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「クンダリニー・タントラ」を読む【31】第2章 4節:ムーラーダーラチャクラの位置や特徴

「クンダリニー・タントラ」を読む【31】第2章 4節:ムーラーダーラチャクラの位置や特徴

チャクラシステムの基底となる、第1チャクラ

「クンダリニー・タントラ/スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していく連載記事です。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第2章の4節、第1チャクラとして骨盤底にあるムーラーダーラチャクラの位置や特徴に関する部分です。ムーラダーラと表記されることもあります。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

チャクラシステムの基底となるムーラーダーラ

The Sanskrit word moola means ‘root or foundation’ and that is precisely what this chakra is. Mooladhara is at the root of the chakra system and its influences are at the root of our whole existence. The impulses of life rise through the body and flower as the widest expansion of our awareness in the area known as sahasrara. It seems a great paradox that this earthiest and most basic of the chakras guides us to the highest consciousness.

「ムーラ」は「根」や「基盤」などを表すサンスクリット語で、このチャクラはまさにそのような基底の役割を担っています。

またムーラーダーラチャクラは、チャクラシステムの基底を担っているだけでなく、全ての存在の根となっているといいます。

ムーラーダーラチャクラから起こるインパルスは体を上っていき、サハスラーラ(頭頂)の領域で花開き意識の拡大を導くため、最も下にあるチャクラとはいえ、高次の意識へ至るための重要なガイドとしての役割も担っているといいます。

In Samkhya philosophy, the concept of mooladhara is understood as moola prakriti, the transcendental basis of physical nature. The whole universe and all its objects must have some basis from which they evolve and to which they return after dissolution. The original source of all evolution is moola prakriti. Mooladhara, as the basis of moola prakriti, is responsible for everything that manifests in the world of name and form.

サーンキャ哲学によれば、ムーラーダーラは物質世界の素となっているムーラプラクリティを表していて、全ての物質は創造され進化していき最後はまた溶けていきますが、その全ての進化の源になっているのがムーラプラクリティであるとされています。

そのためムーラーダーラチャクラは、名と形を持つ全ての物質が顕現する素となっているといいます。

In tantra, mooladhara is the seat of kundalini shakti, the basis from which the possibility of higher realization arises.

タントラにおいては、ムーラーダーラチャクラはクンダリニーの座とされており、ムーラーダーラチャクラの覚醒はクンダリニーヨーガの行法の中ではとても重要な要素となります。

ムーラーダーラチャクラの位置

The seat of mooladhara in the male body is located slightly inside the perineum, midway between the scrotum and the anus. It is the inner aspect of that nerve complex which carries all kinds of sensations and is immediately connected with the testes. In the female body, mooladhara chakra lies on the posterior side of the cervix.

ムーラーダーラチャクラの位置は男女で異なり、男性は会陰(陰嚢と肛門の間)の少し内側(上)にあり、女性は子宮頸部の前側にあると説明されています。

In both the male and female bodies, there is a vestigial gland at mooladhara chakra which is something iike a knot. In Sanskrit this is known as brahma granthi; the knot of Brahma. As long as this knot remains intact, the energy located in this area is blocked. But the moment the knot is opened, shakti awakens. It is only when the individual awakens to the possibility of divine consciousness, to a greater force and purpose than that of instinctive animal life, that the brahma granthi begins to loosen. Consciousness begins to be liberated from the root center as the individual’s aspiration awakens.

男性も女性も、ムーラーダーラチャクラの位置には退化した腺があり、それは「結び目」のようであるといいます。それが3つのグランティのうちの一つであるブラフマー・グランティで、これがある限り、ムーラーダーラの領域にあるエネルギーはブロックされたままになっています。

神聖な意識が目覚め、動物的な意識を越えたとき、グランティは緩んでエネルギーは解放され、大志が湧き上がってくるといいます。

この文章だけ読むと、心が神聖にならなければ話は進まないというようにも思えますが、クンダリニーヨーガはあくまで心ではなく体へのアプローチから入り、それによって自然と心が変わっていくことになります。

Many people feel hesitant and shy about believing kundalini is in mooladhara chakra and claim it to be in manipura, because they don’t want to associate this holy kundalini shakti with the unholy sexual system. However, scientific investigation shows that this tiny gland in mooladhara chakra contains infinite energy and many psychic and spiritual experiences originate from mooladhara. Just because mooladhara is situated in the sexual region, this does not make it an impure center.

