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股関節のゼロポジションを活用して、負担の少ない座り方を考える

股関節のゼロポジションを活用して、負担の少ない座り方を考える

股関節が一番「楽」なポジションとは

ヨガのレッスンで、瞑想や呼吸法やマントラを実践する場合に、しばらく座っていないといけないので「あぐらが苦手なひとは、ブロックの上に座ってもいいですよ」と言われることがあると思います。

そう言われると、むしろがんばってブロックを使わずに耐えたほうが偉いのではないか?などと思ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、ブロックなどに座って「骨盤よりも低い位置に膝を置く」ことは、十分にメリットがあると思います。

その根拠として、「股関節のゼロポジション」というものを考えてみます。

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この記事の目次

肩関節のゼロポジション

ちなみにゼロポジションという言葉は、肩に負担の少ない投げ方ができる「肩関節のゼロポジション」として、少し前に野球界などで話題になりました。

野球のピッチャーのスリークォータースローのような角度で、(真下を0°として)体側へ腕を上げていき約140°の方向へ腕を伸ばすと、肩周りの各筋肉に負担が均等に分散された「ゼロポジション」と呼ばれる位置が見つかります。

肩甲骨の上部に、横切る山脈のような「棘(きょく)」という出っ張りがありますが、棘をそのまま延長していく方向へ腕を伸ばした状態がゼロポジションです。

別の探し方としては、頭の後ろ(頭頂の後ろあたり)で手を組んで、その状態から上腕と肩を動かさずに肘を伸ばした位置あたりです。

つまり、肩周りに一番ストレスがかかっていない状態というのは、腕をだらんと垂らした状態ではない、という話です(実際、重力の関係もあるので、立った状態でゼロポジションでキープするのは疲れますが。仰向けなどでやってみるとよりわかりやすいです)。

股関節のゼロポジション

では、股関節の場合はどうでしょうか。

直感的に私は、それは「椅子に座っているときのように、脚をそろえて・股関節が90°曲がった状態、ではないのでは?」と思いました。

調べてみたところ、ゼロポジションという言葉も正確に定義されたものではないようで、諸説あるようなのですが、股関節が45〜70°屈曲(背骨と太ももの間の角度は110〜135°)、30〜45°外転した状態あたり(左右の脚を開く角度として60〜90°)が、負担がよく分散された場所のようです。

背骨と太ももの間の角度は110〜135°あたりにいればゼロポジションに近づくということならば、椅子に座った場合、膝の位置は座面より低いほうが股関節の負担は分散されやすいということになります。

股関節のゼロポジションを活用した坐法・座り方

股関節のゼロポジションを調べてみた上で思い浮かんだのは、一昔前に流行った「バランスチェア」ですね。

あの姿勢が本当に楽なのかというと、昔私が仕事をしながらバランスチェアを試したときは、すねに体重がかかりすぎて痛くなってしまい、長時間座っていられませんでした。骨盤の角度をより正確に調整する必要があったのか、やはり座り方にコツや慣れが必要だったのかもしれません。

バランスチェア自体に関する話はいったん置いておいて、ひとまず、ブロックなどの上に坐って「膝を低くする」ということは、背骨を立てやすいだけでなく、股関節の負担を減らす上でも有効なようです。

外転についても考えてみると、瞑想に最適であるとされるパドマーサナ(蓮華座・結跏趺坐)は、股関節は30〜45°外転の位置になるので、ゼロポジションに近いようです。パドマーサナの場合、ブロックに坐ると少し高すぎて膝を床におろすのが難しくなってしまうこともあります。タオルを畳んで下に敷くなどして少し高さをつくると、かなり楽に座れるようになるかもしれません。練習は必要ですが、「適度な高さの敷物の上に、パドマーサナで坐る」のは最適な坐法のひとつとなるかと思います。

パドマーサナ(蓮華座・結跏趺坐)

また、前の記事で「左右対称の坐法」について考えてみましたが、正座や割座は基本的にあまり膝を開かないのですが、バドラーサナ(吉祥坐)のように適度に膝を開くことで、よりゼロポジションに近づけそうです。(バドラーサナや吉祥坐という名前は流派によって異なる坐法を指す場合もあります)

バドラーサナ(吉祥坐)

前記事:坐法の選び方・練習法、左右対称の坐法・非対称の坐法について

これらを考えると、「ブロックなどの上に、適度に膝を開いたバドラーサナで坐る」のは、試してみる価値のある坐法かと思います。

バドラーサナはパドマーサナに比べると、骨盤が後に倒れやすく、また足首や膝の癖なども関わるのでしっかり左右対称をつくるのは意外と難しく、まっすぐ長時間坐るには練習も必要です。逆に言えば、バドラーサナを練習することで、足首・膝・股関節の癖を直して骨盤矯正につながります。パドマーサナよりも始めやすい坐法ですし、足首・膝・股関節の癖を直すことはパドマーサナを深めることにもつながります。

普段の座り方にも意識を向ける

股関節のゼロポジションについて考えると、長時間椅子に座っている場合、骨盤は後ろへ傾けたくなり、股関節は90°の状態から110〜135°へ開いていき、そのぶん背中は丸くなり…そして脚を少し開きたくなる…というのは、自然なことかもしれません。

これらのヒントをもとに、普段の仕事中や勉強中の座り方、そして椅子や机にも気を配り、いろいろ変えて試してみると良いと思います。

参考:チェアヨガ・ベーシック|オフィスや学校で全身を動かせるポーズ集

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高橋陽介

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