを調和させて用いることができれば、もっと自然にうまいこと生きられるようになりそうだ。神智学が定義している各体のモデルは、そのための良いヒントになりそうである。

たしかに、欲を手放してアストラル体を鎮めたり、意志を強く働かせてメンタル体を活性化したりすれば、エーテル体を通して肉体にも影響が出てくることは想像できる。私が感じていた「透明感」というのは、各体がよどみなく連携できている状態なのかもしれない。

各体をうまく用いることで、念力やテレパシーなどもできるようになるといった説明もされている。この本は理論の話がメインなので、具体的な行法については詳しく書かれてはいないが、行法として最も優れているものとして「ラージャヨーガ」がよく挙げられているのが興味深かった。

神智学の人々や、魔術を扱う人々なども、ラージャヨーガの8支則に沿った行法をしきりに提唱しているのである。最終的にはやはり瞑想がキーになってくるので、瞑想に至るためのステップとして8支則の考え方は優秀なのだろう。ヨーガスートラを一旦まとめておいて良かったと思う。

さて、実際に神智学大要を読み進めていったが、最初はサッパリわからないこともあった。何度も読んでいるうちにざっくりは理解できたが、まだまだ1巻ですら読み返すことが多い。わからないということは、自分の準備もできていないのかもしれない。思考の癖を捨てて、純粋にならねばならない。

こういう難解な理論に出会ったとき、「なぜこの人はこういう理論を作らねばならなかったのか」といった作者の心情にシンクロすることを試みることが多いのだが、神智学に関してはあまりに複雑なので、わざわざ考えて作ったというふうには思えない。つまり世界を観て「感じ取った」ということなのだろうか。

感じ取ったのだとしたら、人によって少しずつセンサーが異なっていて、チャクラの場所や形などの解釈が少し異なるものわからなくはない。

いったん他の神智学者(神智学徒、と呼ぶことが多いようだが)の本も読んでみることにしよう。

 

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