セルフケアやヨーガの勉強などのために、私が読んできた書籍を紹介していきます。
今回は、「クンダリニー/ゴーピ・クリシュナ(著)」です。
簡単に言うと、どんな本?
突然クンダリニーが目覚めてしまったときの大変な体験を綴った本です。
クンダリニー(クンダリーニ)はハタヨーガにおける重要な要素ですが、新興宗教などが扱っていたこともあり、超能力を目覚めさせるだとかいろいろな面で人々の興味を引くものかと思います。
クンダリニーは、師匠の指導のもとで慎重に準備を重ねて目覚めさせるべしとよく言われているものですが、著者のゴーピ・クリシュナ氏は瞑想を毎日かかさず行っていたところ不意に目覚めてしまい、かなりヒドい目にあっています。
この壮絶な体験談を綴った本は、クンダリニーの危険性を示す研究において頻繁に引用されています。
クンダリニー覚醒の方法を示した本ではありません。ただ、それを目指す人にとっても多くのヒントを含んでいることは間違いないかと思います。
どんな人にオススメ?
クンダリニー(クンダリーニ)について興味があって調べている人にとっては、「クンダリニー症候群」という単語をよく耳にするかと思いますが、そのあたりの危険性について知っておきたい場合は重要な体験談となるかと思います。
こういった体験談は個人によって大きく異なるので、必ずこのようになるというわけではありませんが、ひとりの人間に起こった凄まじい出来事として知っておくのは意味があるかと思います。
ハタヨーガや瞑想を実践している人にも、こういったことが不意に起こりうるということを知っておくのも良いかもしれません。
人間や世界に秘められた、まだ科学が解明できていない大きな力がすぐそこに眠っているということを、垣間見ることができるかと思います。
私個人の読んだ時期・感想
ハタヨーガに関する研究を進めていく中で、クンダリニーやチャクラといったものの関連で神智学のことを調べたり、インド・チベットの密教のことなどを研究するようになっていきました。
そんな中で、多くのクンダリニー関連の研究で引用されている情報源、として存在を知ったのがこの本です。
とくにハタヨーガの危険性や「クンダリニー症候群」などを語る際に、とてもよく引用されています。
不意に目覚めたときに彼が行っていた修行は、ハタヨーガや密教で行われているような荒行ではなく、蓮華を観想するシンプルな瞑想法だったようです。
そのときに彼が見た光景や体験した生理的な現象は、ものすごいものだったようで、ほんとに死にかけていました。ご家族も、大変だっただろうなぁという感じです。
その苦境を脱する鍵になったのは、ハタヨーガでも用いられるナディの知識だったようです。また彼の体験の中で興味深いのは、一般にクンダリニー覚醒に関係が深いとされるチャクラについては、行法の中では全く用いられていなかったということです。チャクラについては、クンダリニーによって帯電した神経叢が光り輝く様が、蓮華のように感じられるということを意味するのではないかと彼は述べています。
用語:ナディ(ナーディー)
用語:チャクラ
安全にクンダリニーを目覚めさせるには、心身ともに様々な準備が必要であるとされていますが、ナディの浄化をしっかり行っていない状態で目覚めさせるとこんな危険なことが起こる、という体験談をこの本は示してくれています。
死にそうな状況を脱した後、少しずつその力が彼の心身を変えていったようです。
クンダリニーの持つ力を、適切に活用していくことが人類の進化のために必要であると感じた彼は、本格的にクンダリニーの研究をするようになりクンダリニー研究財団を設立して、財団は現在各地に研究所を構えているようです。
神智学では、クンダリニーとプラーナ(生命エネルギー)とフォーハット(電気や熱など)は別のものとして扱われます。たしかに、プラーナは意識に従って動くのに対してクンダリニーは「個人の意識とは別に」「勝手に動き始める」といった印象を受けます。ただ、それは修練によってコントロールすることが可能なのだと思います。
クンダリニーは、ゴーピ・クリシュナ氏が覚醒後に体験したように、人の心身を大きく変える力を持っているのでしょう。うまく用いれば聖者のように「進化」することもあり、誤って用いれば悲惨な結果につながるのだと思います。
そんな力が、すぐそこ(骨盤底)に眠っているということを知りましたが、私もこの本を読んだ当時はまだまだ実感がありませんでした。その後、しばらく研究や実践をしていく上で、少しずつ彼の体験の意味を実感していくことになります。
クンダリニーに興味がある人は、慎重に直観を大切にしながら研究・実践を進めていくようにしてください。ハタヨーガもひとつの道ですし、アシュタンガヨーガ(8支則・ラージャヨーガ)、瞑想や坐禅もひとつの道で、達するところは同じでもそこに至る道は人それぞれ異なっていて良いのだと思います。なので、書物などで得られる基礎(顕教)と、師匠の個別指導(密教)によって修行を進めるべしとされているのでしょう。
私も可能な範囲で、役立ちそうな研究結果や体験を書いていくことにします。
「クンダリニー」の目次
- 光明世界への目覚め
- 生いたち
- 最初の危機
- 炎の蛇
- クンダリニーの謎
- 不思議なドラマ
- ヨーガとプラーナ
- クンダリニーの覚醒
- 精神と肉体
- 変わる意識の座
- 銀色に輝く風景
- 変身の過程
- 内なる進化のエネルギー
- 二度目の試験
- 新たな飛躍
- 生命の海
- 覚者と現実
- 至高意識の回路
- 進化への道
- 訳者あとがき