ムーラーダーラチャクラが生殖器に近い位置にあり、性に関係していることを不浄だと思いこんでしまい、多くの人がクンダリニーはムーラーダーラではなくマニプーラ(へそ)にあるのだと主張することもあります。

しかし科学的な研究によって、このムーラーダーラチャクラの部分にある小さな腺は無限のエネルギーと超常的・霊的な経験をもたらすことを示している、と説明されています。

生殖器との関係は確かにありますが、ムーラーダーラチャクラは決して不浄なセンターではなく、その秘められた膨大なエネルギーを正しく活用するべしということでしょう。

ムーラーダーラチャクラを表す伝統的なシンボル

画像出典:Wikipedia

ここでムーラーダーラチャクラを表すシンボルについて詳しい説明がありますが、図は載っていません。シンボルには様々な描き方があり、省略される要素もあったりして、ここに出てくる要素を全て含んだ図を見つけることができませんでした。

しかし花弁が4枚、色は濃い赤系であるというところは、ほとんどの図に共通しているようです。

Mooladhara chakra is traditionally represented by a lotus flower with four deep crimson petals. On each petal is a letter: vam, sham, sham, sam, written in gold.

ムーラーダーラチャクラは伝統的に、4枚の深紅の花弁を持つ蓮華をシンボルとし、花弁にはそれぞれヴァム・シャム・シャム・サムの字が金色で書かれているといいます。

英語のアルファベットやカタカナでは同じように書かれていますが、वं vaṃ, शं śaṃ, षं ṣaṃ, and सं saṃは全て別の字で発音も微妙に異なります。

ちなみにムーラーダーラチャクラのビージャマントラは、लं laṃ. ラムです。蓮華のシンボルにもलंが中央に描かれていることが多いです。

参考:サンスクリット語の基礎知識

In the pericarp is a yellow square, symbol of the earth element, surrounded by eight golden spears – four at each corner and four at the cardinal points. These are said to represent the seven Kula mountains on the base spear of earth.

The golden yellow square, yantra of the earth element, is supported by an elephant with seven trunks. The elephant is the largest of all land animals and possesses great strength and solidity.

蓮華の果皮の中には黄色の正方形が描かれ、これは「地」の要素を表し、8本の金色の枝に囲まれています。そして7本の鼻をも象が地を支えていて、最も大きな動物である象の持つ強さや堅実性を表しているといいます。

Riding on the elephant’s back, in the center of the square, is a deep red inverted triangle. This is the symbol of shakti or creative energy, which is responsible for the productivity and multiplicity of all things. Within the triangle is the swayambhu or dhumra linga, smoky grey in color. Around this linga, which represents the astral body, kundalini is coiled three and a half times, her luster being that of lightning. Three represents the three gunas or qualities of nature in an individual. As long as the three gunas are operating, individuality is functioning within the confinements of ego. The half represents transcendence.

正方形の中央には、深い赤色の逆三角形が描かれます。これはシャクティ・創造的エネルギーを表し、全てのものが生産し増えていくことを表しているといいます。

三角形の中には暗い灰色のリンガが描かれ、それはアストラル体を表し、その周りにクンダリニーを表す金色に輝く蛇が3回半巻き付いている形で描かれます。

「3回」は3つのグナ(世界を創る素)を表し、3つのグナが機能しているうちは、人は物質世界・エゴに囚われています。「半」はその状態からの超越を表しているといいます。

In tantra this coiled serpent is known as mahakala, great or endless time. Here kundalini is lying in the womb of the unconscious, beyond time and space. When kundalini begins to manifest, it enters the dimensions of personality and individuality, and becomes subject to time and space. That is the awakening of the great serpent power within the individual form, frame and consciousness of the human being. However, in most people it is dormant. In its awakened state kundaiini shakti represents our spiritual potential, but in its dormant state it represents that instinctive level of life which supports our basic existence. Both possibilities lie in mooladhara.

