アレクサンダー・テクニークとは
「アレクサンダー・テクニーク」は、世界にたくさんあるボディワークの一つで、1900年ごろから主に演奏家や俳優など表現者の間で広まっていった手法です。
表現者だけでなく一般人にとっても、日常生活において心身をうまく使うためのヒントがたくさん詰まっていて、座り仕事での体の使い方などに応用して伝えているトレーナーの方もいらっしゃるようです。
ヨガとアレクサンダー・テクニークの共通点
ヨガとアレクサンダー・テクニークにはよく似た概念がいくつか出てきます。
「ヨガとアレクサンダー・テクニークの違い」を説明した記事はよく見られますが、基本的にほとんど同じことを表現を変えて説明しているように思えます。
同じことを説明しようとしても、物事は言葉にした時点で曲解や誤解を生みます。
特に、心の話やインナーマッスルの話などは目で見えないので、人によって本当に様々な捉えられ方をします。
多くの人になるべく正しく伝えるために、私もいろいろな言葉の表現を引き出しに増やしています。
アレクサンダー・テクニークで用いられている表現は、その一つとして時々活用しています。
(私のレッスンを受けている際に「?」と思ったときは、遠慮なく聞きなおしてください。そのときは、別の表現を使ったりしてみます。)
今回は、主要な概念だけひとまず扱ってみます。
アレクサンダー・テクニークの基本概念を勉強してみた上での私の個人的な解釈なので、考え方のひとつとして参考にしていただければと思います。
心と体は切り離せない
心身一如、ヨガでも禅でも用いられる概念です。
アレクサンダー・テクニークでは心を体を合わせて統合された「自己(セルフ)」として扱います。
ヨガでは自我を心身とは別のものとして扱うので、言葉上はヨガとは少し違うように聞こえますが、扱い方としてはアレクサンダー・テクニークでも自我と切り離して心身を扱っている印象を受けるので、相反するものではない気がします。
結果主義(エンドゲイニング)を避ける
結果を求めないで行為(カルマ)に集中すること、これはヨガやマインドフルネス瞑想でもよく言われることです。
アシュタンガヨガにハマってしまった人が、難しいアーサナができるようになりたいと焦って怪我をすることがよくあります。
アヒンサー、サントーシャ、ヨガの基本的な考え方をしっかり実践していれば、エンドゲイニングにならず、怪我もしないはずなのです。
方向性(ダイレクション・ディレクション)・抑制(インヒビション)・ノンドゥーイング
結果を求めないとはいえ、人は心身を変えたいからヨガや瞑想を始めるもの。
アレクサンダー・テクニークの方向性(ディレクション)は、心身全体が協調(プライマリーコントロール)してひとつの方向へ向かうようにする活動を指します。
具体的には、ついついやってしまう癖を抑制(インヒビション)し、本来あるべき使い方に戻していくこと。「〜しない(ノンドゥーイング)」というアプローチを繰り返していき、シンプルにしていきます。
見れば見るほど、ヨガでやっていることと同じことを言っていますね。
≫ヨガのポーズは体を「静止させる」ものではない
表現を変えることで、こちらのほうがしっくりくるという方は、アレクサンダー・テクニークを取り入れて勉強してみるのも良いかと思います。
方向付け(ディレクション)して常修(アビヤーサ)を行いつつも、結果主義(エンドゲイニング)を避けて無執着(ヴァイラーギャ)であること。
試しに混ぜてみました。
参考書籍:
≫音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門