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腹式呼吸の効果・やり方・コツ

腹式呼吸の効果・やり方・コツ

心身を落ち着かせ、胃腸の働きや自律神経・ホルモンバランスを整える

基本の呼吸法のひとつ、腹式呼吸

主に、リラックスしたいとき、心と体を落ち着けたいときの呼吸法です。丹田への意識を磨き鍛えるために用いられる際は、丹田呼吸などとも呼ばれます。

参考:丹田とは 〜上丹田・中丹田・下丹田の位置〜

最近は、呼吸の重要性が少しずつ人々にも浸透してきたようですが、まだまだ呼吸を自在に使えている人は少ないように思えます。

腹式呼吸も基本的な呼吸法ですが、通常時に胸式呼吸をしている人にとっては意外と難しい場合もあるかもしれません。この記事では腹式呼吸のやり方やコツを紹介しますので、練習してみてください。

胸式呼吸と、ピラティスやヴィンヤサヨガで行う胸式+αの呼吸の意味・やり方・コツは、以下の記事で解説しています。

参考:ヨガやピラティスで使われる主な呼吸の種類・使われる筋肉

この記事の目次

腹式呼吸とは

腹式呼吸は「息を吐いたときにお腹が薄くなり、吸ったときにお腹が膨らむ」という動きをします。

最も働いている筋肉としては「横隔膜」で、息を吐いたときに横隔膜はゆるんで上へ上がり、息を吸ったときに横隔膜は縮んで下に下ります。

主に、リラックスしたいとき、心と体を落ち着けたいときの呼吸法です。

自律神経の調整を目的として行うのであれば、副交感神経の働きを高め、消化や免疫などを活性化します。

腹式呼吸の効果

  • リラックス、心身を落ち着かせる
  • ストレス解消
  • 自律神経を整える(副交感神経の働きを高める)→ホルモンバランス・脈拍・血圧などのコントロール
  • 胃腸の働きを整える
  • 便通の改善
  • 生殖器系・性ホルモンなどの働きを整える
  • 横隔膜・腹筋の柔軟性を高め、強化する
  • 気力を下腹部に蓄える(東洋医学的に理想的な「上虚下実」の状態をつくる)

腹式呼吸を応用すると、様々な瞑想・観想や、気功・クンダリニー・チャクラに関する行法などにも用いられます。

腹式呼吸の禁忌・注意点

胃腸や生殖器系などの病気や手術などによって下腹部に痛みのある方は、痛みが出ない範囲で行いましょう。

慣れないうちはがんばりすぎず、強い圧をかけすぎないようにしましょう。

手でお腹をさわりながら、注意深く意識的にお腹を動かせるように練習していきます。

腹式呼吸のやり方

基本的に、腹式呼吸は「息を吐いたときにお腹が薄くなり、吸ったときにお腹が膨らむ」という動きをします。

1)快適で安定した坐法で坐る

どんな坐法でも大丈夫です。椅子に座った状態でも構いません。慣れてきたら、シッダーサナ、パドマーサナ、スカーサナヴィラーサナなど、瞑想にも適した長時間キープできる坐法で坐ります。

2)手をへその下辺りにあてる

手をへその下あたりにあてて、お腹の動きを感じ取りながら呼吸を行っていきます。

3)しっかり息を吐き出し、お腹全体を薄くする

まず、できるだけ息をしっかり吐ききり、お腹を薄くします。

「お腹をへこませる」と表現すると、背中を必要以上に丸めてしまうことがありますが、背骨はできるだけ立てて「おへそを背骨に近づけるようにお腹を薄くする」といった感じで行えるようにしていけると良いでしょう。

吐くときは、慣れたら鼻から吐けると良いですが、しっかり強く吐き出したいときは口から吐いても構いません。口をストロー状に丸めて吐くと、より強く吐ける場合があります。

吐く長さは、最初は自然にできる長さで構いません。慣れてきたら、5秒以上はかけて行うようにしていくと良いでしょう。秒数を、頭の中で数えながら行います。

4)鼻からしっかり息を吸い、お腹をふくらませる

しっかりと吐ききれていれば、それほどがんばって吸おうとしなくても「空気が自然に流れ込んでくる」感覚になります。あまりがんばって「お腹をふくらませる」ということをしなくても良いです。

深い呼吸をしようとすると、吸う方をがんばってしまう人が多いですが、吐き切るほうがとても大切です。

吸う長さは、最初は自然にできる長さで構いません。慣れてきたら、5秒以上はかけて行うようにしていくと良いでしょう。秒数を、頭の中で数えながら行います。つまり1呼吸に10秒以上かけて行うようにしていけると良いでしょう。

