パワースポットに関する記事を私が書いているのを友人が見て、「パワースポットってそもそも何?」という話になったので、東洋医学の「補瀉」の考え方を交えて、パワースポットの効果や選び方に関して、少しヒントを書いておきます。
いろいろな不調の主な原因は「偏り」
パワースポットに行きたいと思っている人は、心身になにかしらの不足・不調を感じているということかと思います。
それを改善するために、パワースポットをどう選んだらいいか考えていきます。
偏りの慢性化
たびたび記事にも書いてきましたが、心身の不調のほとんどは「偏り」の慢性化によって生まれると思われます。
参考:なかなか治らない痛みなどに、「虚実」「補瀉」を意識して適切な治療をする
なにが偏っているのかというと、物理的に姿勢が偏っていることもあるし、負担が偏っていることもありますが、姿勢も行動も、最初に偏り始めるのは「意志」あるいは「欲求」ということになるでしょう。
たとえば「前に進みたい」と思えば前に体重が偏って足が前に一歩進み、「スマホの画面を見たい」と思えば眼や脳は小さな画面を見るモードに偏ります。その偏りには、意識的(気づいている)or 無意識的(気づいていない)の両方があり得ます。
度々書いてきていますが、偏り自体は悪ではなく、生きて行動するためには必要なものです。偏らなければ前に歩くこともできません。しかし偏りが慢性化してしまうと、いろいろな症状につながるため、バランスが大切ということです。
パワースポットの効果を考えるとき、このように「偏りを改善し、バランスを整える」という考え方は重要になるかと思います。
意志と「気」「プラーナ」
東洋医学で「気」、ヨーガで「プラーナ」などと呼ばれる生命エネルギーは、「意志」に従って流れるため、気が集まりすぎているところは流れが滞り熱を帯びたり表面は突っ張ってきたりして、気が不足しているところは冷えて表面は力無くなって奥の方が固まる、といった症状になっていきます。
目や手のように意識的に使いすぎてしまっている部分もあれば、心・脳や内臓など無意識的に使いすぎてしまっている部分も実はとても多いことでしょう。
その反面、本当はとても重要なはずの背骨周辺や脳の中心などには、あまり意識が行き渡っていないという人も多いかと思います。
よくある偏り方としては、前・外・上へと偏ってしまうことが多いかと思います。そういう場合は、後・内・下にも意識を向けて、バランスを取る必要があります。
ちなみに坐った状態での後・内・下には、尾骨や仙骨があり、第1・第2チャクラなどがあり、多くの人はあまりそこに意識を向けていないということになります。意識を向けることで、それらに気が流れて活性化されていきます。
尾骨(尾てい骨)はほとんどの骨盤底筋がつながっている場所で、単なる尻尾のなごりではなく、人間にとって非常に重要な役割を持つ骨です。
参考:骨盤底筋
虚実と補瀉
気が集まりすぎて滞っている「実(じつ)」の状態の場所には、その気を適切なところに流したり外に出したりする必要があり、そのときの技法を「瀉(しゃ)」と呼びます。
気が不足している「虚(きょ)」の状態の場所には、気をほかから流してきてあげる必要があり、その技法を「補(ほ)」と呼びます。
灸と鍼は、補瀉の代表的な技法ですね。その他にも指圧やヒーリングなど、様々な技法がありますが、それらも基本的には補瀉を意識して行うものが多いかと思います。
参考:セルフケアにも活用できる、ヒーリングや整体の「手技」の種類
症状をしっかり観察して、適切に対応する
たとえば「肩こり」という症状を考えた場合でも、肩がパンパンに張っているのか、冷えて元気がなくて奥が固まっているのか、原因は虚と実のどちらの場合もあり得るので、どちらの状態になっているかを見極めないと、真逆の対応をしてしまうこともあります。対応を間違えると、症状は悪化してしまいます。
その判断には、たとえば場のエネルギーを感じ取るなどの場合は気を読み取る力が必要かもしれませんが、体の状態を判断するだけであれば大抵の場合は「注意深く触ってみる」ことで違いに気づくことができるかと思います。
虚実を読み取り、多くの場合は鍼や灸などの適切な対応を選んで行うわけですが、ここでは「症状に応じて、どんなパワースポットに行くべきか」ということを考えてみます。
補瀉と、浄化&チャージ
虚実・補瀉の考え方をもとに、少しスピリチュアル的なワードに置き換えてみるとしたら、「浄化」は「瀉」で、「チャージ」は「補」にあたるかと思います。
パワースポットの効果について解説されている文章を見ると、「邪気の浄化」や「清気のチャージ」といった言葉が使われていることがあります。虚実それぞれの状態に気づいた上で、浄化とチャージのどちらか適切なパワースポットを選ぶと良いでしょう。
補瀉、どちらから行うか
基本的には、気功などでもまずは滞っている気を流す「瀉」を行ってから、新しい気を入れてくる「補」を行うという順番で行います。
とくに全てが過剰になっている現代人にとっては、「瀉」の意識が大切のように思えます。いろいろなものを手放す、禅やヨーガの考え方にも通じるものがあります。
まずは所有物を捨てて部屋に余裕をつくらなければ、新しいものを買って置くことはできません。
しかし、現代ではとにかく何かを加えていこうとか余白を埋めていこうという発想になってしまうことも多いですね。過剰になっているところに新たなエネルギーを流し入れたら、頭痛になってしまったり、便秘になってしまったり、「実」の症状が悪化してしまいます。
