「現代ヨガの父」ことクリシュナマチャリア氏の主著である「ヨガマカランダ(ヨーガ・マカランダ)Yoga Makaranda」を読み進めていきます。
今回は、3.7節のヴァーユ(気の流れ・分布)に関する部分です。
引用部分は、特に記載のない限り以下の英語版(2006年)Yoga Makarandaを出典とします。
この記事の目次
ヴァーユとは
6つの浄化法「シャットクリヤ」の話が終わって、ここで「ヴァーユ」の話に入るわけですが、一旦ヴァーユとは何なのかを整理しておきます。
ハタヨーガにおけるヴァーユの意味としては、「気(生命エネルギー)の流れ・分布」といった意味で捉えておくと良いかと思います。
ヨガを学んでいると、よく「プラーナ」という言葉を耳にします。これは「気」「生命エネルギー」「風」といったものを表し、これがあるおかげで身体や心が機能している、ということになります。
ヴァーユとプラーナは、たびたび同じ意味の言葉としても使われたり、プラーナ・ヴァーユというように組み合わせて使われることもあります。
身体の中には10種類のヴァーユがあり、それぞれが身体の特定の部分に分布し、その部分の機能を司っているとされます。その主要なヴァーユの中にも「プラーナ」という名前のものがありますが、総称としての「プラーナ」と混同しないように注意しましょう。
以下、別の本からの引用ですが、主要な5種類のヴァーユの分布図です。
出典:Asana Pranayama Mudra Bandha p.365
主要な5種類のヴァーユの名前は、以下の通りです。
- プラーナ
- アパーナ
- ヴィヤーナ
- ウダーナ
- サマーナ
それ以外の5種類のヴァーユは、以下の通りです。
- ナーガ
- クールマ
- クルカラ
- デーヴァダッタ
- ダナンジャヤ
この節では、これら10種類のヴァーユの分布や機能についての説明が記されています。
シヴァサンヒターやゲーランダサンヒターでも、同じ10種類が説明されていますので、以下の記事などを参考にしてみてください。
参考:シヴァサンヒター概説【5】3.1-3.9 気(プラーナ・ヴァーユ)の分布と機能
参考:ゲーランダサンヒター概説5.46-5.96 〜8種のクンバカ〜
主要な5種類のヴァーユ
1. The Place where Prana Vayu resides
Prana Vayu — Its function: It is located in the heart. Its main purpose is to expel all the unwanted impurities from the body and to draw in clean outside air in order to keep the jathara agni burning. It is an important support for the extension of life.
2. Apana Vayu — Its function: This resides below the lower part of the muladhara cakra where it joins the rectum. Its main purpose is to expel faeces and urine and keep the body active and energetic.
3. Vyana Vayu — Its function: This pervades all parts of our body. It keeps the flesh, bone marrow and tissue and fat tissue in proper condition. It maintains the blood vessels and maintains proper blood circulation.
4. Udana Vayu — Its function: This vayu is situated in the throat. It removes diseases of kapha dosha, corrects the functioning of the vocal chords and gives a healthy plumpness to the body.
5. Samana Vayu — Its function: This is in the navel in the middle part of the body. Whatever and whenever we eat it pushes the food into the jathara agni and helps to digest it.
プラーナ・ヴァーユ
位置:心臓
浄化する部位:顔、鼻孔、心臓、へそ、足の親指
主な役割:体から不要な不純物をすべて排出し、清浄な外気を取り込むことで、ジャタラ・アグニ(消化の火)を燃やし続ける。生命の延長に重要な役割を果たす。
アパーナ・ヴァーユ
位置:ムーラダーラ・チャクラの下部、直腸と接する部分
浄化する部位:グヒヤ(肛門)、直腸、生殖器、性器、大腿部、胃、腰
主な役割:便と尿を排出し、体を活発でエネルギッシュに保つ。
ヴィヤーナ・ヴァーユ
位置:体のあらゆる部分に遍在
浄化する部位:耳、首、目、カパラム(頭部)、ブラフマランドラム(頭蓋骨の頂部)
主な役割:肉、骨髄、組織、脂肪組織を適切な状態に保つ。血管を維持し、適切な血液循環を保つ。
ウダーナ・ヴァーユ
位置:喉
浄化する部位:骨の関節と神経の接合部
主な役割:カパ・ドーシャの疾患を取り除き、声帯の機能を正常化し、体に健康的なふっくら感を与える。
サマーナ・ヴァーユ
位置:体の中央部、へそ
浄化する部位:身体のすべての可動部
主な役割:食物をジャタラ・アグニ(消化の火)に送り込み、消化を助ける。
その他の5種類のヴァーユ
Naga vayu is in charge of belching; Kurma vayu is responsible for blinking; Krkaravayu is responsible for blowing the nose; Devadattavayu is responsible for yawning; Dhananjaya vayu exists in all parts of the body and even after death is there for four naazhigai (a naazhigai is twenty-four minutes) — one knows this through experience. Understand the relationship of these five vayus with the body and then practise yoga.
- ナーガ・ヴァーユはげっぷを司り
- クールマ・ヴァーユはまばたきを司り
- クリカラ・ヴァーユは鼻をかむことを司り
- デーヴァダッタ・ヴァーユはあくびを司ります
- ダナンジャヤ・ヴァーユは体のあらゆる部分に存在し、死後も4ナージガイ(1ナージガイは24分)の間は存在し続ける
ダナンジャヤ・ヴァーユは、シヴァサンヒターでは「しゃっくりを起こす」というざっくりした説明しかありませんでしたが、ここでは死後に最後まで身体に残るヴァーユとして登場し、ここでは詳しい役割は述べられてはいませんが、一般的に全身の栄養補給・痰の生成・音声発声の生成といった機能に関わると言われています。
これら5つのヴァーユと体との関係を理解した上で、ヨガを実践するべし、という説明で締められています。
ハタヨーガの理論として以上の10種類のヴァーユがよく紹介されますが、実際によく行法の中で出てくるのはプラーナとアパーナが多いです。シヴァサンヒターでもこの2つが最も重要であると述べられていました。これらが機能していると、身体の循環が整い、出すべきものを出し、取り入れるべきものを取り入れられるように思えます。
ヴァーユが正しいナディに流れ、滞りなく身体が機能するようにするための技法として、この後20種類のムドラーの紹介に入ります。
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