「勝利の呼吸」という意味の呼吸法、ウジャイプラーナーヤーマ(ウジャイ呼吸)。
喉の奥を少し狭めて、空気を通る音を鳴らす特殊な呼吸法です。
アシュタンガヨガなどヴィンヤサヨガで用いられるものが有名なため、「胸式呼吸である」と説明されることもありますが、完全呼吸(Yogic Breathing)で行われるウジャイ呼吸もあります。そのあたりも含めて、ウジャイ呼吸と呼ばれている呼吸法のバリエーションとやり方を解説します。
この記事の目次
ウジャイ呼吸の効果
- 心を落ち着ける、自律神経を整える
- 体を温める
- ダートゥ(肉体の各部分:血・骨・髄・脂・精・肌・肉)を整える→音を鳴らし背骨に響かせることで、整った状態を保ちながらヴィンヤサを行うことができる
バンダや止息を用いず呼吸法として実践する場合
- 血圧・心拍数を下げる
- 不眠症の改善(シャヴァーサナと共に実践)
ウジャイ呼吸の禁忌・注意点
心臓病・高血圧の人は、バンダ・止息を行わずに実践しましょう。
内向的すぎる人は行わないようにせよ、とも言われます。
呼吸法として実践する、ウジャイ呼吸のやり方
このやり方は、サティヤナンダ氏の本「Asana Pranayama Mudra Bandha」に詳しく解説されています。
1)快適で安定した坐法で坐る
シッダーサナ、パドマーサナ、スカーサナ、ヴィラーサナなど、瞑想にも適した長時間キープできる坐法で坐ります。背骨が直立して伸びていれば、どんな坐法でも大丈夫です。
2)喉を通り抜ける息を感じる・イメージする
呼吸は鼻から、ゆっくり深い呼吸を行います。しかし鼻を意識するのではなく、喉を通り抜ける息を感じるように呼吸します。あるいは喉の管の入り口の穴あたりを通り抜ける空気をイメージします。
3)喉を少し締めて、かすかな音を鳴らすように呼吸する
力まないように、喉の奥を少し締めて、呼吸時に通り抜ける空気がかすかな音を鳴らすように呼吸します。吸うときも吐くときも、その音が鳴るようにします。
かすかな音は、寝息のような、ため息のような、あるいは海のさざ波のような音というように表現されます。
その音は、本人が聞こえていれば十分で、音量が大きすぎないようにします。すぐ近くにいる人にはかすかに聴こえる程度です。
4)音を鳴らしながら、完全呼吸を行う
しっかり吐き切ってから、お腹の下の方から空気を入れていき、胸全体、首の根元までしっかり空気を吸い、吸いきったら目的に合わせて止息やバンダなどを組み合わせて実践し(コツ・練習法の項で解説)、吐くときは上から順番に、首の根本から下腹部までしっかり吐き切ります。
5)繰り返す
10〜20分程度(気持ちよければさらに長い時間)実践した後、自然な呼吸に戻します。
アシュタンガヨガなどヴィンヤサヨガの呼吸として実践する、ウジャイ呼吸のやり方
(喉の奥に音を鳴らす過程は、上記の呼吸法のやり方と同じです。)
呼吸は鼻から、ゆっくり深い呼吸を行います。しかし鼻を意識するのではなく、喉を通り抜ける息を感じるように呼吸します。あるいは喉の管の入り口の穴あたりを通り抜ける空気をイメージします。
力まないように、喉の奥を少し締めて、呼吸時に通り抜ける空気がかすかな音を鳴らすように呼吸します。吸うときも吐くときも、その音が鳴るようにします。
かすかな音は、寝息のような、ため息のような、あるいは海のさざ波のような音というように表現されます。
その音は、本人が聞こえていれば十分で、音量が大きすぎないようにします。すぐ近くにいる人にはかすかに聴こえる程度です。
ヴィンヤサヨガでは、常に骨盤底と下腹部を引き締めておき(ムーラバンダとウディヤナバンダ)、体幹を安定させながら動くため、主にへそから上を使った呼吸を行います。
アシュタンガヨガのようにたくさん動くヴィンヤサを行っていても、さざ波のような音をよどみなく鳴らし続けることで、心を落ち着け、体を整える効果があります。
へそから上を使う「胸式+αの呼吸」については以下の記事などで解説しています。
参考:ヨガやピラティスで使われる主な呼吸の種類・使われる筋肉
参考:胸式呼吸(胸式+α呼吸)ができない方・太陽礼拝のジャンプでふわっと感を出したい方へのコツ・練習法
アシュタンガヨガの参考文献
「アシュタンガ・ヨーガ実践と探究 (GAIA BOOKS)」グレゴール・メーレ (著)
陰ヨガのアーサナと共に実践する、ウジャイ呼吸のやり方
(喉の奥に音を鳴らす過程は、上記の呼吸法のやり方と同じです。)
呼吸は鼻から、ゆっくり深い呼吸を行います。しかし鼻を意識するのではなく、喉を通り抜ける息を感じるように呼吸します。あるいは喉の管の入り口の穴あたりを通り抜ける空気をイメージします。
