足の少陽胆経の役割
胆は「中正の官」と呼ばれ、物事を決断する。胆力という表現があるように、優れた決断力は胆から生まれる。
胆嚢は肝臓で作られた胆汁を貯蔵・排出し、胃・脾の消化を助ける。胆は腑の中でも唯一、貯蔵の役割も持っていると言われる。
心理的には、理不尽なことや正義感を揺さぶられるようなことがあるとストレスがかかり、胆経が固まる(実のコリ)ため、側頭痛や首のコリなどにもつながる。胆経が固まってくると、物事の正しい判断ができなくなる。
足の少陽胆経の流注
足の少陽胆経は、手の少陽三焦経の脈気を受けて外眼角に起こり⇒額角⇒耳の後⇒頸をめぐり⇒三焦経に交わり、大鎖骨上窩に入る。耳の後より分かれた支脈⇒耳の中に入り⇒前に出て⇒外眼角に至る。
外眼角より分かれた支脈⇒[大迎]へ下り三焦経に合し⇒目の下から頸を下り⇒大鎖骨上窩で合流⇒胸中⇒横隔膜⇒肝を絡い、胆に属する。
さらに、側腹部⇒鼡径部⇒陰毛をめぐる。また、支脈は⇒大鎖骨上窩⇒腋窩⇒季肋部を下る支脈と、股関節で合流する。そこから大腿外側⇒膝外側⇒腓骨の前⇒腓骨下端⇒外果の前[丘墟]⇒足背⇒足の第4指外側端に終わる。
足背で分かれた支脈⇒足の第1指端⇒足の厥陰肝経につながる。
足の少陽胆経の経穴一覧
GB1 瞳子髎(どうしりょう)
穴性:疏散風熱、明目止痛
部位:外眼角の外方5分、陥凹部。
GB2 聴会(ちょうえ)
穴性:疏経活絡、開竅益聡
部位:顔面部、珠間切痕と下顎骨関節突起の間、陥凹部。
GB3 上関(じょうかん)
穴性:清熱散風、開竅牙関
部位:頬骨弓中央の上際陥凹部。
別名:客主人(きゃくしゅじん)
GB4 頷厭(がんえん)
穴性:清熱散風、止痛
部位:頭維と曲鬢を結ぶ側頭の髪際に沿った曲線上、頭維から4分の1。
GB5 懸顱(けんろ)
穴性:清熱散風、止痛
部位:頭維と曲鬢を結ぶ側頭の髪際に沿った曲線上の中点。
GB6 懸釐(けんり)
穴性:清熱散風、止痛
部位:頭維と曲鬢を結ぶ側頭の髪際に沿った曲線上、頭維から4分の3。
GB7 曲鬢(きょくびん)
穴性:去頭風、利口頬
部位:もみあげ後縁の垂線と耳尖の水平線の交点。
GB8 率谷(そっこく)
穴性:去風熱、利胸膈
部位:耳尖の直上、髪際の上方1寸5分。
GB9 天衝(てんしょう)
穴性:去風、定惊
部位:耳介の付け根の後縁の直上、髪際の上方2寸。
GB10 浮白(ふはく)
穴性:去風活絡、清頭目
部位:乳様突起の後上方、天衝と完骨を結ぶ耳の輪郭に沿った曲線上、天衝から3分の1。
GB11 頭竅陰(あたまのきょういん)
穴性:清熱散風、通関開竅
部位:乳様突起の後上方、天衝と完骨を結ぶ耳の輪郭に沿った曲線上、天衝から3分の2。
GB12 完骨(かんこつ)
穴性:去風清熱、止痛明目
部位:乳様突起の後下方、陥凹部。
GB13 本神(ほんじん)
穴性:疏風清熱、止痛鎮惊
部位:前髪際の後方5分、前正中線の外方3寸。
GB14 陽白(ようはく)
穴性:去風散火、宣気明目
部位:眉の上方1寸、瞳孔線上。
GB15 頭臨泣(あたまりんきゅう)
穴性:散風、清熱、明目
部位:前髪際から入ること5分、瞳孔線上。
GB16 目窓(もくそう)
穴性:散風熱、清頭明目
部位:前髪際から入ること1寸5分、瞳孔線上。
GB17 正営(しょうえい)
穴性:疏風、活絡、止痛
部位:前髪際から入ること2寸5分、瞳孔線上。
GB18 承霊(しょうれい)
穴性:清熱散風
部位:前髪際から入ること4寸、瞳孔線上。
GB19 脳空(のうくう)
穴性:去頭風、通鼻竅
部位:外後頭隆起上縁と同じ高さ、風池の直上。
GB20 風池(ふうち)
穴性:去風解表、清頭明目、利官竅
部位:後頭骨の下方、胸鎖乳突筋と僧帽筋の起始部の間、陥凹部。※深部に椎骨動脈が通る。
GB21 肩井(けんせい)
穴性:理気降痰、疏経活絡
