「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガの概要を紹介していきます。
「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)
用語:クンダリニー(クンダリーニ)
用語:チャクラ
用語:ナディ(ナーディー)
これらは今は誰もが見えるもの・感じ取れるものではないので、扱うのが難しい分野ではありますが、心身の改善のためにも、ヨガのポーズや瞑想を洗練させるためにも、そしてさらなる進化のためにも、これらの「見えないもの」も注意深く研究して、気づきを磨いていくと良いかと思います。
今回は、第1章の8節の前半、クンダリニーヨーガにおけるリスクや注意点に関する部分です。
以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。
適切な準備、「浄化」の重要性
クンダリニー覚醒のリスクに関しては、クンダリニー症候群などの例もあり、世間では多くの危険性が言及されていますが、ハタヨーガや浄化法などの準備を行い、そして正しく修行を進めていれば、リスクは高くはないとここで説明されています。
But if you have been practising hatha yoga and meditation, and have experienced slight awakenings previously, you will be better able to cope with it.
ハタヨーガや瞑想の行によって準備しておいたり、個別のチャクラの覚醒などを通してクンダリニー覚醒を垣間見ておいたりすることによって、実際に覚醒した際の心身の変化にも対応できると述べられています。
When the body in totality is purified by the practices of shatkarmas and hatha yoga, when the mind is purified by mantra, when the pranas are brought under control through the practices of pranayama and the diet is pure and yogic, at that time, awakening of kundalini takes place without any danger or accident. But with those who are in a hurry to awaken kundalini and who take to any practice in a haphazard manner without going through the preliminaries, and who do not take care of their diet, there will be some problems because they do not know how to control and utilize the fantastic energy they are unleashing.
シャットカルマやハタヨーガによる体の浄化、マントラによる心の浄化、プラーナーヤーマによってプラーナをコントロールできるようになっておくこと、食生活を純粋でヨガ実践者に合ったものにしておくことによって、クンダリニー覚醒には全く危険性や事故はないと説明されています。
このように繰り返し、「浄化」をしておくようにということが示されています。クンダリニー覚醒に際して、「浄化」は重要なキーワードとなるでしょう。
Although I recommend chitta shuddhi, I know that many people have an obsession about purity and impurity. They keep thinking they are impure and therefore they shouldn’t try to awaken kundalini. But when the sun rises, what happens to the darkness? Purity and impurity are ethical and moral concepts created by society and religion.
とはいえ「不浄」であるかどうかといったことに執着しすぎて、不浄だからクンダリニー覚醒を目指すべきではないといった考え方に囚われてしまうのも問題であるとも言っています。
クンダリニー覚醒は太陽が昇るようなものであり、暗闇を消し去りながらそれは訪れるといったようなことが少し後のセクションに書かれています。慎重に行法を進めていくことで気づきが磨かれていくため、始めることを躊躇するよりもマイルドなやり方で始めていくのが良いというようなニュアンスが感じられます。
Unless you are an extremely introverted person, you can proceed along the path of kundalini yoga without fear. If you are hypersensitive, have difficulty communicating with others and live within a sort of fantasy world, you will find kundalini yoga upsetting and even dangerous. Such people should not practise kundalini yoga or any techniques for exploring the inner world until they have developed the ability to strike fearlessly and confidently through the outer world. This also applies to timid and dependent people. For all these individuals, karma yoga is the way. They should lead a life of unselfish service in the world and develop non-attachment and maximum awareness.
内向的すぎたり、神経過敏すぎたり、臆病で依存しがちな人々は、恐怖に打ち勝ち外的世界で自信をつけ、心をコントロールする技術を身に着けてから、内的世界を探求したりクンダリニーヨーガの行を始めるようにと指示されています。
そういった人々には、まずカルマヨーガの実践によって、自己中心的な生活から離れ、執着しない心と、磨かれた気づきを得るのが良いであろうと述べられています。
違和感を感じたら止めて、元の生活に戻る
The science of kundalini yoga has its own inbuilt safety mechanisms. If you perform asanas or pranayama incorrectly, nature will immediately send a warning and compel you to stop practising. In the same way, when kundalini awakening takes place and you are not prepared to face it, nature puts obstacles in your way. If ever you become scared and want to stop the process of kundalini awakening, all you have to do is revert to a gross lifestyle. Just revise all your passions, dreams and worldly ambitions.
クンダリニーヨーガの行法は安全につくられており、もし間違ったやり方をした場合、ただちに魂から警告が発せられ、修行を止めるようにという意志が働きます。
あるいは、クンダリニー覚醒が近づいた場合でも、まだ心身の準備が整っていない場合は、それを止めるような意志が働きます。
それは恐怖のような感情として現れることもあり、もし覚醒を止めたいと感じたら、行法の実践をやめて元の生活に戻り、クンダリニー覚醒への憧れなども全て捨て去るのが良いであろうと述べられています。
ヨガの実践を進める場合「違和感」というのが大切なサインになるかと思います。もし違和感があるなら、やり方が間違っているか、今の自分に合っていないという場合が多いです。違和感に気づき、その原因に気づきながら、惰性で進めるのではなく慎重に進めていくようにしましょう。
間違いが起こる可能性
クンダリニー症候群の例や、ゴーピ・クリシュナ氏がクンダリニーを意図せずピンガラーナディへ上昇させてしまったために、酷い目にあったという話が一般的になっているのを意識してか、ここではそういったことが起こる可能性について述べられています。
ちなみにゴーピ・クリシュナ氏のクンダリニーが初版刊行されたのは1967年で、クンダリニー症候群について言及した数多くの文献で引用されてきました。このクンダリニー・タントラが初版刊行されたのは1984年のようです。
Some people worry about kundalini ascending through the wrong nadi, but there is no danger here, because if kundalini enters through any other nadi, the whole circuit will fuse. If kundalini has awakened but a chakra is blocked, say swadhisthana, then kundalini will only roam about in mooladhara and all the instincts of that chakra will develop. You will become a high class animal for a while and may develop some siddhis. If there is any obstruction in the chakras beyond that, the energy will be blocked for a long time, affecting the psychological constitution. And if kundalini enters into the pranic nadi, pingala, it could set the whole brain into turmoil. However, this doesn’t usually happen. Nature intervenes, and unless sushumna is clear, the chakra will not open and the energy will not be able to move further.
Mistakes do occur, but not in average individuals, because they are scared of something wrong happening somewhere.
スシュムナー以外のナディをクンダリニーが上昇していくということは、ほとんど起こり得ないといいます。あるいはチャクラが覚醒していない状態で上がっていくということもなく、覚醒していないチャクラには到達せずにその下のチャクラにおいてクンダリニーは活動すると説明されています。
もし何か間違ったことが起こりそうな場合は、普通の人ならばそこで恐怖を感じるなどして思いとどまるため、大きな事故にはならないといいます。中には愚か者もいるので、狂信的に修行を推し進めてしまって、狂人のようになってしまうこともあり得ると説明されていますが、一般的な人々にとってはクンダリニーヨーガはリスクの高いものではないと述べられています。
安全にクンダリニーヨーガを進めるために、心と体のバランスと浄化を準備として行うことが重要であり、そのためにハタヨーガは有効であると示されています。
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参考文献
「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)
「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)