前回、肉体以外の「微細な体」があるのでは、と思ったきっかけを書きました。
前記事:「微細な体」に関するとっかかり話 〜気の体(エーテル体)〜
ここでは、微細な体が「何層か重なって存在している」と思ったきっかけも書いておきます。
感覚するための体、「感覚体」
まず「感覚」について考えてみます。感覚は、神経を介して脳に伝わるとはいえ、「感覚する主体」は脳ではなくやはり「意識」なのだと思います(この時点でいろいろ議論は分かれるかと思いますが)。
眼が開いていても、ぼーっとしていて意識が向いていなければ、「ものを見た」という感覚は起こらないですね。
鼻は開いていても、意識を強く働かせなければ感じられない匂いというものもあります。耳も同様、触覚や味覚も同様です。
「感覚器官」が開いていたとしても、「感覚する」ためには、「意識」を向けなければなりません。逆に、意識を向けなければ、感覚しないこともできますし、意識の向け方によって繊細にしたり鈍感にしたりコントロールすることもできます。
ということは、感覚する範囲や精度を左右する「感覚する体」も別で存在するように思えます。それがなにかしらの微細な物質として存在するかどうかは別として、意識によって変化するそういう領域があるというのは、なんとなく感じ取れると思います。
怪我などで腕を失った人が、腕の感覚を得続けていたりする話もありますが、そのあたりとも関係がありそうです。
肉体や感覚体を動かすための体、「意識体」
ここまで、肉体・気の体・感覚体といったものがでてきましたが、これらを動かすための「意識の体」もあるのでしょう。
おそらく、この「意識の体」と肉体・気の体・感覚体はある程度重なり合っていますが、重なっていない場合もあったり、精度にもばらつきがあったりして、これらは別々に存在するように思えます。これらの体をうまく連動させるというのが、健康の維持やスポーツの上達などにおいて重要な気がします。
これを物質的に考えれば、脳や神経回路を発達させるといった話になってきます。しかし発達させるといってもどうやるのか、そこにはまずやはり「意識」があり、「意識」の使い方を磨くということになるのでしょう。
たとえばギターを練習するなら、指で正確に弦の位置や張力を感じ取る感覚と、正確なフレットをリズムに合わせてすばやくおさえる動きの意識を磨いていきます。
何層かある体を、ひとつにまとめているモノ
以上のように考えると、肉体・気の体・感覚体・意識体といったいくつかの体が重なり合って存在しているように思えます(すべて仮称ですが)。
そして、それらをひとつにまとめて監督しているモノがありそうです。
それがおそらく「魂」などと呼ばれているものかと思います。
これには決まった形というものがないかもしれません。「意志」あるいは「意図」だけでも事足りそうです。これはイメージとしては、「プログラム」あるいは「エネルギー」といったものに近いかもしれません。
ただ、体に結び付けられているということは、場所(所在地)という概念はあるのでしょう。ということはなにかしらの形もあるのかもしれません。このあたりになってくると、多次元の話になってくるので、通常の肉体のように3次元で捉えるのは難しくなります。
この魂は肉体がなくなっても、存在するのかもしれません。実際に経験してみないとわかりませんが。
ヨーガでは、魂が輪廻するとして、魂が経験を積み過去のカルマを精算するために、肉体やその他の各体が与えられているとする考え方をしますが、その考え方を採用するかどうかは人それぞれで良いと思います。気づきを極限まで磨き、知識に頼らず、自分自身で直観するようにしていきましょう。
参考:ヨーガスートラ解説 2.12-2.15 〜カルマと苦〜
肉体だけに執着しない、感覚・意識を磨く
これらの体や魂が現在の科学で計測できるのか、あるいはこういった考え方がいろいろな宗教や哲学と整合性があるのか、といったことはいったん置いておいて、肉体だけにとらわれず、こういう体が何層かあるという感覚を身につけておくことは重要であると思います。
スポーツ選手などが肉体を大きく動かさずにイメトレをするのも、感覚体・意識体を磨くことができるとすれば、とても意味のあることです。それは必ず気の体を通じて肉体の動きに影響してきます。スポーツの動作でも、日常の動作でも同じように、イメージが大切です。
たとえば難しいアーサナに出会ったとき、どうやって行うのかイメージが全くできない場合は、おそらくそのアーサナをやるには何か準備が足りないので、いまやるべきではないかもしれれません。
イメージと感覚、そして気の流れと肉体の動き、そういったものを統合的にとらえることによって、精度の高い行動をしていくことができます。
肉体だけに執着せず、良い「気」を身にまとって、感覚を磨いて、イメージを磨いて、といったことにも意識を向けて行き、より心身の自然な使い方が身につけていきましょう。