タントラにおいては、この蛇はマハーカーラ(偉大な終わりなき時間)を表し、クンダリニーは無意識の子宮の中で時と空間を越えて眠り続けていることを示しているといいます。

クンダリニーが覚醒して人間の人格に作用するようになると、それは時と空間の中に現れることになり、物質世界に影響を与え始めます。

多くの人にとってクンダリニーは眠ったままであり、霊的な秘められた力は休眠状態にありますが、その状態にいるときは我々が物質として存在するための基本的な要素を、ムーラーダーラチャクラは支えているといいます。

休眠状態にいれば我々は物質世界に執着するし、覚醒すれば物質世界を超越する力が湧き出してくる、という形で2つの可能性を秘めているチャクラであると説明されています。

The tanmatra or sense associated with mooladhara is smell, and it is here that the psychic smells are manifested. The gyanendriya or sensory organ is the nose, and the karmendriya, organ of activity, is the anus. Mooladhara awakening is often accompanied by itchy sensations around the coccyx or anus, and the sense of smell becomes so acute that offensive odors are difficult to bear.

ムーラーダーラチャクラに関係する感覚(タンマートラ)は嗅覚であり、そこでは超常的な香りが現れるといいます。感覚器官(ギャネンドリヤ)は鼻であり、行動器官(カルメンドリヤ)は肛門です。

ムーラーダーラの覚醒は多くの場合、尾骨や肛門周辺におけるむずむずした感覚を伴って起こります。匂いに対する感覚が鋭くなり、攻撃的な匂いに対しては耐え難いほどに敏感になるといいます。

Mooladhara is the direct switch for awakening ajna chakra. It belongs to bhu loka, the first plane of mortal existence and it is the chief center of apana. Mooladhara is also the seat of annamaya kosha, the body of nourishment, connected with the absorption of food and evacuation of feces.

ムーラーダーラはアージュニャーチャクラを覚醒させるための直接的なスイッチであるといわれます。

この世界の最初の次元(物質次元)であるブー・ローカに属し、アパーナ気(体の下の方にある・下向きの気)を司るセンターであり、またアンナマヤコーシャの座であり食物の吸収や排泄を司っているとされています。

「ローカ」に関する詳しい説明はここではされていませんが、インド哲学や神智学では宇宙が7つの次元でできていると考え、それぞれに7つのチャクラがつながっているとされています。「コーシャ」は人間の体(微細な体を含めて)を5つの層に分ける考え方です。アンナマヤコーシャは、その中でも最も粗雑な、私たちが見たり触ったりできるこの物質的肉体のことを指します。

用語:ローカ loka
用語:コーシャ koṣa

By meditating on kundalini in mooladhara chakra, a man becomes lord of speech, a king among men and an adept in all kinds of learning. He becomes ever free from all diseases and he remains cheerful at all times.

ムーラーダーラチャクラの中にあるクンダリニーに対して瞑想することによって、言葉の主となり、人間の王となり、全ての学問の達人となり、また全ての病気から自由になり、常に活気にあふれるようになるといいます。

なんだか大げさなことを雑に並べて書かれている感じもしますが、物質次元を自由にコントロールする力を得られるのだとしたら、このようなことは造作もないことになっていくのでしょう。

ナディの出発地としてのムーラーダーラチャクラ

Mooladhara is the base from which three main psychic channels or nadis emerge and flow up the spinal cord. It is said that ida, the mental force, emerges from the left of mooladhara; pingala, the vital force, from the right; and sushumna, the spiritual force, from the center.

これまでの話の中にもよく出てきた、イダー(左・月)・ピンガラー(右・太陽)・スシュムナー(中央)の3つの重要なナディは、ムーラーダーラチャクラから発して上昇していきます。

左側からは心を機能させる力が流れるイダーが、右側からは生命活動に関わる力が流れるピンガラーが、中央からは霊的な力が流れるスシュムナーが発しています。

Therefore, the hatha yoga practices, particularly those of pranayama, are very important in kundalini yoga, because they purify and rebalance the psychic flows. Once the state of balance between ida and pingala becomes steady and ongoing, the awakening engendered in mooladhara becomes explosive, and kundalini rises with great force, overcoming all obstacles on its path until it reaches its ultimate destination in sahasrara.

