ハタヨーガの古典の中で、最も体系化されているとして重要視されているハタヨーガプラディーピカー。
今回は、プラーナーヤーマ(調気法)の効果と深め方について示されている部分を紹介します。
以下、日本語訳は「ヨーガ根本経典/佐保田鶴治」から引用しています。
この記事の目次
プラーナーヤーマの深め方
2.12 初級の調気に於ては発汗し、中級の調気に於ては戦りつが生じ、上級の調気に於ては不動の状態に達する。それ故に気の抑制を練行しなければならない。
2.14 実習の初歩の段階では、牛乳とバターを加えた食物が適している。その後、修練が確乎たるものになった暁には、かかる規制を守る必要はない。
先に示されたようにプラーナーヤーマは気の流れを止めることを目指しますが、最初の段階では、体にもいろいろな変化が現れてきたり、心が集中できていなかったりします。
私のレッスンでもよくカパラバティを行いますが、これだけで結構腹筋を使うので、汗をかくことがあります。
日々淡々と実践することで、必要な筋肉を使うことにも慣れていき、自然に心乱されることなくプラーナーヤーマが行えるようになっていきます。
プラーナーヤーマ中は、視線をあちこちへ動かしたりせず、心がさまよってしまわないようにしましょう。
そして1章に続いてここでも食物について軽く指示があります。牛乳とバターを加えた食物、とざっくり言われていますが、サットヴァな食物を摂るべしという意図を感じます。
プラーナーヤーマの効果
2.16 調気を正しく行じていくならば、いっさいの病が無くなるであろう。しかし、修練の仕方を誤ると、かえってあらゆる病が生ずる。
2.19 調気の錬成によって気道が清掃された時には、次のような外部的な兆候が現われるであろう。つまり、カラダがスマートになり、血色がよくなるというような。
2.20 また、気道が清掃されると、気を好きなだけ静止しておくことができ、胃の中の火が盛んに燃え、ナーダ音がハッキリと聞こえ、無病息災になる。
呼吸法だけでも、カラダがスマートになるそうですよ。
第1章でパドマーサナも「あらゆる疾病の破壊者」と述べられていましたが、このような文言はハタヨーガの教典によく出てきます。
大げさな表現なのかもしれないし、正しく深めていけば本当に無病になれるかもしれません。ただし、間違ったやり方とするとかえってマイナスになるという注意文言も添えられていることが多いようです。
とはいえ文字として示されているやり方は本当にざっくりした内容なので、やはりハタヨーガは師に直接教わることを前提としているのが感じられます。
≫ハタヨーガプラディーピカー概説 2.21〜2.38 〜シャットカルマ(6つの浄化法)とガジャ・カラニー〜
≪ハタヨーガプラディーピカー概説 2.7〜2.11 〜気道を浄化する呼吸法〜
参考文献
「サンスクリット原典 翻訳・講読 ハタヨーガ・プラディーピカー」菅原誠 (著)
「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)