花粉症には、いろいろな原因があります。「いろいろ試してみたけれど、なかなか改善しない…ので、しかたなく薬でしのいでいる」という方も多いでしょう。
ただ、私も花粉症がありましたが今は改善できたので、いくつか試す価値のありそうな要素を紹介していこうと思います。
ご自分の体の変化を観察しながら、少しずつ試してみてください。
花粉症を起こす重要な原因の一つ、「自律神経の乱れ」とは
自律神経とは「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経を表し、ざっくり言うと交感神経は活発に動くための神経、副交感神経は体を休めて整えるための神経と言われます。
書籍紹介:自律神経の科学「身体が整う」とはどういうことか(ブルーバックス)/鈴木郁子 (著)|書籍紹介
人は本来、活動に合わせてこれらのバランスを自然にとれるようにできているのですが、ストレスや心身の疲れや緊張などによって、「切り替えがうまくできない」人が増えてきています。
花粉症は、花粉という刺激に対して過剰に免疫反応を起こしてしまうことによって起こると言われ、これはストレスなどによって自律神経のバランスが崩れることによって起こります。
そのため、花粉症の改善へつなげるために、自律神経の切り替えをうまくできるようにする呼吸法やヨガポーズを行うと良いかと思います。
体の内部の話なので、文字や写真だけでは正確なやり方が伝わりにくいかもしれませんが…試してみて気持ち良いと思えたものを1つでも習慣にしてみてください。
やり方を教わってみたいと思った方は、ベーシックヨガやシヴァナンダスタイルのクラスやプライベートレッスンで呼吸法をお教えしていますので、ぜひいらしてみてください。
自律神経の切り替えがうまくなる呼吸法
カパラバティ
まずお腹を使って強く鼻から連続で吐き出す呼吸法、カパラバティを行います。腹式呼吸を、強く速く行うような呼吸法です。
鼻腔を浄化するという基本的な効果や、頭蓋骨・背骨・みぞおちにたまった邪気を吐き出すという意味もあります。
みぞおちには、自律神経を切り替える重要なポイントである「太陽神経叢」があります。ここを刺激するように、みぞおち〜下腹部までお腹全体を動かすように息を吐ききるようにします。
片鼻呼吸法(アヌローマ・ヴィローマ・プラーナヤーマ)
自律神経を切り替える重要なポイントは、鼻です。人は両鼻から呼吸しているかと思いきや、メインで呼吸しているのは片側の鼻です。このメインの鼻の穴が、1.5〜2時間たつと勝手に入れ替わるようになっています。
ただ、これは意識的にコントロールすることもできます。人間、いつ危険にさらされるか分かりませんし。
しかし、眉間や顔面に力が入っていたり、目を使いすぎていたりすると、この切り替えのポイントがうまく働かなくなります。
たとえばずっと右鼻だけで呼吸してしまって、休みたいのに体が休もうとしてくれない、眠りが浅い、といったことが起こってきます。
この切り替えをうまくすることができ、また背骨の両側を通っているエネルギーライン(ヨガで定義されているエネルギーライン「ナディ」は目には見えないものですが、まさにこのあたりに主要な自律神経も通っています)を浄化して心身の働きを整えるという意味もある呼吸法が、片鼻呼吸法(アヌローマ・ヴィローマ・プラーナヤーマ)です。
≫片鼻呼吸法(アヌローマ・ヴィローマ・プラーナヤーマ)のやり方
胸式呼吸
おへそから下をコルセットで巻いたように引き締めたまま、おへそから上〜首の付け根のあたりまで、胸一杯に膨らませて呼吸します。
吸う時には肋骨を前後左右に広げ、肋骨全体を持ち上げるようにし、吐くときは肋骨を真ん中へ集めるようにコンパクトにして吐き切ります。肋骨は、想像よりもよく動くかもしれません。思い込みで固めてしまわないように。
座り仕事の人は、脇の下や胸の前側、肩甲骨の間などが固まっている場合が多いので、胸式呼吸を深く行うことを練習すれば、肩こりなども改善してきます。
吸うよりもまずは先に、肋骨をコンパクトに縮めてしっかり吐ききるということが大切です。そのときに使われる筋肉の存在に気づきましょう。
太陽礼拝を始めとした活発なヨガのポーズをするときにも、胸式呼吸で行います。お腹の力が抜けずに、背骨を伸ばしながら動けるので、体幹を鍛えるとともに腰痛を防ぐことにもつながります。
完全呼吸(フル・ヨギック呼吸)
呼吸法を体幹部分の動き方で分類すると、大きく分けて「腹式呼吸」と「胸式呼吸」があります。
横隔膜のあたりを境目にして、上側の筋肉を主に使うのが胸式呼吸、下側の筋肉を主に使うのが腹式呼吸です。胸式呼吸は交感神経を刺激し、腹式呼吸は副交感神経を刺激します。この中間、ちょうど横隔膜のあたりにあるのが、カパラバティで刺激した太陽神経叢です。
意図的にこれらをコントロールできれば良いのですが、人は呼吸にも癖があり、どちらかを浅く行う呼吸にだんだん偏っていってしまいます。
浅くて偏った呼吸ではなく、自律神経のバランスがとれた呼吸を普段から続けていくには、お腹と胸を全部使った「完全呼吸」を行っていけるようにするのが良いでしょう。
練習法としては、まず腹式呼吸でお腹に空気をたくさん入れた後、胸式呼吸へそのままつないで胸にも空気をいっぱいにします。吐き出すときは、どちらの順番のパターンもありますが、たとえば胸から抜いて最後にお腹から吐き出して上半身全部の空気を抜く、というやり方があります。
太陽の呼吸法(スーリヤベーダ・プラーナヤーマ または スーリヤベダナ・プラーナヤーマ)
片鼻呼吸法の一種で、アヌローマヴィローマとは異なり、右から左への一方通行です。活発さを司る右側のエネルギーラインを刺激し、体を温めていく呼吸法です。
左鼻をおさえて右鼻から4秒間吸い、12〜16秒ほど止めて、左鼻から8秒間で吐ききる。これを1セットとして5セットほど行います。
慣れないうちは、全体の秒数を短くしたり(例:3秒吸って→12秒止めて→6秒吐く…)、止める秒数だけを短くしても構いません(例:3秒吸って→3秒止めて→6秒吐く…)。吸う:止める:吐くの秒数を1:4:2にするのを目指しましょう。
花粉症を改善するかもしれないシリーズ
今回は自律神経を整える・交感神経を刺激する呼吸法を紹介しました。
その他、食生活の改善、ヨガポーズなども試してみてください。