首が伝える「流れ」
体内の主要な流れ、気の流れや血の流れ、脳脊髄液、アナトミートレインの筋膜のつながりなどは、首を通るラインによって様々な物質や情報を伝達している。
- 血の流れ:血管
- 気の流れ:ナディ・経絡
- 脳脊髄液の流れ:脊髄
- 筋のつながり:筋膜(アナトミートレイン)
- 重力的つながり:背骨
首が固まってしまうと、それらの機能が全て影響を受けることになる。
そしてほとんどの人の首は、正しい位置におさまっておらず、固まっている。
首が固まる原因
首が固まる原因と対策について考えるには、物理的・心理的、両面を観る必要がある。ただしこれらは密接に関係しているので、個別にではなく全体を観ていくのが良いであろう。
- 物理的原因:姿勢が悪い
- 心理的原因:心が緊張している
物理的原因
多くの場合、人は目を使おうとするために頭が前方にずれていく。あるいは、手を使おうとするために肩・腕が前に出ることになる。
何かが前に出るためには、何かが後ろに下がらなくてはバランスが取れないので、腰や胸の背骨が丸くなって骨盤は後ろに傾くことになる。
その状態では、首を含めて上半身全体は骨で十分に支えられていないため、筋肉が常に仕事をしなくてはならなくなり、結果として固まることになる。
その他、腕を支えるための肩も常に仕事をしているし、目の周りの筋肉も常に疲れることになる。これらも首と関係がある。
心理的原因
ポリヴェーガル理論や自律神経に関する理論では、心の状態と首の筋肉が直接的に関係し合っていることが示唆される。
ここで言う首の筋肉は、特に胸鎖乳突筋と僧帽筋である。これらはまさに肩こり・首こりを感じさせる筋肉である。
これらは、心理的な緊張が解けないかぎり緩まない。つまり揉みほぐすだけでは緩まないということになる。(とはいえ揉みほぐすことで心や呼吸が落ち着いていくなら、それは意味のあることになる。)
参考:セルフケアにも活用できる、ヒーリングや整体の「手技」の種類
首の緩め方
物理的・心理的原因をふまえて、首をどのようにゆるめるか。
個別に考えるのではなく心身どちらも全体的に整っていくような、自分に合った「鍵」を持っておくと良いであろう。
普段は部分的・過活動的なモードになってしまっている心身が、全体的・リラックス・ソーシャルなモードに、自動的に切り替わる、以下のような「鍵」である。
- 全体を観るような広い視野に切り替える(オープン・フォーカス)
- 眉間を見上げる(シャーンバヴィー・ムドラー)
- 鼻先を見つめる(ナシカグラ・ドリシュティ)
- 眼球を左右にしっかり動かす
- 1呼吸に10秒以上かけて、長く深い呼吸をする
- 全身に意識を向ける、たとえば均一で優しいオーラで包むようにイメージする
- 体のセンターラインや、縦に整列して輝くチャクラをイメージする
これらをたとえば30秒〜数分程度しばらく行ってみると、自動的にモードが切り替わり始める。
「目」を使ったものが多いことに気づくだろう。つまり、パソコンやスマホの画面のように「同じ距離・方向のものを見続けること」が、いかに偏りを生み、心身に影響しているかということを意識する必要がある。
クンダリニーヨーガの行法の中にも、変性意識状態に入るために、目と呼吸を使ったものが多く含まれている。姿勢の整え方も含めて、ヨーガの技法には日常生活の質を高めるためにも有効な多くの「鍵」が含まれているように思える。
参考:「クンダリニー・タントラ」をこれから読む方へ、目的別・読み進め方
参考書籍
↓オープンフォーカスの詳しいやり方や有効性について
「近視は治る: 心と視力のメカニズム」ジェイコブ リバーマン (著)
↓眼球の動きと自律神経・ポリヴェーガル理論の関係について