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「クンダリニー・タントラ」を読む【10】第1章 3節-3:ナディとは

「クンダリニー・タントラ」を読む【10】第1章 3節-3:ナディとは

クンダリニーヨーガの基礎となる、重要な3本のナディ

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していきます。

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今回は、第1章の3節のナディに関する部分です。

(引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。)

クンダリーニヨガの研究については、以下のページにまとめてあります。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

用語:クンダリニー(クンダリーニ)チャクラナディ(ナーディー)

この記事の目次

ナディとは

Nadis are not nerves but rather channels for the flow of consciousness. The literal meaning of nadi is ‘flow’.

ナディは神経ではなく、意識が流れる経路のようなものであるといいます。

「ナディ」という言葉は「流れ」を意味します。

ナディは物質的に存在するわけではないので、意識を流したときに初めて機能し始めるというイメージです。ただしその意識は、潜在意識も顕在意識も含まれるので、通常は潜在意識が働いてナディが機能しています。

顕在意識が偏った働きをすると、ナディの流れのバランスが崩れ、肉体の不調にもつながります。それを意図的に整えたり、あるいは潜在意識に舵取りを任せて整えてもらったり、意図的に目的のナディへ意識を流すことで覚醒を促したり、といったいろいろな使われ方をするように思えます。

ナディの数

According to the tantras there are 72,000 or more such channels or networks through which the stimuli flow like electric current from one point to another.

(中略)

Within this network of nadis, there are ten main channels, and of these ten, three are most important for they control the flow of prana and consciousness within all the other nadis of the body. These three nadis are called ida, pingala and sushumna.

ナディは72,000本以上あるといわれ、その中でも10本のナディが重要であり、さらにその中でも3本のナディ「イダー」「ピンガラー」「スシュムナー」が最も重要とされます。

これらの重要なナディが、他の多くのナディを流れるプラーナ(気・生命エネルギー)や意識の流れをコントロールしています。

クンダリニーヨーガやハタヨーガの行法では、これらの3本のナディを使ったものが多くあります。

イダー・ピンガラー・スシュムナーの働き

Ida nadi controls all the mental processes while pingala nadi controls all the vital processes. Ida is known as the moon, and pingala as the sun. A third nadi, sushumna, is the channel for the awakening of spiritual consciousness.

イダー・ナディは心の働きをコントロールし、ピンガラー・ナディは生命活動をコントロールするといわれます。イダーは月、ピンガラーは太陽にたとえられます。

これらは自律神経の交感神経・副交感神経とも深いつながりがあるように思えます。

スシュムナーは、スピリチュアルな意識を目覚めさせると説明されています。

イダー・ピンガラー・スシュムナーの流れ

As sushumna flows inside the central canal of the spinal cord, ida and pingala simultaneously flow on the outer surface of the spinal cord, still within the bony vertebral column.

スシュムナーは脊柱管の中央を通り、イダーとピンガラーは脊柱管の外側の表面(ただし背骨の表面よりは内側)を流れていると説明されています。

Ida, pingala and sushumna nadis begin in mooladhara in the pelvic floor. From there, sushumna flows directly upwards within the central canal, while ida passes to the left and pingala to the right. At swadhisthana chakra, or the sacral plexus, the three nadis come together again and ida and pingala cross over one another. Ida passes up to the right, pingala to the left, and sushumna continues to flow directly upwards in the central canal. The three nadis come together again at manipura chakra, the solar plexus, and so on. Finally, ida, pingala and sushumna meet in the pineal gland – ajna chakra.

ナディの流れについては、チャクラの数も含めて諸説あるようです。

この説明によれば、3本のナディは骨盤底のムーラーダーラチャクラから発しており、スシュムナーは常に中央にあり、スワディシュターナチャクラに至るまではイダーは左・ピンガラーは右を通って上がっていき、スワディシュターナチャクラで再びクロスして、次のマニプーラチャクラに至るまではイダーが右・ピンガラーが左を通って上がっていき、同様にクロスしながら上がっていって、最終的にはアージュニャーチャクラに至る、というように示されています。

左右の鼻孔の呼吸と、イダー・ピンガラー、左右の脳の関係

Ida and pingala function in the body alternately and not simultaneously. If you observe your nostrils, you will find that generally one is flowing freely and the other is blocked. When the left nostril is open, it is the lunar energy or ida nadi which is flowing. When the right nostril is free, the solar energy or pingala nadi is flowing.

Investigations have shown that when the right nostril is flowing, the left hemisphere of the brain is activated. When the left nostril is flowing, the right hemisphere is activated. This is how the nadis or energy channels control the brain and the events of life and consciousness.

イダーとピンガラーの機能は、通常は同時に働くことはなく、交互に働きます。

それは左右の鼻孔を通る空気量で判別することができ、通常は左右のどちらかが大きく開いて、もう片方は少し狭くなっているはずです。

左の鼻孔が開いているときは、月のエネルギー・イダーが流れていて、右の鼻孔が開いているときは、太陽のエネルギー・ピンガラーが流れていることになります。

私のベーシッククラスでは片鼻呼吸(アヌローマ・ヴィローマ)を行っていますが、その際にもよくこの解説をしています。

参考:片鼻呼吸法のやり方・効果 〜免疫力を高める、自律神経を整える、チャクラを目覚めさせる etc.〜

科学的な研究によれば、右の鼻孔が通っているときは脳の左半分が、左の鼻孔が通っているときは脳の右半分が活性化しているといわれます。

左右が同時に目覚め、中央が目覚める

Now, if these two energies – prana and chitta, pingala and ida, life and consciousness, can be made to function simultaneously, then both hemispheres of the brain can be made to function simultaneously and to participate together in the thinking, living, intuitive and regulating processes.

In ordinary life this does not happen because the simultaneous awakening and functioning of life force and consciousness can take place only if the central canal – sushumna, is connected with kundalini, the source of energy. If sushumna can be connected in the physical body, it can reactivate the brain cells and create a new physical structure.

イダー・ピンガラーのように相反する2つのエネルギーを同時に働かせることができた場合、左右の脳を同時に使って考えることができるようになります。これは通常起こることではなく、スシュムナーがクンダリニーと接続されていなければ起こらないといわれます。スシュムナーが肉体とつながっていれば、脳の細胞を再活性化し新たな構造を作り出すことができるといいます。

ここで挙げられている「相反する2つのエネルギー」は、意外とヒントになるかもしれません。

  • プラーナとチッタ
  • ピンガラーとイダー
  • 生と意識

ヨーガスートラでは、チッタ(心の働き)を止滅するのがヨーガである、と言っています。これらが相反するのであれば、チッタが鎮まったとき、プラーナ(気・生命エネルギー)が活動するということになるでしょう。

しかし通常は相反する状態になっているもの同士が、同時に働くこともありえるということです。これは自律神経にも言えることで、どちらかが下がれば反対側が上がるという単純なシーソーではなく、ゆるやかにバランスをとりながら、同時に働いたり、同時に弱まったりすることもありえます。

左右のバランスをとり、真ん中が働き始めることで、意識は変容を始めます。このような原理に基づいているので、片鼻呼吸のように左右のバランスをとる行法は特に重要とされています。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【11】第1章 3節-4:スシュムナー・ナディの重要性

前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【9】第1章 3節-2:チャクラとは

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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