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アシュタンガヨガ(アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ)を始める

ヨガを教え始めた時点では、「◯◯ヨガ」といった流派の種類はほとんど知らなかった。

少しずつ高度なヨガも実践していこうと思い、通っていたヨガスタジオのレッスンの中で、いままでは敬遠していた運動量の多いクラスを受けるようにしていった。

その中に、アシュタンガヨガがあった。

他のクラスに比べて、とても人数が多くて人気のあるクラスだった。参加している人たちは、他のクラスと同じように女性ばかりではあったのだけれど、明らかに「やってそう」な人が多くて、なんだか場の雰囲気がだいぶ違っていた。

最初は端っこでひっそり受けてみようと思ったが、流れを覚えていない人は端じゃないところで受けるといいですよと先生に言われたので、真ん中らへんに移った。

その理由はすぐに分かって、アシュタンガヨガの立位ポーズはほとんど横を向いてから行うので、端の人は見本を見られないのである。

はじめてのアシュタンガヨガ

クラスの最初に、マントラを唱えた。マントラ自体はインストラクター講座でも毎朝唱えていたし、そのスタジオの他のクラスでもマントラがあったので、唱えること自体に抵抗はなかったが、アシュタンガヨガのマントラはメロディーもなくて、ちょっと異様なお経のような感じがした。

そしておもむろに太陽礼拝から始まる。先生も呪文のような掛け声を唱えている。周りの人は、シューシューと不思議な音を立てながら呼吸している。

序盤は知っているポーズも多かった。フロー系のヨガは好きだったので、知っているポーズが独特なヴィンヤサ(つなぎ方)で出てくるのは興味深かった。

最初にビックリしたアーサナは、アルダバッダパドモッターナーサナである。

アルダバッダパドモッターナーサナ

このころは「パドマーサナ(蓮華座)」があまりできなかった。インストラクター講座でパドマーサナは教わっていたものの、あまりそこに多くの時間は割かれず、その後練習もしていなかった。

パドマーサナ(蓮華座・結跏趺坐)

アシュタンガヨガの中で最初に蓮華座の形が出てきて、しかも片足立ちという不安定な状態で行い、後ろから腕を回して足先をつかみ、さらに前屈もするというアーサナである。蓮華座が満足に組めていない場合は、前屈はしてはならない。

最初に受けたときは、このアーサナの印象が強くて、その後のことはあまり覚えていない。アシュタンガヨガの中でも初級クラスだったので、ヘッドスタンドなどは入っていなかった気がする。

シルシャーサナ(ヘッドスタンド)

そして半分くらい時間が経ったときにかなり疲れていたし、ものすごい汗をかいていたので、これは最後まで行けるだろうか…と不安になった気がする。ただ、アシュタンガヨガは後半は坐位のアーサナが多いので、なんとか乗り切れた。

これはちょっと自分には早いかもしれないと思って、以後しばらくは受けなかった。

アシュタンガヨガはなぜ人気があるのか考え始める

引き続き、自分のレッスンについては日々内容を考えるのが楽しかったのだが、いろいろ考えるうちに、アシュタンガヨガはなぜあんなに人気があるのだろうと思うようになった。

世の中のヨガスタジオは、それぞれ独自の内容を考案し、それを元に独自の流派としての資格を作ったり、スタジオのクオリティを保つために、インストラクターにその内容を元にレッスンを行うように指示したりしている。その具体的内容の全貌は、一般には明かされないことが多い。特許があるわけでもないので、マネされたくないという思いもあるのだろう。

しかしアシュタンガヨガは、その内容が世界に明かされているし、世界中でみんな毎回毎回同じことをやっている。それなのに、週数回実践する人も多く、とても人気がある。

毎回少しずつレッスンをアレンジしないと飽きられてしまうかも、と工夫を凝らしていた自分にとっては、なぜアシュタンガヨガのやり方で人気が出るのか、最初はわからなかった。

アシュタンガヨガを本格的に始める

とにかくもっと自分で実践してみなければなるまい、と思って、ひとまず本とDVDを買ってみた。

「アシュタンガ ヨガ」リノ ミエール (著)

「ケン・ハラクマのアシュタンガヨガ プライマリーシリーズ」ケン・ハラクマ (出演)

アシュタンガヨガについて調べていると、ケン・ハラクマ氏がよく出てきた。後に、彼のところで教わることになる。

しかし、ここで示されている流れを全部実践すると1時間強かかる。それだけの時間をとって家で一人で実践するには集中力が持たなかった。しかもどんどん難しいアーサナが出てくる。でも流れは止まらない。

本を読んでも、流れの説明はわかったけれど、超人のような人たちがキレイなポーズをとっているのが見られただけで細かいやり方はさっぱりわからなかった。

これはやはりスタジオでレッスンを受けないと進めなさそうだ。というわけで再びスタジオでアシュタンガヨガのレッスンを受け始めた。

アーサナの名前や流れは最初のころはさっぱり覚えられなかった。他のレッスンに比べて、出る汗の量もすごかった。

疲れるけれど、とても爽快感があった。

同じことを毎回やっていくというのは、進歩がわかりやすい。少しずつできるようになっていくのが楽しい。

アシュタンガヨガの魅力に気づき始めていた。しかし坐位のアーサナはとても難しいし、正しい形がよくわからず、5呼吸で通り過ぎてしまうのでなかなか深められない。とはいえ最初のころは、あまり深くは考えていなかった。ただ流れに乗って動き続けるだけでも精一杯で、それだけで楽しかったのだと思う。

とりあえずアシュタンガヨガの中の初級クラスを受け続けていたので、後半のアーサナはいくつか省かれていて、シルシャーサナに初めて挑戦するのはそれからしばらく経ってからだった。

またアルダバッダパドマパスチモッターナーサナ以降の一連のアーサナの意味や、蓮華座のコツなどに気づくのも、さらに後のことである。

アルダバッダパドマパスチモッターナーサナ

 

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