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「陰ヨガ的なやり方」でアーサナを深める

「陰ヨガ的なやり方」でアーサナを深める

呼吸と重力をうまく使って、深まるのを「待つ」

現代行われている「陰ヨガ」というヨガは比較的新しいもののようで、インドから直接伝わったものではなく、アメリカで始まった流派です。

参考:陰ヨガとは?リストラティブヨガとの比較

私はその流派に属しているわけではないのですが、陰ヨガの考え方には有用なところが多く、自分の練習としてもよく行ってきました。

流派によって、英語で名付けられた陰ヨガ特有のポーズ名が用いられることが多いですが、基本的に私は「陰ヨガ特有のポーズを用いる」というよりも、通常の現代ヨガで行われるポーズを「陰ヨガ的なやり方」で行うという考え方で応用しています。

たとえば前屈のポーズ、パスチモッターナーサナを現代ヨガ(陽のヨガ)で行うとしたら、主に腸腰筋大腿四頭筋を使い、さらに肘を曲げる力や肩を下げる力なども使う、といった感じに筋肉を使うことで「積極的に」深めていくことが多いかと思います。

これを「陰ヨガ的なやり方」で行う場合、手は床に置いて全身を適度に脱力し、あとはひたすら呼吸をしながら、重力で自然に前屈が深まるのを「受動的に」「待つ」というようなやり方で行います。

具体的には、以下のようなやり方です。(ちなみに陰ヨガで両脚前屈は「キャタピラー(Caterpillar)」というポーズ名で呼ばれたりします)

「陰ヨガ的なやり方」前屈の例

呼吸法:完全呼吸(胸とお腹を全部使う)のウジャイ呼吸(喉の奥を少し締めて音を鳴らす)

呼吸の長さ:最低でも5秒吸って5秒吐くというようにゆっくり呼吸(2分キープするとしたら12回の呼吸になる)

スタート時点の姿勢:重力を味方にしたいので、骨盤が少しでも前に倒れている状態からスタートする。膝は曲げておいても良い。必要に応じて毛布やブロックなどを使用する。

キープの長さ:2分以上は続ける。集中が途切れてしまうようであれば、呼吸の秒数を1・2・3・4・5・…・119・120と数えてみるなどすると、集中を維持し瞑想状態を保つのに有効。実際、全身に意識を向けて気づきを働かせていれば、飽きてしまったり集中が途切れてしまったりすることはなくなるはず。

意識の仕方:積極的に筋肉を使うのではなく、重力で自然に下りていくのを「邪魔している力を抜く」という意識で行う。伸びている箇所だけでなく、全体に均一に意識を置く・包む・浸透させるような感じで行う。

陰ヨガに、ブロックやボルスターなどの用具は必要かどうか

陰ヨガではブロックやボルスターなどをたくさん使うというイメージもありますが、それはスタート時点の姿勢を整えるために、必要であれば用いるという考え方で良いかと思います。

スタート時点で、重力がうまく味方にできて、長時間キープできる無理のない形になっているかどうか、といったところは陰ヨガを始めるときに重要なポイントです。

うまく軽減する方法がわかっていれば、大抵の場合は、それほど用具は必要ないかもしれません。実は私のレッスンでもほとんど使うことはありません(陰ヨガを教え始めるにあたって、いろいろ買い揃えたのですが)。

「陰」の意味

陰ヨガの「陰」の意味としては、先ほど出てきたように「陽」を「積極的」とするなら「陰」は「受動的」で、深まるのを「待つ」という感覚で行うように思えます。

また、「陽」を外側の筋肉とするなら、「陰」はインナーマッスルや「骨」「関節」といったより内部の器官にアプローチするものように感じられます。

陰と陽、どちらのアプローチも意識して練習することで、私は結構アーサナを深めてこられた気がします。

あまり一般的な現代ヨガに比べると、陰ヨガを教えているところも少ないかもしれませんが、興味のある方はやってみると良いかと思います。

私のレッスンでは、ピラティスの背骨を動かすエクササイズと肩関節・股関節を動かすエクササイズだけを選んで(腹筋系のきついエクササイズは除き)、陰ヨガのポーズを組み合わせて、骨の並びや気の流れを整える目的の「陰ヨガ&ピラティス」のクラスを行っています。

参考:クラス内容・レッスンの選び方

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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