オンラインレッスン ヨーガスートラ日本語訳
ヨーガスートラ解説 1.12-1.14 〜心を制御する2つの方法〜

ヨーガスートラ解説 1.12-1.14 〜心を制御する2つの方法〜

ヨーガの実践は、長い間・休みなく・大いなる真剣をもって行われる

ヨーガスートラを私なりに読み進めていくシリーズ。

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英訳出典:http://yogasutrastudy.info/
サンスクリット語辞書:http://spokensanskrit.org/

訳者の略称は下記の通りです。
[SS]: Swami Satchidananda
[SV]: Swami Vivekananda

Sutra 1.12 心の作用をコントロールする2つの方法

अभ्यासवैराग्याभ्यां तन्निरोधः॥१२॥
abhyāsa-vairāgya-ābhyāṁ tan-nirodhaḥ ॥12॥

(読み)アビャーサ ヴァイラーギャービャム タンニローダハ

(訳)心の作用は、修習と離欲によって抑制される。

[SS]: These mental modifications are restrained by practice and non-attachment.

[SS訳]: 心の作用は、修習と離欲によって抑制される。

[SV]: Their control is by practice and non – attachment.

[SV訳]: それら(心の作用)は修習と離欲によって制御される。

Sutra 1.13 修習とは

तत्र स्थितौ यत्नोऽभ्यासः॥१३॥
tatra sthitau yatno-‘bhyāsaḥ ॥13॥

(読み)タトラ スティタウ ヤッノービャーサハ

(訳)これら2つのうち、絶え間ない努力をすることが「修習」である。

[SS]: Of these two, effort toward steadiness of mind is practice.

[SS訳]: これら2つのうち、心の安定に向かって努力することが「修習」である。

[SV]: Continuous struggle to keep them (the Vrittis) perfectly restrained is practice.

[SV訳]: 心の作用を完璧に抑制するため、絶え間なく努力することが「修習」である。

Sutra 1.14 修習の条件

स तु दीर्घकालनैरन्तर्यसत्कारासेवितो दृढभूमिः॥१४॥
sa tu dīrghakāla nairantarya satkāra-āsevito dr̥ḍhabhūmiḥ ॥14॥

(読み)サトゥ ディールガカーラ ナイランタリャ サトカーラーセヴィト ドルダブーミヒ

(訳)修習は、長い間・休みなく・大いなる真剣さをもって取り組むことで、しっかりとした基盤をつくりあげる。

[SS]: Practice becomes firmly grounded when well attended to for a long time, without break and in all earnestness.

[SS訳]: 修習は、長い時間・休みなく・全ての真剣さをもって取り組むことで、しっかりとした基盤をつくりあげる。

[SV]: It becomes firmly grounded by long constant efforts with great love (for the end to be attained).

[SV訳]: 長い間・絶え間なく・大いなる愛をもって、ゴールが達成される(心の作用を止滅する)まで努力することで、修習はしっかりとした基盤をつくりあげる。

解説・考察

これまでの節で述べられてきた「心の作用」を制御するためにはどうしたら良いか、具体的な方法に入る前に、「2つの心構え」を1.12節で述べています。

そのうちのまず1つめ、「修習(実践・常修)」について、1.13節・1.14節で説明されています。

ヨーガの実践は、長い間・休みなく・大いなる真剣をもって行われるべきであるとされます。

例えば、「スタジオに通って週3回ヨガをしているけど、1ヶ月続けたのに効果が出ない…」という人がいたとします。

とても良い習慣ですが、「休みなく」ではないですね(真剣にやっているかどうかはわかりませんが)。

もし、スタジオではがんばっているけど、そのあと暴飲暴食したり、悪い姿勢で長時間座っていたりしたら、体はあまり良くなっていきませんね。

「休みなく」というのは、常に戦士のポーズをしていなさいとかいうことではなく、例えば姿勢を整えることや呼吸を深くすることを気をつけたり、歩き方を美しくするようにしてみたり、アーユルヴェーダの理論に基づいて食生活を改善してみたり、日常生活でもヨガ的な体の扱い方を実践することができます。

≫食物の6味と6性質 〜今の体質(ドーシャ)に合ったものを食べる、アーユルヴェーダの助言〜

そして心の面では、第2章以降にでてくるヤマ・ニヤマの道徳的な実践をすることも、努力すれば休みなく行うことができると思います。

≫ヨーガスートラが示す、第1支則「ヤマ」を実践する意味
≫ヨーガスートラが示す、第2支則「ニヤマ」を実践する意味

それでは、「長い間」とは?

「どのくらい続けたら効果がでますか?」と結構よく聞かれますが、その答えは自分自身にしか分からないはずです。

大切なのは、真剣に・休みなく、そして、次のスートラに出てくる「離欲」、結果を求めずに日々努力するという姿勢です。

≫ヨーガスートラ解説 1.15-1.16
≪ヨーガスートラ解説 1.9-1.11

ヨーガスートラ日本語訳書籍

「インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨーガ・スートラ」スワミ・サッチダーナンダ (著), 伊藤 久子 (翻訳)

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高橋陽介

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