「蜂の羽音」という意味の呼吸法、ブラーマリープラーナーヤーマ(ブラーマリー呼吸法)。音を用いる特殊な呼吸法です。
耳を塞いで、ハミングする音を頭のなかに響かせることで、頭の深い部分にあった緊張を解き、頭痛や耳鳴りの改善につながるとされています。
NHKの「あしたが変わるトリセツショー」では、「ハミングビーブレス」という名前で、脈拍をコントロールする呼吸法として紹介されていました。
ブラーマリープラーナーヤーマの効果
- 頭痛の改善
- 耳鳴りの改善
- ストレス解消
- 自律神経を整える→脈拍や血圧などのコントロール
ブラーマリープラーナーヤーマの禁忌・注意点
中耳炎・外耳炎など耳の病気を患っている人は、治るまで避けましょう。
心臓病などの持病のある方は、息を止めずに行います。
ブラーマリープラーナーヤーマのやり方
1)快適で安定した坐法で坐る
シッダーサナ、パドマーサナ、スカーサナ、ヴィラーサナなど、瞑想にも適した長時間キープできる坐法で坐ります。背骨が直立して伸びていれば、どんな坐法でも大丈夫です。
2)手で耳をふさぐ
手の使い方としては、目を覆うやり方と、覆わないやり方があるようです。
写真は、目を覆うやり方で行っています。目を覆う場合は、親指で耳の穴を押さえてふさぎ、目は力まないように閉じ、残りの四本指でやさしくまぶたを覆います。
目を覆わず耳の穴だけふさぐ場合は、人差し指か中指で耳の穴をふさぎ、目は力まないように閉じます。
3)口をやさしく閉じ、歯は少し離す
あごはリラックスして口をやさしく閉じ、歯は噛み合わせず少し隙間をあけておきます。これによって、音を頭に響かせやすくなります。
4)ハミングする
意識はなるべく頭の真ん中(アージュニャーチャクラ)に置きます。
鼻から息を吸って、吐く息のときに「ン〜」とハミングします。「ソフトでまろやかな音」を出すようにします。
音の高さは、いろいろ変えて試してみると良いでしょう。頭蓋骨が心地よく振動するように、気持ち良いと感じる周波数に調整します。
上級者用のやり方
慣れてきたら、息を吸ったあとに止めて、ムーラバンダとジャーランダラバンダを行うやり方もあります。吸う息のときとクンバカ中は、手は耳にセットせず膝の上に置いています。クンバカのあとに、バンダを解いて頭を起こしてきたら手をセットして、ハミングを行います。
さらに、吸う息のときにもハミングを出すやり方もあります。ウジャイ呼吸の要領で、のどの奥を少ししめるようにして息を吸うと、吸う息のときも音を鳴らすことができます。一定の音を出すには練習が必要かもしれません。(最初インドで先生に見せてもらったとき、なんで音がずっと鳴ってるの??と不思議に思ったものです。)
5)繰り返す
5〜10セット程度行った後、自然な呼吸に戻します。
ブラーマリープラーナーヤーマのコツ・練習法
「蜂の羽音」というのが人によってイメージが様々かもしれません。
蜂というと攻撃的なイメージもありますが、ここで使うハミングは「ソフトでまろやか」というのが良いとされています。
うまく行うには、以下のようなポイントがあるかと思います。
- 吐く息の間中、なるべく一定の強さ・高さの音を出すようにコントロールする。
- 頭が振動するような、心地よい周波数の音を探す(耳鳴りの音がヒントになるかもしれません)。
- 頭全体、顎や喉、おさえている手などもすべて力まないようにして、音の響きがよく伝わるようにリラックスしておく。
- おだやかな心で、ソフトでまろやかな音を出すようにする。
音とセルフケア
音(振動)というのは、人の健康を考える上ではとても重要な要素であると思います。
心地よい音を聞いているだけで、心身は整っていきます。
逆に、心地よくない音が耳に入るのをなるべく避けるようにしましょう。無意識に、頭を固めてしまっていることが多いです。
都会を離れて自然の音を聞きに行くであるとか、オーケストラを聞きにいくなど、良い音を聞いて心身を整える機会を作ってみるのも良いでしょう。
ブラーマリー呼吸法のように、自分の声を、自分を整えるために用いる技もいろいろあります。お経を唱えるとか、歌をうたうというのも立派なセルフケアになります。
プラーナーヤーマ名の表記バリエーション
【日】ブラーマリープラーナーヤーマ、ブラマリープラーナーヤーマ、ブラーマリー呼吸法、ブラマリー呼吸法、蜂の呼吸法、蜂の羽音の呼吸法、ハチの呼吸法、ハチの羽音の呼吸法
【梵】Bhramari Pranayama
【英】Humming Bee Breathing, Humming Bee Breath, Bee Breath