梵:अस्मिता asmitā
英:egoism
日:自我意識、我想
アスミターの意味
アスミターとは「自我意識」「エゴ」「エゴイズム」などを意味する言葉。日本語では「我想」などと訳されることもある。
全てがひとつであったブラフマンの状態から分離して「我」という意識が生まれた。ブラフマンとひとつである(梵我一如)ということを忘れた無知(アヴィディヤー)によって、「他と私は異なる」というアスミターが生まれ、そこから様々な煩悩が生まれることになる。
ヨーガスートラにおけるアスミター
ヨーガスートラでは、ゴールに至るまでの5つの障害・煩悩(クレーシャ)を挙げ、その中にアスミターが含まれている。
- アヴィディヤー:無知
- アスミター:我想(エゴ)
- ラーガ:執着
- ドヴェーシャ:嫌悪
- アビニヴェーシャ:生命欲
サマーディの段階におけるアスミター
最終的なゴールである無想三昧(アサムプラジュニャータ・サマーディ)に至るまでの段階として、手放すべき心の作用を段階的に分けており、その最後にアスミターが含まれている。
- ヴィタルカ 論証性(尋)→ 粗大な対象(具象)、五感で感じ取れるもの
- ヴィチャーラ 反射(伺)→ 微細な対象(抽象)、「愛」「美」などといった概念
- アーナンダ 歓喜(楽) → 心そのものの純粋な働き、そこには「喜び」だけがあると言われる
- アスミター 自意識(我想)→ 「私」という意識のみ
アスミターとアハンカーラ
アスミターと似た概念として、「我想」「自我意識」など同じ言葉で訳されることもある「アハンカーラ」がある。
アハンカーラは真我(プルシャ)が物質世界に個体として存在するための原理を表し、アスミターは心の作用としての自我意識を表していると言われる。
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