足の陽明胃経の役割
胃は脾と共に「倉廩(そうりん)の官」と呼ばれ、飲食物を受納→消化(腐熱・熟成)→小腸へ運ぶ(通降)という役割を持つ。
五臓六腑を活動させるエネルギーである「水穀の精気」は胃の消化作用を経て生成されるので、胃に異常があると、他の臓腑の働きに影響が出る。
足の陽明胃経の流注
足の陽明胃経は、手の陽明大腸経の脈気を受けて鼻翼外方に起こり→鼻根部で足の太陽膀胱経と交わり→鼻の外側→上歯→口→唇→オトガイで交わる。戻って、顔面動脈拍動部[大迎]→下顎角→耳前から髪際→額中央に至る。[大迎]から分かれた支脈→総頸動脈拍動部[人迎]→気管→大鎖骨上窩→横隔膜→胃に属し、脾を絡う。本経は大鎖骨上窩→胸部では前正中線外方4寸、腹部では前正中線外方2寸を下り→幽門部に起こり腹部を下る支脈と、鼠径部の大腿動脈拍動部[気衝]で合流→大腿前外側→膝蓋骨→下腿前面→足背→足の第2指外側端に終わる。膝下3寸から分かれた支脈→下腿前面→足の第3指外側端に出る。足背で分かれた支脈→足の第1指内側端に至り→足の太陰脾経につながる。
足の陽明胃経の経穴一覧
ST1 承泣(しょうきゅう)
穴性:散風泄火、疏邪明目
部位:顔面部、眼球と眼窩下縁の間、瞳孔線上。
ST2 四白(しはく)
穴性:去風明目
部位:顔面部、眼窩下孔部。眼窩下神経が出る部位。
ST3 巨髎(こりょう)
穴性:去風活絡
部位:顔面部、瞳孔線上、鼻翼下縁と同じ高さ。
ST4 地倉(ちそう)
穴性:疏風行気、利機関、扶正鎮痛
部位:顔面部、広角の外方4分(指寸)。
ST5 大迎(だいげい)
穴性:疏風散寒、清熱解毒
部位:顔面部、下顎角の前方、咬筋付着部の前方陥凹部、顔面動脈上。
ST6 頰車(きょうしゃ)
穴性:開関通絡、疏風清熱
部位:顔面部、下顎角の前上方1横指(中指)。
ST7 下関(げかん)
穴性:疏風清熱、通関利竅
部位:顔面部、頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部。
ST8 頭維(ずい)
穴性:去風泄火、止痛明目
部位:額角髪際の直上5分、前正中線の外方4寸5分。
ST9 人迎(じんげい)
穴性:通脈、降逆、理気、清熱平喘
部位:前頸部、甲状軟骨上縁と同じ高さ、胸鎖乳突筋の前縁、総頚動脈上。
ST10 水突(すいとつ)
穴性:隆逆平喘、清咽
部位:前頸部、輪状軟骨と同じ高さ、胸鎖乳突筋の前縁。
ST11 気舎(きしゃ)
穴性:散結降逆、清咽止痛
部位:前頸部、小鎖骨上窩で鎖骨胸骨端の上方、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間の陥凹部。
ST12 欠盆(けつぼん)
穴性:宣肺降逆、清熱散結
部位:前頸部、大鎖骨上窩、前正中線の外方4寸、鎖骨上方の陥凹部。
別表記:缺盆
ST13 気戸(きこ)
穴性:宣肺理気、止咳平喘
部位:鎖骨下縁、前正中線の外方4寸。
ST14 庫房(こぼう)
穴性:理気寛胸、降逆化痰
部位:第1肋間、前正中線の外方4寸。
ST15 屋翳(おくえい)
穴性:降逆化痰、疏風活血
部位:第2肋間、前正中線の外方4寸。
ST16 膺窓(ようそう)
穴性:降逆平喘
部位:第3肋間、前正中線の外方4寸。
ST17 乳中(にゅうちゅう)
(現代では鍼灸治療に使用しない)
ST18 乳根(にゅうこん)
穴性:宣通肺気、活血通絡
部位:第5肋間、前正中線の外方4寸。
別名:薛息(せっそく)
ST19 不容(ふよう)
穴性:行気止痛、調中和胃
部位:臍中央の上方6寸、前正中線の外方2寸。
ST20 承満(しょうまん)
穴性:和胃理気
部位:臍中央の上方5寸、前正中線の外方2寸。
別表記:承滿
ST21 梁門(りょうもん)
穴性:調中和胃、消積化滞
部位:臍中央の上方4寸、前正中線の外方2寸。
ST22 関門(かんもん)
穴性:理気和中、健脾和胃
部位:臍中央の上方3寸、前正中線の外方2寸。
ST23 太乙(たいいつ)
穴性:鎮驚化痰、和胃止疼
部位:臍中央の上方2寸、前正中線の外方2寸。
ST24 滑肉門(かつにくもん)
穴性:降逆、健胃止嘔
部位:臍中央の上方1寸、前正中線の外方2寸。