力まないように、喉の奥を少し締めて、呼吸時に通り抜ける空気がかすかな音を鳴らすように呼吸します。吸うときも吐くときも、その音が鳴るようにします。
かすかな音は、寝息のような、ため息のような、あるいは海のさざ波のような音というように表現されます。
その音は、本人が聞こえていれば十分で、音量が大きすぎないようにします。すぐ近くにいる人にはかすかに聴こえる程度です。
陰ヨガの場合は、明確に説明されている場合が少ないようですが、私のレッスンでは陰ヨガのアーサナ中はヴィンヤサヨガとは異なり「完全呼吸のウジャイ呼吸」を行うようにしています。
呼吸のペースについては、5秒前後かけて吸い、5秒前後かけて吐く、約10秒で1呼吸というペースで行われることが多いようです。
陰ヨガではアーサナを2分以上はキープすることが多いですが、その際の集中力を保つ意味でも、秒数を数えながら行うのが有効です。6呼吸で約1分と考えれば、キープ時間もわかりやすくなります。
参考:陰ヨガとは?代表的なポーズ・リストラティブヨガとの比較
陰ヨガの参考文献
「陰ヨガの新しい教科書 Insight Yoga (YOGA BOOKS)」サラ・パワーズ (著)
ウジャイ呼吸のコツ・練習法
ウジャイ呼吸で音を鳴らすコツ
ウジャイ呼吸の音は、あまり大きくしすぎてもいけません。かすかに自分が聴こえる程度で構いません。静かな寝息のような感じです。
音を出す練習としてよく行われるのは、まず口をあけてため息をついてみます。少し大げさに音を出してため息をついてみましょう。あるいは、Wisper(ウィスパァ〜)とささやいて、最後のrを伸ばしてみます。そのときの口・喉の形を保ったまま、息を吸い込んでみます。その形であれば、吸うときにも音が鳴るはずです。
その喉の形を保ったまま、口を閉じて鼻で呼吸します。うまくいけば、鼻で呼吸しながら、喉にはため息のような音が鳴っているはずです。
もしくはシンプルに「寝息をたてるようにイメージして、心地よく静かに呼吸する」というのも良いかもしれません。
少し音が鳴るようになってきたら、「背骨に響かせる」ようにします。適度にリラックスして、背骨が整って柔軟な状態になるように、音を使ってチェックしながら導きます。良い状態になっていなければ、うまく響きません。ヴィンヤサヨガでは、毎回の呼吸をウジャイ呼吸にすることによって、背骨の状態・神経の状態をチェックして整えながら動いていくということです。
バンダ・ムドラーを使ったバリエーション
呼吸法(プラーナーヤーマ)として実践する際のバリエーションをいくつか書いておきます。もちろんヴィンヤサヨガのウジャイ呼吸として行う際は、これらのバリエーションは行いません。
止息(クンバカ)を加える
高血圧・心臓病の人は避けましょう。
- 吸いきったときに息を止める
- 吸いきったときと、吐ききったときに息を止める
バンダと共に実践する
バンダを加えることで、チャクラや内分泌腺・ホルモンに関連する行法になります。
- 息を止めている際に、骨盤底筋を引き締めるムーラバンダを加える
- 息を止めている際に、首を曲げて顎を鎖骨の間につけるジャーランダラバンダと、ムーラバンダを加える
ムドラーと共に実践する
ウジャイプラーナーヤーマは、様々なムドラーと組み合わせて用いられます。
- 舌を上へ後ろへと伸ばして軟口蓋につけ、ケーチャリームドラーを加える
- 眉間を見上げ、シャーンバヴィームドラーを加える
- 顎をあげて45°ほど上を見上げ、アーカーシームドラーを加える
これらのムドラーの解説記事はいずれ書こうと思います。ハタヨーガ、クンダリニーヨーガにおいてはムドラーはとても重要な行法です。
参考:ハタヨーガプラディーピカー概説 3.6-3.9 〜10種のムドラー〜
参考文献
「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)
「アシュタンガ・ヨーガ実践と探究 (GAIA BOOKS)」グレゴール・メーレ (著)
「陰ヨガの新しい教科書 Insight Yoga (YOGA BOOKS)」サラ・パワーズ (著)
プラーナーヤーマ名の表記バリエーション
【日】ウジャイ呼吸、ウジャーイー呼吸、ウッジャイ呼吸、ウッジャーイー呼吸、ウジャイプラーナーヤーマ、ウジャーイープラーナーヤーマ、ウッジャイプラーナーヤーマ、ウッジャーイープラーナーヤーマ、ウジャイプラーナーヤーマ、ウジャーイープラーナヤーマ、ウッジャイプラーナヤーマ、ウッジャーイープラナーヤーマ、勝利の呼吸、海の呼吸、さざなみの呼吸
【梵】Ujjayi Pranayama
【英】Victorious Breath, Psychic Breath, Ocean Breath