アームバランス、立位バランスポーズの大事なコツを書いておきます。
- 全身に、偏りなく均一に意識が行き渡るようにする
- 適度にリラックスする
これらのコツは、様々なヨガポーズのコツや、日常生活における「良い姿勢」のコツと共通です。
代表的な立位バランスのヴリクシャーサナとアームバランスポーズのカカーサナを例として、どうやって崩れたバランスを戻すかということを考えてみます。
この記事の目次
全身に、偏りなく均一に意識が行き渡るようにする
意識の偏りかたの癖は、人それぞれです。多いパターンとしては、「頭」に偏っていたり、アームバランスの場合は「手首」だけに偏っていたりします。
意識が偏っていては、バランスが崩れたときに整えるのは難しくなります。
全体を均一に意識で包むようにするか、少なくとも頭や末端ではなく丹田のような体の中心部に意識を置くようにすると良いでしょう。
「意識を向ける」というのは、「力を入れる」というのとは異なります。
集中しすぎて偏っていた意識を全体に広げる必要があるので、「力を入れる」「目で見る」といったピンポイントな動作とは逆の方向かもしれません。
目を閉じてポーズをとってみるというのもひとつのヒントです。クッションなどを近くに置いて、怪我をしないように慎重に行いましょう。
目で見るのをやめると、前方・頭に集中しすぎていた意識が、少し後方・全体にひろがっていくかもしれません。これも人それぞれ、癖の強さによって感じ方は異なりますが、少なからず変化が生じるきっかけになるかと思います。
適度にリラックスする
新しい仕事を始めるには、適度に余裕が必要です。
筋肉も、新しい仕事をしてもらうには、適度に力が抜けている必要があります。
体も、周りの空気なども、静止しているわけではないので、バランスポーズをとっている間も体は多少揺れたりします。
揺れるということは少しバランスが崩れるわけですが、バランスが崩れたときに立ち続けるためには、崩れたバランスを戻す力が必要です。
もし全身の筋肉が緊張していて全く余裕がない状態のとき、バランスが崩れたら、それを戻すという仕事が全くできないことになります。
そのため、適度に力が抜けて余裕がある状態にしておく必要があります。
適度に余裕のある状態を、なるべく定常的につくるためには、重心の位置を把握し、体全体のアラインメントを適切にするのがポイントです。
骨が重力に対してバランスの悪い位置にいると、筋肉は骨が倒れてしまわないように支えようとして常に働き続けることになります。
その状態から、さらに揺れなどの他の刺激が加わった時、もし余裕があれば筋肉が働いてバランスを保つことができますが、緊張状態にいる筋肉ではバランスを保つために働けず、全体のバランスは崩れて転倒してしまいます。
ヴリクシャーサナ(木のポーズ)で「崩れたバランスを戻す」例
立位バランスの代表的なポーズ、ヴリクシャーサナ(木のポーズ)で「崩れたバランスを戻す力」を考えてみましょう。
立位バランスの場合は、前後左右どちらにも崩れる可能性がありますが、主に左右へのバランスがより重要かと思います。
内側に崩れたバランスは、親指の付け根で床を押す力で戻せます。外側に崩れたバランスは、小指の付け根を押す力で戻せます。非常に僅かな動きではありますが、体全体のバランスを左右する重要な力です。
これらの力を使うために、平常時は内外両方に偏りなく乗っている必要があります。
平常時からどちらかに偏っていると、そちら方向にバランスが崩れてしまったときに成す術なく倒れてしまいます。
また前後のバランスも考えると、前に崩れたバランスは指先で床を押す力で戻し、後ろに崩れたバランスはかかとで床を押す力で戻せます。
前後のバランスをとるために、平常時は指先に乗りすぎないように・かかとに乗りすぎないようにします。
前後左右のバランスをとる力がうまく使える平常時の重心位置を考えると、足の形状との兼ね合いで、「内くるぶしの下あたりに重心を置く」のがベストかと思います。
内くるぶしはスネに通っている2本の骨のうち太い方であり、その下は距骨でしっかり支えられているので、外側に乗るよりも安定します。
また足の裏や足の甲、すねやふくらはぎの筋肉は適度にリラックスした状態を保つようにしましょう。
カカーサナ(カラスのポーズ)で「崩れたバランスを戻す」例
手だけで全身を支えるアームバランスポーズの基本、カカーサナ(カラスのポーズ)の土台部分を例にして、「崩れたバランスを戻す力」について考えてみましょう。
カカーサナは、「前後のバランスが崩れやすい」ポーズかと思います。
結構勇気を出して前へ出ていかないと、バランスを取れる位置まで行かないのですが、前へ倒れて顔を床にぶつけるのが怖いと感じる人が多いかと思います。
「前に崩れたバランスを戻す力」は主に、手招きするように手首を曲げる方向の力と、床をつかむように指を曲げる方向の力です。
後ろに崩れる分にはあまり怖くはありませんが、「後ろに崩れたバランスを戻す力」は手首で床を押す力です。
体全体から考えるととても小さな動きですが、土台を支える上ではこのような細かい力のコントロールも重要です。
これらの力を使えるようにするには、最初から手首だけに乗ってしまっていては手首で床を押す力が使えないので、重心は手のひらの真ん中あたりというのが良いでしょう。ここは通常はドーム状になっていて接地しておらず、ちなみに立位バランスポーズにおいてはこれが「土踏まず」にあたります。
重心を整えた上で、指と手首を適度にリラックスしておけば、バランスが崩れたときに対応できるようになります。支えなくては!と手や腕肩がガチガチに緊張していては、バランスの崩れに対応しにくくなります。
もちろん土台だけに意識を集中していては、そこに乗っていく全体がおろそかになってしまいます。全身に均一に意識を向けて、適度にリラックスした良い姿勢をとるようにしましょう。
参考:カカーサナの詳しいやり方
バランスを保つことに余裕が出てきたら、新しい動きを追加することもできて、より難しいアームバランスポーズにチャレンジすることもできます。
余裕がたくさんあるほど、大きな仕事ができるものです。