5)繰り返す

心が落ち着くまで、しばらく集中して繰り返します。

腹式呼吸のコツ・練習法

座ってうまくできない場合は、仰向けなど楽な姿勢で練習する

座って行う場合、姿勢を整えることに意識が行ってしまって、腹式呼吸がうまくできないことがあります。

慣れないうちは、お腹の動きに集中するために、あまりがんばって姿勢を整えようとしなくても構いません。

座った状態で行うのが難しければ、仰向けで練習してみたり、ソファでくつろぎながら行ってみても良いでしょう。

呼吸とお腹の動きをうまく連動できないときは、お腹の動きをまず練習する

腹式呼吸は「息を吐いたときにお腹が薄くなり、吸ったときにお腹が膨らむ」という動きをします。

それがうまくできない場合は、ひとまず呼吸とは関係なく、お腹をふくらませたりへこませたりする練習をしてみましょう。

とくに、お腹をへこませるほうが大切です。お腹をへこませるとき、腹筋を使います。

手を使ってお腹の動きを助ける

お腹をへこませるのがうまくいかないときは、手で軽く押して助けるのも良いでしょう。

息を吐くと同時に、手で軽くお腹を押して、おへそを背骨に近づけるようにお腹を薄くしていきます。

あまり力をこめて押し込んではいけません。あくまでお腹をへこませる主役は腹筋なので、手で軽く押して、その動きを助けるようにします。

イメージを合わせて行うことで、効果を高める

呼吸法において、イメージを合わせて行うのはとても重要です。

筋肉の動きに慣れてきたら、イメージも合わせて行うことで、より腹式呼吸の効果を高めることができます。

息を吐くとき:体に溜まった疲れやストレスや邪気が出ていくようなイメージをします。黒い空気が出ていくような見た目のイメージをしても良いでしょう。特に胃のあたりに、ストレスがたまっていることが多いです。それをしっかり吐き切るようにします。

息を吸うとき:しっかり溜まったものを吐ききって余裕ができた体に、新鮮なエネルギーが流れ込んでくるイメージをします。流れ込んだエネルギーは、お腹を中心にして全身に広がり、指先の毛細血管まで届くようなイメージをします。金色や白色の光の流れなどで見た目のイメージをしてみても良いでしょう。

腹式呼吸に使う筋肉を把握する

腹式呼吸に用いられる筋肉は、主に横隔膜と腹筋群です。

参考:横隔膜の起始停止・関連ヨガポーズ

横隔膜も、「膜」という名前がついていますが、筋肉です。

腹筋は、主にインナーにある腹横筋が主役になりますが、アウターの腹直筋腹斜筋なども総動員して使います。

参考:腹横筋の起始停止・関連ヨガポーズ

腹筋は、肋骨の下から恥骨までついており、じつはかなり広い範囲が動くことになります。

そして、肺そのものは動かすことができないので、周りが動くことで肺の中の換気が行われるということを理解しておくと良いでしょう。空間がふくらむと肺はふくらんで息を吸うことができ、空間がせまくなると肺はしぼんで息は吐き出されます。

背骨を丸めずに行うためには、背筋を強くする

お腹の動きに慣れてきたら、できるだけ背骨をまっすぐ立てたまま腹式呼吸が行えるようにしていけると良いでしょう。

その場合、呼吸に用いられるのは腹筋や横隔膜だけでなく、背骨をまっすぐに保つための背筋が必要になります。

参考:脊柱起立筋

背筋の強化には、後屈ポーズなどを練習すると良いでしょう。

コブラのポーズ

弓のポーズ

上級者用の腹式呼吸のやり方

気功やクンダリーニヨガチャクラ覚醒の行法などにおいて、腹式呼吸は重要な要素になります。

その場合、前述のようにイメージを用いて観想を行ったり、骨盤底筋の動きを加えて行ったりします。

様々なやり方がありますが、基本的に骨盤底筋を連動させて行う場合は、吸うときに骨盤底筋を締めて、吐くときに骨盤底筋をゆるめる、というやり方をすることが多いです。

それによって尾骨・仙骨に動きが生まれ、背骨にも柔軟性が戻り、脊髄液に流れと電流が生じるため、脳の使っていなかったところが目覚め始めるといった効果が生まれてきます。

そこまでの効果を求めて行うかどうかは別として、腹式呼吸はとても重要な呼吸法です。いつでも行うことができますので、電車の中などでも練習してみると良いでしょう。

心がざわついているとき、心でそれを抑え込むことは難しいです。理屈ではなく、呼吸をコントロールことが、心をうまく使うための大きなヒントになります。

関連するその他の呼吸法

腹式呼吸を素早く強く連続して行うのが、カパラバティやバストリカーといった呼吸法です。丹田の強化、腸の働きを整えたり、体を温めたり、様々な効果があります。

参考:カパラバティ・プラーナーヤーマ(火の呼吸法のバリエーション)の効果・やり方

参考:バストリカープラーナーヤーマ(火の呼吸法・ふいごの呼吸法)の効果・やり方

自律神経の調整、チャクラ覚醒などにも関連する呼吸法として、「片鼻呼吸法」も合わせて練習すると良いでしょう。

参考:片鼻呼吸法のやり方・効果

プラーナーヤーマ名の表記バリエーション

【日】腹式呼吸、丹田呼吸法
【梵】-
【英】Abdominal Breathing, Diaphragmatic Breathing

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

高橋陽介

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