ST25 天枢(てんすう)
要穴:大腸の募穴
穴性:調理腸胃、理気和胃
部位:臍中央の外方2寸。
ST26 外陵(がいりょう)
穴性:調理腸胃、通経止痛
部位:臍中央の下方1寸、前正中線の外方2寸。
ST27 大巨(だいこ)
穴性:益気固精
部位:臍中央の下方2寸、前正中線の外方2寸。
ST28 水道(すいどう)
穴性:通利三焦
部位:臍中央の下方3寸、前正中線の外方2寸。
ST29 帰来(きらい)
穴性:益気固脱、温経去寒
部位:臍中央の下方4寸、前正中線の外方2寸。
ST30 気衝(きしょう)
穴性:舒宗筋、調膀胱、和営気
部位:鼠径部、恥骨結合上縁と同じ高さで、前正中線の外方2寸、大腿動脈拍動部。
ST31 髀関(ひかん)
穴性:強腰膝、通経絡
部位:大腿前面、大腿直筋と縫工筋と大腿筋膜張筋の近位部の間の陥凹部。上前腸骨棘と膝蓋骨底外端とを結ぶ線上で、大転子頂点の高さ。
ST32 伏兔(ふくと)
穴性:強腰益腎、疏通経絡
部位:大腿前外側、膝蓋骨底外端と上前腸骨棘を結ぶ線上、膝蓋骨底の上方6寸。
ST33 陰市(いんし)
穴性:温腎散寒、強腰脊
部位:大腿前外側、大腿直筋腱の外側で膝蓋骨底の上方3寸。
ST34 梁丘(りょうきゅう)
要穴:胃経の郄穴
穴性:通経活絡、理気和胃
部位:大腿前外側、外側広筋と大腿直筋腱外縁の間、膝蓋骨底の上方2寸。
ST35 犢鼻(とくび)
穴性:通経活絡、散寒止痛
部位:膝前面、膝蓋靭帯外方の陥凹部。
ST36 足三里(あしさんり)
要穴:胃経の合土穴、四総穴(肚腹:腹部・内臓)、胃の下合穴
穴性:健脾和胃、扶正培元、疏風化湿、通経活絡
部位:下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸。
ST37 上巨虚(じょうこきょ)
要穴:大腸の下合穴
穴性:利脾和胃、通腑化滞、疏経調気、清熱利湿
部位:下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方6寸。
ST38 条口(じょうこう)
穴性:理気和胃、舒筋通絡
部位:下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方8寸。
別表記:條口
ST39 下巨虚(げこきょ)
要穴:小腸の下合穴
穴性:調理腸胃、疏通乳絡
部位:下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方9寸。
ST40 豊隆(ほうりゅう)
要穴:胃経の絡穴
穴性:和胃化痰、清神志
部位:下腿前外側、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸。
ST41 解渓(かいけい)
要穴:胃経の経火穴
穴性:健脾化湿、清胃化痰、理気通絡、活血止痛
部位:足関節前面中央の陥凹部、長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間。内果尖と外果尖との中点。
別表記:解谿
ST42 衝陽(しょうよう)
要穴:胃の原穴
穴性:和胃化湿、寧神志
部位:足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部。
ST43 陥谷(かんこく)
要穴:胃経の兪木穴
穴性:解表清熱、散風行水
部位:足背、第2・第3中足骨の間、第2中足指節関節の近位陥凹部。
ST44 内庭(ないてい)
要穴:胃経の滎水穴
穴性:清胃腸湿熱、理気鎮痛
部位:足背、第2・第3足指間、みずかきの後縁、赤白肉際。
ST45 厲兌(れいだ)
要穴:胃経の井金穴
穴性:和胃化痰、清熱安神
部位:足の第2指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)。
足の陽明胃経に関連するヨガポーズ(アーサナ)
胃経は体の前面全体を通っているため、体の前側を伸ばすアーサナで流れを意識すると効果が高まる。
参考文献
「ツボ単―経穴取穴法・経穴名由来解説・〔ユ〕穴単語集」坂元 大海 (著), 原島 広至 (著)





