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アシュタンガヨガの終わりのマントラの正しい発音と意味を考察

アシュタンガヨガの終わりのマントラの正しい発音と意味を考察

世界の全ての人々が分け隔てなく、幸福でありますように

アシュタンガヨガのレッスンで最後に唱えるマントラについて、正しい発音と意味について考察してみます。

始めのマントラの解説はこちら↓です。

参考:アシュタンガヨガの始めのマントラの正しい発音と意味を考察

用語辞典:マントラ

この記事の目次

アシュタンガヨガ 終わりのマントラ全文とカタカナ表記

※発音については後述しますが、vaはwaに近い発音をするので「ヴァ」ではなく「ワ」で表記してみています。

オーム
om

スワスティ プラジャービヤハ パリパーラヤンターン
svasti prajābhyaḥ paripālayantāṁ

ニャーイェーナ マールゲーナ マヒーン マヒーシャーハ
nyāyena mārgeṇa mahīṁ mahīśāḥ

ゴー ブラーハマネー ビャハ シュバマストゥ ニティヤン
go-brāhmaṇebhyaḥ śubhamastu nityaṁ

ローカーハ サマスターハ スキノー バワントゥ
lokāḥ samastāḥ sukhino-bhavantu

オーム シャーンティ シャーンティ シャーンティヒ
om śānti śānti śāntiḥ

アシュタンガヨガ 終わりのマントラの発音のポイントと参考動画

アシュタンガヨガのマントラの中に含まれる、サンスクリット語の発音には、日本語にはない特殊なルールがあります。

サンスクリット語の発音の全てをここに書くと長くなりますので、ひとまずこのマントラを唱えるために必要なところだけまとめていきます。

終わりのマントラについては、パタビジョイス氏の動画では唱えていないようです(ウップルティヒのあと、すぐにシャヴァーサナへ向かっています)。

そのため、発音の参考になりそうな動画を下に貼っておきました。詳しく言葉ごとの発音を解説してくれていてとても助かりますが、ただ最後に全体を唱えるときにメロディをつけてしまっています。レッスン時はメロディはつけず単調に唱えることが多いです。

サンスクリット語については私もまだまだ勉強不足なので、以下のサイトなどを参考にすると良いかと思います。

サンスクリット語の辞書(外部サイト)
サンスクリット語の発音解説(外部サイト)

サンスクリット語の母音

母音については、以下のようなポイントがあります。

  • 「a」「i」「u」は短く切る発音(短母音)で、「ā」「ī」「ū」は伸ばす発音(長母音)である。
  • 「o」と「e」は伸ばす発音(長母音)しかない。

歌のように唱えていくと、節の最後の母音は伸ばしたくなりますが、アとアーは別の意味になってしまうので、短く切るところは切って発音する必要があります。

ちなみに上記のルールから、本来は「ヨガ」ではなく「ヨーガ」と発音する、という話になります。

サンスクリット語の子音

子音については、以下のようなポイントがあります。

  • 「v」は「w」に近い発音をする。
  • 「s」は歯音(サ行の発音に近い)、「ṣ」は反舌音(ラを発音するような舌の形でサ行の発音)、「ś」は口蓋音(シャ行の発音に近い)で、それぞれ発音は異なる。
  • 「bh」「kh」は帯気(有気)破裂音で、ため息のような息を出しながら発音する。
  • 「ṇa」はラというようなつもりで「ナ」と発音する反舌音。

「ṃ」と「ḥ」

ṃは日本語の「ン」とほぼ同じ。ḥは基本的に直前の母音の口の形のままで息を狭める発音で、iḥなら「イヒ」(ヒは息を出すだけのような発音)になります。

アシュタンガヨガ 終わりのマントラの意味を考察

単語ごとに意味を調べつつ、全体の意味を考えてみます。

アシュタンガヨガ 終わりのマントラ 単語ごとの意味

om:マントラの冒頭に唱えられる聖なる音

svasti:富、幸、成就

praja:人々、人類

paripālayaṁtām:守る、世話をする

nyāyena:ルールに従い

mārgeṇa:道に沿って

mahīm:大地、地球

mahīśāḥ:大地の支配者?(辞書に見つからない語)

go:牛(聖なる動物)

brāhmaṇa:神聖な力

shubham:美しい、富の溢れた

astu:そのようでありますように

nityam:永遠の

loka:世界、人類

samasta:全て、混ぜる

sukhinaḥ:幸福

bhavaṁtu:そのようでありますように

śāntiḥ:平和

アシュタンガヨガ 終わりのマントラ 全体の意味

いろいろな訳し方があるかと思いますが、これは一例です。

svasti prajābhyaḥ paripālayantāṁ

人々に富と幸福がもたらされますように

nyāyena mārgeṇa mahīṁ mahīśāḥ

世界の指導者達が、法を守り、正しい道に従いますように

go-brāhmaṇebhyaḥ śubhamastu nityaṁ

世界が神聖な力によって永遠に祝福されますように

lokāḥ samastāḥ sukhino-bhavantu

世界の全ての人々が分け隔てなく、幸福でありますように

om śānti śānti śāntiḥ

生きとし生けるもの全てが、平和でありますように

アシュタンガヨガ 終わりのマントラの研究

このマントラは「マンガラ マントラ(Mangala Mantra)」または「ローカ クシェーマ(Lokaksema or Lokakshema)」などと呼ばれ、アシュタンガヨガのレッスンの終わりに唱えられる以外にも、ヒンドゥー教の儀式などでよく唱えられているようです。

maṅgala:繁栄、幸運、お守り

loka:世界、人類

kṣema:安全、平安、住みやすい

出典はリグ・ヴェーダであるとされることがありますが、Wikipediaによるとこれは誤りで、リグ・ヴェーダやカタ・ウパニシャッドには「lokāḥ samastāḥ sukhino-bhavantu」の部分のみが記されていると言われます。

Wikipedia:Lokaksema (Hindu prayer)

「lokāḥ samastāḥ sukhino-bhavantu om śānti śānti śāntiḥ」のマントラは、たくさんあるシャンティマントラの中のひとつとしても唱えられています。YouTubeでもこのマントラにメロディをつけて歌っている人が多くいますね。

私もリグ・ヴェーダを調べてみようと思いましたが、内容が膨大なのでそれらしき部分をまだ発見できていません。

実際の起源は、よくわかっていないようです。

今後も研究を続けていく上で、わかったことがあればまた書こうと思います。

アシュタンガヨガの始めのマントラの解説はこちら↓です。

参考:アシュタンガヨガの始めのマントラの正しい発音と意味を考察

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高橋陽介

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