ハタヨーガの行法、特にプラーナーヤーマはクンダリニーヨーガにおいて非常に重要で、ナディの浄化や気の流れを整えるために用いられます。

イダーとピンガラーのバランスが整い、それが一時的なものではなく安定して維持されるようになったとき、ムーラーダーラの覚醒が爆発的に起こり、大いなる力とともにクンダリニーは上昇し、全ての障害を乗り越えて最終目的地であるサハスラーラへ至る、と説明されています。

プラーナの解放とクンダリニー覚醒の違い

Many people have experiences in meditation when they feel the shakti rising through the spinal cord from mooladhara to the brain. However, in most cases, this is not the awakening of kundalini, but a release of pranic force called pranotthana. This preliminary awakening starts from mooladhara and ascends the spinal cord via pingala nadi, only partially purifying the chakras until it reaches the brain where it is usually dispersed.

多くの人が、瞑想中にシャクティがムーラーダーラチャクラから脊椎を通って脳に達するというような経験をします。しかし多くの場合それはクンダリニーの覚醒ではなく、プラーナの力が解放されて流れたものであるといいます。

このような前置き的な覚醒は、ムーラーダーラチャクラからピンガラーナディを通って上昇し、ただ一時的にチャクラを浄化しながら脳へ至り、そこで発散してしまいます。

In this type of awakening the experience of shakti is rarely sustained. However, it does prepare the aspirant for the eventual awakening of kundalini, which is something altogether different and more powerful. After the awakening of kundalini, the individual will never be the same again. Here there is an ascent of force accompanied by a psychic awakening which is permanently accessible. Even though it may fall back again, the potential will always be there.

このような覚醒は一時的な経験しかもたらさないことが多いですが、これは最終的なクンダリニーの覚醒のための準備となります。クンダリニーの覚醒が起こった場合は、その変化は永続的であり、再び元に戻ってしまうことはないといいます。

ムーラーダーラチャクラと性の関係

Awakening of mooladhara chakra is very important, firstly because it is the seat of kundalini, and secondly, as it is the seat of great tamas. All the passions are stored in mooladhara, all the guilt, every complex and every agony has its root in mooladhara chakra.

ムーラーダーラチャクラの覚醒は非常に重要であり、その理由はまずクンダリニーの座であるということと、タマスの座である(後述)ということです。全ての感情はムーラーダーラに蓄えられ、全ての罪、コンプレックスや憎しみなどもムーラーダーラチャクラが根となっているといいます。

This chakra is physiologically related to the excretory, urinary, sexual and reproductive organs. It is so important for everybody to awaken this chakra and get out of it. Man’s life, his desires, his actions and his accomplishments, are controlled by the sexual desires, and whatever we do in life is an expression of that lower chakra. Our lower samskaras and karmas are embedded there, as in lower incarnations, one’s whole being is founded on the sexual personality. Dr. Sigmund Freud has also emphasized this point. He said that one’s selection of clothing, food, friends, home furnishing and decor, etc., everything is influenced by his sexual awareness.

ムーラーダーラチャクラは生殖器や排泄器官・泌尿器官に関係していて、チャクラの覚醒によって性欲から自由になることが重要であるといいます。人は性に対する気づきの度合いによって、日々の行動や成し遂げたいことがコントロールされ、衣服や食べ物や交友関係など様々なものが影響されます。

All the schizophrenics and neurotics and many crazy people who are ridden with guilt and complexes are people who have not been able to get the shakti out of mooladhara chakra. As a result of this, their lives are imbalanced.
Sexual fulfillment and sexual frustrations control our life. If sexual urges are removed from life, everything will change. Often we react to sexual life on account of bitter experiences and we vow not to follow the same path again. We are fed up and on account of that we say, ‘No more’. But this is no solution, it’s only a reaction and not the permanent structure of our mind.

統合失調症・神経症の人や、罪やコンプレックスによって狂ってしまった人々はみな、ムーラーダーラチャクラから発せられるシャクティ(創造的な力)を得ることができていないといいます。

性的情動は我々の生き方をアンバランスにしますが、それらを克服することができれば、人生は大きく変わります。

人は変わろうと思っても、多くの場合はまた同じことを繰り返してしまいますが、チャクラの覚醒がその変化の鍵を握っているということでしょう。

Unless mooladhara chakra is purified, its corresponding center in the brain will always remain tamasic.

