梵:ईश्वर īśvara
英:supreme soul, supreme being, god of love, master, king,
日:至上神、真実在、自在天、至上我
イーシュヴァラの意味
イーシュヴァラとは、「至上神」など様々な意味で解釈される重要な言葉。
イーシュヴァラが何を表すかは一定ではなく、どう定義するかによって解釈が異なる。ヒンドゥー教においては、世界を創造し支配する最高神を表すが、宗派によってはそれをヴィシュヌと同一視したり、シヴァと同一視したりする。
仏教においてイーシュヴァラは「自在天」と漢訳された。
イーシュヴァラの語源
イーシュは「〜の支配者」「主」、ヴァラは「最上」「願い」「愛」などを意味する。
文脈によって解釈は様々であるが、イーシュヴァラは「最上の支配者」「選択・祝福を支配する者」「愛の主」などを意味する重要な言葉として用いられる。
あるいは古典の中ではシンプルに「王」「主人」などを意味する言葉としても現れる。
イーシュヴァラと呼ばれる神々
ブラフマン、3神のブラフマー・シヴァ・ヴィシュヌ、シヴァの后であるパールヴァティー(ドゥルガー)などの別名としてもイーシュヴァラが用いられる。
このようにイーシュヴァラは様々な解釈をされる重要な言葉であり、宗派によって最も重要とされるものの別名として呼ばれることが多い。
ヨーガにおけるイーシュヴァラ
ヨーガにおけるイーシュヴァラが何を意味するのかは、歴史上でも議論されてきた。
ヨーガスートラでは、イーシュヴァラは「至上我」などとも呼ばれている。
ヨーガスートラの目指すところとしては、肉体や心を我であるという無知から脱して、それらを客観的に観ている真我(プルシャ)の意識に気づき、そしてその根源であった至上我(イーシュヴァラ)へ合一するというものである。
その行法として、イーシュヴァラプラニダーナを含むアシュターンガヨーガ(8支則のヨーガ)やクリヤーヨーガが示されている。
イーシュヴァラプラニダーナ
イーシュヴァラへの完全な帰依という意味で、イーシュヴァラプラニダーナという言葉がヨーガスートラの中に登場する。
ヨーガスートラ2章45節「イーシュヴァラプラニダーナ(宇宙意識への完全な帰依)によって、サマーディは達成される。」
ヨーガスートラでは、アシュターンガヨーガ(8支則のヨーガ)のニヤマの中のひとつとしてイーシュヴァラプラニダーナがあり、またそれとは別軸でのクリヤーヨーガの中のひとつとしても挙げている。
ニヤマの5項目
- シャウチャー
- サントーシャ
- タパス
- スヴァーディヤーヤ
- イーシュヴァラプラニダーナ
ヨーガスートラのクリヤーヨーガ
- タパス
- スヴァーディヤーヤ
- イーシュヴァラプラニダーナ
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