アイアンガー氏のアーサナと、パタビジョイス氏のアーサナは共通するものが多い。ということは、その師匠がそれらのアーサナを教えたのだと思われる。
彼らの師匠であるクリシュナマチャリア氏は、現代ヨガの父とも呼ばれている人物である。
彼の著書は日本語訳されていないが、英語の本ならいくつか見つかった。
代表的な著書であるヨーガ・マカランダをざっと読んでみた。概要は下記の記事で紹介している。
参考:「現代ヨガの父」クリシュナマチャリア氏の主著「ヨーガマカランダ」の概要
たしかに現代ヨガでも行われているアーサナが多数紹介されている。とくに彼はヴィンヤサヨガを主に用いていたと思われており、現代のアシュタンガヨガの元になったと思われるヴィンヤサを行っている動画も残されている。
ではこれらのアーサナを、彼はどこから学んだのか?
理論の部分はヨーガスートラやハタヨーガプラディーピカーなどから引用して解説しているものの、アーサナなどの引用をしたという「ヨーガ・コールンタ」という文書は現存しておらず、バナナの葉に書かれていたので虫に食べられてしまったと言われる。ヨーガ・コールンタは数千年前の文書と言われ、アーサナはそれだけ伝統のあるものであるという根拠とされているが、どうもこのあたりが怪しく「作られた伝統」なのではないかと指摘されている。本当のところは、わからない。
ヨーガ・マカランダもまだ浅く読んだだけなので、もっと深く読んでみる必要があるかもしれない。
このあたりの研究は、以前紹介したマークシングルトン氏の本が詳しい。
「ヨガ・ボディ: ポーズ練習の起源」マーク・シングルトン (著)
あるいは、クヴァラヤーナンダ氏から学んだという考え方もあるようだ。たしかにクヴァラヤーナンダ氏も現代ヨガのアーサナを多数取り入れている。では、彼は誰に学んだのか…このあたりから、資料が少なくて探るのが難しくなってくる。
現存している資料としては、ヨーガスートラの時代にはアーサナはほぼ「坐法」としか扱われず、ハタヨーガの古典にも、現代ヨガのアーサナはほとんど見られない。
ただ現存していないというだけかもしれないし、真相はわからない。
わからない、ということはわかった。
いったん現代ヨガからさかのぼって調べていくことはやめておいて、古典的なところから「ヨーガ」というものについて調べてみるとしよう。