オンライン個別レッスン 初めての方/目的別MENU
ハタヨーガプラディーピカー概説 3.6-3.9 〜10種のムドラー〜

ハタヨーガプラディーピカー概説 3.6-3.9 〜10種のムドラー〜

手を使ったムドラーが一般的だが、ハタヨーガにおけるムドラーとは

ハタヨーガの古典の中で、最も体系化されているとして重要視されているハタヨーガプラディーピカー

今回は、10種類のムドラーが示されている部分を紹介します。また、ムドラーとは何かということを考察してみます。

以下、日本語訳は「ヨーガ根本経典/佐保田鶴治」から引用しています。

この記事の目次

10種のムドラー

3.6 (一)マハー・ムドラー、(二)マハー・バンダ、(三)マハー・ヴェーダ、(四)ケーチャリー、(五)ウディーヤナ、(六)ムーラ・バンダ、(七)ジャーランダラ・バンダ、

3.7 (八)ヴィパリータ・カラニー、(九)ヴァジローリ、(十)シャクティ・チャーラナ。以上十のムドラーは老と死を無くするものである。

ここでは、ハタヨーガプラディーピカーで示されているムドラーの中で主な10種類が羅列されています。

ざっと内容を紹介すると、一〜三は体全体を用いたもの、四は舌を使ったもの、五〜七は現代ヨガのプラーナーヤーマやヴィンヤサヨガでも用いられるバンダ(特定の箇所を締め付ける・意識を集中する技法)、八は現代ヨガで行われる逆転ポーズで体全体を用いたもの、九 ・十については教典によってもかなり内容が異なるので、後ほど扱うことにします。

参考:3つのバンダについて

ムドラーという語は日本語では「印」「印相」などと訳され、現代ヨガではチンムドラーやアンジャリームドラーのような手を使ったものだけが一般的になっていますが、これらのリストを見てみると、体の様々な部分を使って印相を表していることがわかります。

参考:チンムドラー・ジュニャーナムドラーの意味・違いに関する考察

ムドラーとは何か

合掌(アンジャリームドラー)や法界定印などのように仏教でも行われていたり、アニメなどで臨兵闘者皆陣烈在前(九字の印)が用いられたりもしますが、これらは手を使った印です。

それに対して、ハタヨーガで示されている印の中にはむしろ手を使ったものはなく、体の様々な部分を使ったり、イメージを使った瞑想法のようなものもあったります。

ではムドラーとは何なのか、なぜ重要とされるのか?

ムドラーとは、

  • アーサナ(姿勢)
  • バンダ(特定の箇所の締め付け・意識の集中)
  • プラーナーヤーマ(呼吸)

を組み合わせたものであると説明されることがあります。(バンダ自体もムドラーの中に含まれることがあり、そのあたりの分類は曖昧ですが)

さらに、イメージに関するムドラーも存在することから、心も一点に定まっている状態と言えるでしょう。たとえばゲーランダサンヒターには、〇〇・ダーラナー・ムドラーという名前のものが5つ記されています。ダーラナーとは、アシュターンガ(八支則)における六段階目、「集中」であり、体に関するものではなく、より内的な段階を示しています。

つまり、手を使った印を用いる場合も、たとえば慈しみを込めて合掌したりといったように、ただ形を真似るだけでなく心の集中も伴った上で行わなければ「印」とは言えないのでしょう

このように捉えると、アーサナやプラーナーヤーマといった技法の集大成がムドラーであり、ハタヨーガを完成させるためには確かに重要なものと思われます。

このあと、各ムドラーの方法や効果の説明に入っていきます。

(次)ハタヨーガプラディーピカー概説 3.10〜3.31 〜「マハー(偉大な)」がつく3種のムドラー〜

(前)ハタヨーガプラディーピカー概説 3.1〜3.5 〜ハタヨーガの原理〜

参考文献

「ヨーガ根本教典」佐保田 鶴治 (著)

「サンスクリット原典 翻訳・講読 ハタヨーガ・プラディーピカー」菅原誠 (著)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

お読みいただきありがとうございます。他にもコラムを多数公開しています。
より知識を深めたい方には、オンラインプライベートレッスンを行っています。

コラムを探す オンラインレッスン

公式LINE レッスン料金 スケジュール

※記事内容は執筆当時の情報・見解によるもので、現時点では有効でない場合がございます。

※記事内容を参考にされて生じたトラブルなどについては、自己責任にてお願いいたします。

サイト内検索

コラムを探すページへ