部位:第7頸椎棘突起と肩峰外縁を結ぶ線上の中点。※天髎(三焦経)の上方にあたる。
GB22 淵腋(えんえき)
穴性:理気活血
部位:第4肋間、中腋窩線上。
GB23 輒筋(ちょうきん)
穴性:理気活血、平喘降逆
部位:第4肋間、中腋窩線の前方1寸。
GB24 日月(じつげつ)
要穴:胆の募穴
穴性:降逆利胆
部位:第7肋間、前正中線の外方4寸。
GB25 京門(けいもん)
要穴:腎の募穴
穴性:益腎利水
部位:第12肋骨端下縁。
GB26 帯脈(たいみゃく)
穴性:調営血、補肝腎、理下焦
部位:第11肋骨端下方、臍中央と同じ高さ。
GB27 五枢(ごすう)
穴性:調帯脈、理下焦
部位:臍中央の下方3寸、上前腸骨棘の内方。
GB28 維道(いどう)
穴性:調衝任、理下焦
部位:上前腸骨棘の内下方5分。
GB29 居髎(きょりょう)
穴性:疏経活絡、強健腰腿
部位:上前腸骨棘と大転子頂点の中点。
GB30 環跳(かんちょう)
穴性:去風湿、強腰腿
部位:大転子頂点と仙骨裂孔を結ぶ線上、大転子頂点から3分の1。
GB31 風市(ふうし)
穴性:去風湿、疏経絡
部位:直立して腕を下垂し、手掌を大腿部に付けたとき、中指の先端があたる腸脛靱帯の後方陥凹部。
GB32 中瀆(ちゅうとく)
穴性:疏経絡、去風湿
部位:腸脛靭帯の後方で、膝窩横紋の上方7寸。
GB33 膝陽関(ひざのようかん)
穴性:疏筋脈、利関節
部位:大腿二頭筋腱と腸脛靱帯の間の陥凹部、大腿骨外側上顆の後上縁。
別名:足陽関(あしのようかん)、寒府(かんぷ)
GB34 陽陵泉(ようりょうせん)
要穴:胆経の合土穴、八会穴の筋会、胆の下合穴
穴性:清肝胆、疏筋絡、利関節
部位:腓骨頭前下方の陥凹部。
GB35 陽交(ようこう)
要穴:陽維脈の郄穴
穴性:疏肝胆、通経絡
部位:腓骨の後方、外果尖の上方7寸。
GB36 外丘(がいきゅう)
要穴:胆経の郄穴
穴性:清肝解毒、疏経活絡
部位:腓骨の前方、外果尖の上方7寸。
GB37 光明(こうめい)
要穴:胆経の絡穴
穴性:通絡明目、活絡明目
部位:腓骨の前方、外果尖の上方5寸。
GB38 陽輔(ようほ)
要穴:胆経の経火穴
穴性:清肝胆、疏経絡
部位:腓骨の前方、外果尖の上方4寸。
GB39 懸鐘(けんしょう)
要穴:八会穴の髄会
穴性:去風湿、利筋骨、降気逆
部位:腓骨の前方、外果尖の上方3寸。
別名:絶骨(ぜっこつ)
GB40 丘墟(きゅうきょ)
要穴:胆の原穴
穴性:清胆熱、利関節
部位:長指伸筋腱外側の陥凹部、外果尖の前下方。
GB41 足臨泣(あしのりんきゅう)
要穴:胆経の兪木穴、八脈交会穴(帯脈)
穴性:清頭明目、利胸脇
部位:足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位、第5指の長指伸筋腱外側の陥凹部。
GB42 地五会(ちごえ)
穴性:清肝胆、疏筋絡
部位:足背、第4・第5中足骨間、第4中足指節関節の近位の陥凹部。
GB43 俠谿(きょうけい)
要穴:胆経の滎水穴
穴性:清頭明目、利胸脇、消腫止痛
部位:足背、第4・第5指間、みずかきの近位、赤白肉際。
GB44 足竅陰(あしのきょういん)
要穴:胆経の井金穴
穴性:泄熱、利脇、通竅
部位:足の第4指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)。
足の少陽胆経に関連するヨガポーズ(アーサナ)
胆経は目尻から始まって、側頭部を複雑に往復したあと、首の側面〜体の側面を通り、足の薬指へつながる。
首を横へ向けたり横へ倒したりするストレッチや、耳周りのマッサージもとても有効である。アーサナにおいては、脚の外側〜脇を伸ばすときに意識すると良い。
参考文献
「ツボ単―経穴取穴法・経穴名由来解説・〔ユ〕穴単語集」坂元 大海 (著), 原島 広至 (著)



