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「クンダリニー・タントラ」を読む【26】第1章 13節-2:クリヤーヨーガの実践概要

「クンダリニー・タントラ」を読む【26】第1章 13節-2:クリヤーヨーガの実践概要

学んできたヨガポーズや呼吸法も活かして心身を整え、未知の旅へと踏み出す

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガの概要を紹介していきます。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

用語:クンダリニー(クンダリーニ)
用語:チャクラ
用語:ナディ(ナーディー)

これらは今は誰もが見えるもの・感じ取れるものではないので、扱うのが難しい分野ではありますが、心身の改善のためにも、ヨガのポーズや瞑想を洗練させるためにも、そしてさらなる進化のためにも、これらの「見えないもの」も注意深く研究して、気づきを磨いていくと良いかと思います。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第1章の13節の後半、クリヤーヨーガの行法の概要や、実践に入る前の状態などに関する部分です。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

クリヤーヨーガの行法の概要

クリヤーヨーガの行法と実践方法は第3章の後半で詳しく説明されていますが、ここではその概要が示されています。

There are many kriya yoga practices, but a combination of 20 is considered very important and powerful. These 20 practices are divided into two groups. One group is to be done with the eyes open, that is the first 9, and the other group, comprised of 11 practices, is to be done with the eyes closed.

クリヤーヨーガには多くの行法があるようですが、サティヤナンダ氏は重要な行法として20の実践を挙げています。

その中で、目を開けて行うものが9つ、閉じて行うものが11個あるといいます。これはとても重要な要素なので、しっかり守って行うようにと指示されています。

The first practice in kriya yoga is called vipareeta karani mudra. Vipareeta means reverse, karani means action, so vipareeta karani mudra is a method for creating a reverse action. In Hatha Yoga Pradipika and in the tantric texts, there is a wonderful statement regarding this reverse action:
From the moon the nectar emanates. When the sun consumes the nectar, the yogi becomes old. His body decays and he dies. Therefore, by constant practice, the yogi should try to reverse the process. The nectar which is flowing from the moon (bindu visarga) towards the sun (manipura chakra) should be reversed and sent back to the higher centers.” What will happen then? Hatha Yoga Pradipika continues: “When you are able to reverse the flow of amrit or nectar, it will not be consumed by the sun. It will be assimilated by your pure body.”

クリヤーヨーガの実践の中で最初にでてくる行法は、ヴィパリータカラニー・ムドラーです。現代ヨガではサルヴァンガーサナ(ショルダースタンド・肩立ち)の簡単バージョンとして行われたりする、比較的やさしい逆転ポーズです。

ヴィパリータカラニー(逆転の姿勢)

ヨガのポーズの名前は通常、◯◯アーサナと呼ばれることが多いです。ムドラーは「印」などの意味で、手を使って作るムドラーが有名ですが、体全体を使って作るムドラーも数多くあり、ハタヨーガでは重要な行法として用いられています。

では体全体で行っている場合、アーサナとムドラーは何が違うのかというと、明確な定義についてはいろいろな解釈があるかもしれませんが、アーサナは主に肉体の浄化のために行い、ムドラーはナディの浄化やクンダリニー覚醒を目的としているように思えます。また、同じような形に見えても、ムドラーとして行う場合は、ナディ・チャクラへの集中やインナーマッスルの収縮を伴ったバンダを用いるなど、意識と内面の使い方が異なるように思えます。

さて、逆転ポーズに関してはとても重要な効果があるということが、ハタヨーガプラディーピカーでも述べられています。ここでもその一文が引用されています。

参考:ハタヨーガプラディーピカー概説 3.74-3.82 〜バンダ・トラヤとヴィパリータ・カラニー〜

ハタヨーガの生理学には、人間は後頭部にある「月」を意味するビンドゥ・ヴィサルガから、生命力の源となる液体「ネクター」あるいは「アムリタ(霊薬)」が下へ流れ落ちていて、それがへそにある「太陽」を意味するマニプーラチャクラで消費されることによって、寿命を消費しているという考え方があります。

そのため、ヴィパリータカラニーやシルシャーサナのような逆転ポーズは、寿命を長くし、消費されていた霊薬の力を別のことに使えるようになるため、とても重要なポーズとして扱われています。

The various practices of kriya yoga, particularly vipareeta karani mudra, amrit pan, khechari mudra, moola bandha, maha mudra, maha bheda mudra, etc. regulate the nervous system. They harmonize the pranic forces in the body and equalize the quantity and effects of the positive and negative ions. More than that, they help you to attain a state of peace and tranquility without beating, kicking and abusing the mind. All this is a result of having induced the flow of certain unused and natural chemicals of the body. Amrit is one of those chemicals and through a practice known as khechari mudra, it can be made to flow.