ムーラーダーラチャクラが浄化されるまでは、脳は常にタマス的(鈍性)であり、日常生活も性的な関係性においても、同じようなことを繰り返してしまいます。

It is clearly stated in tantra that the purpose of the sexual act is threefold, and these threefold purposes depend on the level and frequency of one’s mind. Some people practise it for procreation, because that’s where their mind is at. Others practise it for pleasure only; that’s the level of their mind. And some people practise it to open the window to samadhi. They don’t care for procreation or the fulfillment of passion, they are only concerned with awakening an experience and sublimating it. Through that experience they open the higher centers. So those who practise the normal sexual act must awaken mooladhara chakra first. Also, through the sexual act, a female can awaken mooladhara and swadhisthana chakras if her partner is a yogi. Generally, for these chakras to awaken in a man’s body, he will have to practise kriya yoga and techniques such as vajroli.

タントラにおいては、性行為の目的が3つに分けられ、生殖のために行う人、快楽のために行う人、そしてサマーディに至るために行う人がいると述べられています。

どの目的で行われるかは、その人の心のレベルによって異なるといいます。

サマーディのために行なう人は、生殖や快楽のためではなく、各チャクラを開くために行います。性行為を通してムーラーダーラチャクラを最初に覚醒させます。

また、男性がヨーガ実践者であるなら、パートナーの女性は性行為を通してムーラーダーラチャクラとスワディシュターナチャクラが覚醒するといいます。

男性は、これらのチャクラの覚醒のために通常は、ヴァジローリーのようなクリヤーヨーガの実践を行うべきである、と説明されています。

このあたりを深掘りすることもできますが、セックステクニックのような話になってくるので、ここでは一旦やめておきます。実際、先にも述べられたようにオーガズムを大きくしたりとても長くしたりするなどの秘訣が、ハタヨーガのテクニックの中にはたくさんあります。

ムーラーダーラやスワディシュターナのような下位のチャクラの覚醒に際しては、生殖器が大きく関係していることもあり、男女で進め方に異なるバリエーションがあるようです。

There is another important thing we should all understand. A person who has controlled his lower impulses, a yogi who is practising higher sadhana, doesn’t have to give up his or her partner and the marital relationship. If you think to be a yogi you must give up sex, why don’t you also give up eating and sleeping? Yoga has nothing to do with giving up these things; it is only concerned with transforming their purpose and meaning.

The greatest mistake mankind has been making for thousands of years is that man has been fighting with himself. He wants to renounce sex but he has not been able to do it. Therefore it is important that mooladhara awakening takes place. Then you must make your mind totally free.

ヨーガの実践において、性行為や結婚をするべきでないかどうか、ということに関するひとつの答えがここに示されています。

サティヤナンダ氏の主張では、低次元の心の波立ちをコントロールできるようになり、高いレベルの実践ができるようなった人は、パートナーを持つことや結婚することを辞める必要はないと述べられています。

そういったことを辞めるわけではなく、その目的や意味合いが変わり、チャクラ覚醒などの変容を目的として行っていくようになる、ということです。

歴史上でも多くの議論がなされてきたことですが、やめるべきかやるべきかと悩み葛藤するのは間違いであり、それよりもムーラーダーラチャクラの覚醒が成れば、心は欲にとらわれず自由になることができる、と説明されています。

ムーラーダーラチャクラの覚醒によって起こること

チャクラの覚醒に伴って起こることは、本章の2節でも記されていましたので共通する内容も多いですが、ムーラーダーラチャクラについて詳しくここで述べられています。

When awakening takes place in mooladhara as the result of yoga practice or other spiritual disciplines, many things explode into conscious awareness in the same way that an erupting volcano pushes to the surface things that were hidden beneath the earth. With the awakening of kundaiini there is simultaneous awakening of things from the unconscious field of human existence which one may not have had prior conscious knowledge of whatsoever.

ヨーガや霊的な規範の実践によってムーラーダーラチャクラの覚醒が起こると、火山が噴火して地中に隠れていたマグマが吹き出すように、無意識下に秘められていた様々なことが起こるといいます。

When mooladhara awakens, a number of phenomena occur. The first thing many practitioners experience is levitation of the astral body. One has the sensation of floating upward in space, leaving the physical body behind. This is due to the energy of kundaiini whose ascending momentum causes the astral body to disassociate from the physical and move upward. This phenomenon is limited to the astral and possibly mental dimensions, and this differs from what is normally called levitation – the actual displacement of the physical body.

