ヒクソン・グレイシーなどの格闘家が行っていたことで一時期有名になった、火の呼吸法。
様々な効果が得られますが、危険もある呼吸法なので、正しく少しずつ行うようにしましょう。
バストリカーをする前に、腹式呼吸やカパラバティを練習してから行うようにすると良いでしょう。
バストリカープラーナヤーマの主な効果
- 胃腸(消化器系)の活性化
- 血行促進、体を温める
- 代謝UP・解毒作用、免疫強化
- 神経系のバランスを整える・集中力UP
- 各ドーシャに関する様々な症状を改善
- 腹筋の強化
クンダリニーヨーガに用いられることも多い呼吸法です。クンダリニーヨーガについては以下のページに研究をまとめています。
バストリカープラーナヤーマの禁忌・注意点
高血圧・心臓病・胃腸に異常のある方は避けましょう。喘息や気管支炎などの方は、指導の元で慎重に行うようにします。
めまいを起こす場合があるので、いきなりたくさん行わず、回数を少なめにしたり、止息を行わないなどして調整します。
バストリカープラーナヤーマのやり方
片鼻のみで行う方法と、両鼻で行う方法があります。
下記に両鼻で行う方法を示しますが、片鼻で行う場合はアヌローマヴィローマのときのような手の形で、片鼻を塞いで(止息のときは両鼻を塞ぐ)行うようにします。片鼻で始めた場合は、左右それぞれ行った後、両鼻で行います。
1)パドマーサナで坐り、手は親指と人差指を結んでチンムドラーを組んで膝の上に置く形がよく用いられますが、背骨を立たせられる座りやすい坐法で、手は落ち着く形で置いておければ結構です。
2)力強い腹式呼吸を数回行って準備をすると良いでしょう。吸うときはお腹を膨らませて横隔膜を下に広げ、吐くときはお腹を薄くして横隔膜を引き上げます。吸う・吐く、どちらも力強く、鼻で行います。
3)お腹を膨らませて息を吸い込み、力強く鼻から吐き出しながらお腹を薄くします(背骨はまっすぐ保ちながら、お腹をへこませる)。同じくらいの強さで力強く吸い込んでお腹を膨らませます。これを10回程度繰り返します。
呼吸のペースは自分の状態に合わせて調整します。
ゆっくりペース:2秒に1回(吸&吐で1回と数える)
中間ペース:1秒に1回
一番速いペース:1秒に2回
練習を重ねていくうちに1セットの回数を増やしていきますが、多くても40〜50回程度までにしましょう。
4)力強く吐きおわったら、ゆっくり深く息を吸い、数秒間止めます。
5)ゆっくり深く息を吐き出します。これを3セットほど行います。
バストリカープラーナヤーマのコツ・練習法
腹式呼吸の練習から
普段から胸式呼吸をしてしまっている人は、まず腹式呼吸に慣れることから始めます。
呼吸の鍵は、まず吐ききることです。背中はまっすぐ保ちながら腹筋をしっかり使うと、腹圧が上がって吐ききることができます。
吐くほうだけを力強く連続して行うカパラバディをまず練習すると良いでしょう。
少ない回数から始め、回数制限を守る
強力な呼吸法なので、めまいを起こすことがあります。
最初は10回程度・ゆっくりペース(2秒に1回)で始めるようにしましょう。
違和感を感じたら中止して休む
めまいなど違和感を感じたら、ゆっくり呼吸しながら楽な姿勢(シャヴァーサナなど)で休みましょう。
エクササイズと火の呼吸を組み合わせることについて
一部の流派では、ポーズをとりながらバストリカーを行っていたりしますが、かなり熟練しない限りおすすめはしません。
まず座って落ち着いた姿勢で行えるようにしましょう。
呼吸の回数と寿命に関する説について
呼吸をゆっくり深く長く行うことは、長生き(長息)につながると言われます。
参考書籍:「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」本川 達雄 (著)
これに関連して、「人間は一生で行える呼吸の回数が決まっていると言われますが、カパラバティやパストリカーのように短時間でたくさん呼吸をすることは、寿命を縮めることにはならないのか?」ということをたまに質問されます。
たしかに呼吸の回数は一時的に増えますが、人間は平均一日2万回以上呼吸しているのですから、あまりその点でのデメリットを考える必要はないと思います。
普段の呼吸を、ゆっくり深く長く行えるように変えて行ければ良いのです。
そのためには腹筋の強さと柔軟性も必要になるので、カパラバティやバストリカーは良い練習になります。