クリヤーヨーガの数々の行法は、神経システムを調整し、プラーナの流れを整え、体内のイオンバランスを均一にし、そして平穏で落ち着いた心の状態をもたらすといいます。それは心に直接働きかけることなく、あるいはドラッグなどを使うこともなく、成し得ることができると説明されています。

体の中には使われていない物質(エネルギー)が数多くあり、先述のアムリタもそのひとつで、これを活用するには、舌を使ったケーチャリームドラーの実践が重要となります。ムドラーの中には、ケーチャリームドラーを保ちながら行うべし、というものが多くあります。

ケーチャリームドラーについて

Khechari mudra is a simple but very important technique which is utilized in most of the kriya yoga practices. It involves folding the tongue back and placing it against the upper palate. In the course of time the tongue gets elongated and can be inserted into the nasal orifice.

ケーチャリームドラーは、舌を可能な限り上・後ろへと伸ばしていき、まずは軟口蓋につけ、練習を重ねることで舌を伸ばしていくことによって喉へ達し、さらにその上にある鼻腔の入り口へと伸ばしていくという行法です。

これを行うために、舌の下にある筋をカミソリや植物の鋭い葉で少しずつ切っていくというやり方が指示されている教典もありますが、それを行わなくても、練習を積めば舌を伸ばしていくことはできるともいわれます。

参考:ハタヨーガプラディーピカー概説 3.32-3.54 〜ケーチャリームドラーのやり方と重要性〜

Then certain glands which are connected with the cranial passage and bindu visarga are stimulated, and as a result, amrit or nectar begins to flow. When amrit is released you experience a special type of ‘high’ or intoxication.

ケーチャリームドラーの実践によって、頭蓋骨の中を通ってビンドゥ・ヴィサルガ(頭頂の少し後ろ側)へ続く道が刺激され、アムリタが流れるようになるといわれます。アムリタが流れるとき、心はしばらくハイになったり陶酔状態になったりするといいます。

一見したところ何の意味があるのだろう?というような行法ですが、私が研究した中では、軟口蓋の動きにはオーガズムも関係しているようであり、鼻腔も含めてそのあたりのエリアを適切に刺激することは、脳に多くの影響を与えると思われます。

舌を伸ばしていくのは、何年もかかることもありますが、それを試みる価値は十分にあると説明されています。

When there is perfect harmony in the nervous system, coronary behavior is in inertia, body temperature is low and alpha waves are predominant in the brain, how can the mind move? This is the philosophy of kriya yoga.

このようなハタヨーガの行法によって体の特定の部分を刺激することで、関係する神経の流れや心臓の働きなどを整えていき、次第に体が鎮静化していき、脳波においてはα波が優勢になっていくと、心も自ずと、心自体にアプローチすることなく、不動になっていくといいます。

クリヤーヨーガを始められる状態

If through the yoga practices you have been doing, you have reached a point where you find that although concentration has been achieved, inner peace has been experienced and you can maintain total quietness of body, mind and spirit for a prolonged period, but still you feel there is something more to achieve, you are definitely ready for kriya yoga.

Peace of mind, relaxation and proper understanding, which are the fruits of spiritual life, are not an end in themselves. The ultimate purpose of yoga is to change the quality of experience and to change the quality of the mind and its perception. What man has aimed to achieve through yoga is expansion of mind and liberation of energy, and in essence, that is tantra, and that is the ultimate goal of kriya yoga.

世の中にはいろいろなヨーガがありますが、ヨーガの実践によって内面の平穏を経験し、集中力が高まり、体も心も魂も穏やかに整った状態が続くようになったとき、それでも何かを成したいと思えるのなら、それは明らかにクリヤーヨーガの実践への準備が整っている、と説明されています。

心の平穏・リラックス・正しい理解といったものは、スピリチュアルな生活における成果として現れますが、それら自体は目的ではなく、ヨーガの目的は、経験の次元を高め、心の質と知覚を変化させることであり、心の拡張と秘められたエネルギーの解放であるといいます。それを達成するのが、タントラであり、クリヤーヨーガである、というように示されています。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【27】第1章 14節:性とヨーガとタントラ

前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【25】第1章 13節-1:クリヤーヨーガとは、どのような道か

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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