Besides astral levitation, one sometimes experiences psychic phenomena such as clairvoyance or clairaudience. Other common manifestations include movements or increasing warmth in the area of the coccyx, or a creeping sensation, like something moving slowly up the spinal cord. These sensations result from the ascension of shakti or the awakened kundalini.

まず、クンダリニーのエネルギーが上昇する力によって、アストラル体が肉体を離れて浮遊する経験が現れるといいます。これはアストラル体またはメンタル体の次元に起こることで、肉体が浮揚するものとは異なります。

アストラル体の浮遊に伴って、千里眼や千里耳などの超能力が現れる可能性もあるといいます。また肉体上では、尾骨の周辺が温かくなってきたり、むずむずするような感覚があったり、何かが背骨をゆっくり上っていくような感覚が起こり得ます。これらもクンダリニーの覚醒、シャクティの上昇によって起こるといわれます。

In most cases, when the shakti reaches manipura chakra, it begins to descend to mooladhara again. Sometimes the practitioner feels that the energy ascends to the top of the head, but usually only a very small portion of the shakti is able to pass beyond manipura. Repeated earnest attempts are necessary for further ascension of kundalini, but once kundalini passes manipura, serious obstacles are rarely encountered.

先にも述べられましたが、シャクティがマニプーラチャクラに至ると、多くの場合は下降して再びムーラーダーラに戻るといいます。頭頂にまでエネルギーが至ったように感じることもありますが、この段階ではほんの少しのエネルギーだけがマニプーラを通って上がっていくことができるようです。

このような、上がったり下がったりする初期の試みを何度も繰り返す必要があることもあります。しかしマニプーラを越えて上がっていった場合は、そこから先は大きな障害が現れることは稀であると説明されています。

However, when kundalini is ascending from mooladhara to swadhisthana, the sadhaka experiences a crucial period in which all his repressed emotions, especially those of a more primal nature, express themselves. Passions mount during this period and all kinds of infatuations ensue, making the sadhaka extremely irritable and unstable at times. He can be seen sitting quietly in contemplation one moment and hurling objects at someone the next. One day he may sleep deeply for hours together, another day he may get up at one or two in the morning to take bath and meditate. He becomes very passionate, loud and talkative, while at other times he is silent. At this stage the sadhaka often expresses a great fondness for singing.

ムーラーダーラからスワディシュターナへクンダリニーが上昇する時、抑圧されていた感情、とくに原始的な感情が発現する重要な時期を経験するといいます。

感情や睡眠などが不安定な時期がしばらく続き、またこの時期は歌うことを好むようになったりするようです。

During this period of intense psychic and emotional upheaval, the guidance of a qualified and understanding guru is essential.

このような不安定な時期には、資格のある師匠の指導がとても重要です。

Mooladhara is one of the most important and exciting, but also disturbing of the psychic centers which are awakened through the practices of kundalini yoga. For this reason, the awakening of ajna chakra should always accompany mooladhara awakening. The mental faculties of ajna chakra give the practitioner an ability to witness the events of mooladhara awakening objectively, with greater understanding. This makes the whole experience less disturbing and traumatic.

ムーラーダーラは最も重要で刺激的なチャクラの中のひとつであり、またクンダリニーヨーガを通じて覚醒した各チャクラを妨害することもあるものであるといいます。

そのため、アージュニャーチャクラは常にムーラーダーラチャクラとともに覚醒するようにするべしといわれています。

アージュニャーチャクラのメンタル面への能力は、ムーラーダーラチャクラが覚醒したときに起こる不安定な経験を冷静に観察し、その経験の意味を十分に理解するための知覚を与えてくれます。

そのような理由から、サティヤナンダ氏の行法は、第1チャクラのムーラーダーラチャクラよりも先に第6チャクラのアージュニャーチャクラを最初に取り扱うようにデザインされています。

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参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

「チャクラ」C.W.リードビーター (著), 本山 博 (著), 湯浅 泰雄 (著)

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by 高橋陽介

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