呼吸も同じで、まずは吐き切ることで、新しい空気は自然に入ってきます。
浄化とチャージ、どちらを行うか意識してパワースポットを選ぶ
補瀉の考え方をふまえると、パワースポットを選ぶ時は、まず「浄化」に適した場所を選ぶと良いかもしれません。
そして余裕と流れが生まれた後、「チャージ」する目的のパワースポットを選ぶのが良いかと思います。
パワースポットやパワーストーンやヒーリングなど、分からないものを試してみるときは、補瀉の考え方などを元にして気づきを磨きながら、その効果を注意深く観察してみると良いでしょう。
たとえばチャージを目的にしているのに、なんだか活力を奪われるような気がして疲れてしまった、という場合は、選び方を間違っているかもしれません。
ただ、パワーストーンもパワースポットも人間も、常に変化するものなので、今の状態で気持ち良いかどうかを感じ取る必要もあるかと思います。
パワースポットの選び方・訪れるときのポイント
他人の評判に頼りきらず、自分の感覚を磨く
「ここはパワースポットです」と誰かが言っていても、実際に行ってみると、そんなに良い場所ではなかったということもあるかもしれません。
そこが自分に適したパワースポットではなかった可能性もありますし、パワースポット自体の状態が変わっていた可能性もあります。
上記のように、浄化を目的にしているのか、チャージを目的にしているのかも意識して、パワースポットにいるときに「どんな感じがするか」をしっかり感じ取るようにすると良いでしょう。
他人の評判はヒントにはなりますが、自分の感覚を磨くことが大切です。
滞在時のイメージも大切
気は意志に従って流れるので、せっかく浄化スポットにいるのに昔の悪い記憶に執着して考え続けていると、あまり効果がないかもしれません。
そういった執着が流れ出ていくようなイメージをしながらしばらく浄化スポットにいると、より効果は高まるかと思います。
たとえば陽の光を受けたり炎を見たりしながら、余計な思念を焼いてくれているイメージをすれば浄化になりますし、熱を受けてエネルギーを高めるイメージをすればチャージになります。
このようにイメージ次第で、パワースポットの効果は大きく変わる可能性があります。結局のところ、イメージや感覚が大きく心身の状態を変えていくので、パワースポットから受ける「なんか良い感じ」がとても重要なのかと思います。
そういったイメージのやり方を磨いていけば、いずれはパワースポットに頼らなくても自分だけでセルフケアできるようにもなっていきます。実際、「自分の最も心地よい場所にいるイメージをする瞑想」というものがあります。
ただ、イメージの力も及ばないほどの影響力のあるパワースポットもあるかもしれません。そういう場所でどのように振る舞うのが良いかは、後述します。
パワースポットの状態も変化することがある
同じ岩や樹を触っても、時によってパワーが吸われる感じがすることもあるし、パワーを発している感じがすることもあるかもしれません。
それに対して、永遠に変化しないような安心感を漂わせている場もあります。たとえば神社の神前などで、そんな感覚を受けることがあります。
訪れるタイミング
有名なパワースポットには、人がたくさん訪れていることがあります。人がたくさんいると、そのエネルギーが入ってくるため、逆に疲れてしまうこともあるかもしれません。
訪れるならできれば人がたくさんいないとき、早朝などが良いかと思います。
パワースポットの分類例
浄化のパワースポット例
流れのある場所や、なにか吸い取られるような力や洗い流してくれる力を感じる場所が、浄化に適しているかと思います。
例:滝、川、風通しの良い場所
チャージのパワースポット例
照らされる、何かが湧き出る・溜まる場所などが、チャージに適しているかと思います。
例:温泉、水源、陽当たりの良い場所
浄化&チャージのパワースポット例
前項で書いたように、イメージ次第でどちらの効果にもなる場合があります。
手放したいものを流したり、力を与えてもらいたいと祈ったり、イメージを明確にすることでその効果はより高まります。
たとえば「縁結びの神様がいる」といわれている場所があれば、その祈りのイメージをより具体的にしやすいでしょう。イメージすることで、それは現実に近づいてきます。そういった「イメージを促進する」という面でもパワースポットは意味があるのかもしれません。
ただ、意図もイメージも全て手放して委ねることによって、自分も気づいていなかった良き方へ導かれるという場合もあります。瞑想を極めていくと、手放して委ねていくことにつながります。寺や教会で坐禅や瞑想をするのは、そういった意味もあるのでしょう。
完全に委ねるとしたら、もしそこに悪いエネルギーがあったら入ってきてしまいます。よほど信頼できるパワースポットが見つかったときに、そこでは余計な意図を手放して、委ねるということを行うべきでしょう。
例:海、山、岩、大木、寺・神社
まとめ
パワースポットを訪れる時、人々は何を思っているのでしょうね。
何を感じるか、何を思うかによって、その効果は大きく変わってくるのでしょう。
どのパワースポットを訪れるのがいいか、ひとまず浄化とチャージという観点から、今の自分に合った場所を選んでみると良いかと思います。
ここでは、「エネルギー」とか「感じ」とか、少し曖昧な言葉を使ってきましたが、物理的には何が起こっているのか?ということも改めて別の記事で考察しようと思っています。