体の熱を下げ、気分を落ち着かせる呼吸法、シータカーリー・プラーナーヤーマ。
シートカーリーと書いたり、あるいは「シッカリ呼吸法」と呼んでいる人もいますね。このほうが日本人には覚えやすいかもしれません。
暑さ対策については、以下の記事にもまとめていますので参考にしてみてください。
シータカーリープラーナーヤーマの効果
主に、下記のような不調を改善します。
- 体が暑い
- イライラする、気持ちが高ぶっている
- 目の緊張や疲れ
体の熱を落ち着かせるために、激しいポーズ練習後にこの呼吸法を行うこともあります。
アーユルヴェーダでは、ピッタ(火)の増大による不調を改善するために行われます。
なぜこの呼吸で冷やせるのか
東洋医学の観点からみると、上前歯の間には督脈の終点である「齦交(ぎんこう)」のツボがあります。
督脈は背中の真ん中を通っており、過剰な「陽」のエネルギーを流してバランスをとる排水溝のような役割も持っています。
シータカーリーは、ここに風を通して刺激することで、陰陽のバランスを調整するのを助ける効果があります。
また、歯茎や舌には全身につながるツボがあるとも言われ、歯茎や舌に風を通して冷やすことで、全身に影響があるとも考えられます。
シータカーリープラーナーヤーマの禁忌・注意点
低血圧の方は避けましょう。
寒い気候のときは行いません。
心臓病・妊娠中の方は、息を止めずに行いましょう。
シータカーリープラーナーヤーマのやり方
1)落ち着いた坐法ですわって行ってもいいし、立って行うこともできます。ただし、口から息を吸い込むので、なるべく空気のキレイな場所で行いましょう。
吸い方には以下2種類の異なったやり方がありますが、試してみて、より効果が感じられるものを使うと良いでしょう。
2−1)口を軽く開けて歯を閉じます(「イー」という口の形)。歯の間を通り抜けるように「シーーー」という音を鳴らしながら息を吸い込みます。吸いきったら口を閉じます。
2−2)口を軽く開けて、舌を口から少し出して平らにしておきます。その上を空気が通り抜けるように息を吸い、吸いきったら舌を戻して口を閉じます。
3)鼻からゆっくり吐き出します。
4)5〜10セット程度行い、自然な呼吸に戻します。
シータカーリープラーナーヤーマのコツ・練習法
イメージも合わせて行う
呼吸法は、イメージを合わせて行うと効果が高まります。
冷たい空気が口から入ってきて体を冷やし、体の熱気が出ていくというようなイメージも合わせて、集中して呼吸法を行うと良いでしょう。
舌を丸めて行うバリエーション(シータリー)
舌をストロー状に丸めることができる場合は、同様の効果のあるシータリープラーナーヤーマも合わせて練習します。
舌を丸めて息を吸い込み、少し止めた後、鼻から息を吐き出します。
バンダやムドラーを使う高度なやり方
慣れてきたら、息を吸ったあとに止めて、止めている間は首を前に曲げてアゴを鎖骨の間につけるジャーランダラバンダを行って10秒ほどキープしてから、顔を前に戻して鼻から吐き出します。
バンダ(ロック・締めるなどの意味)をして冷気を一度しっかり溜めてから吐き出すことになり、効果が高まります。
上記2−1の形で、さらに高度なやり方としては、舌を口の中の上(軟口蓋)につけた状態(ケチャリムドラー)で行う形があります。
また、吐くときに片鼻から吐き出し(指で片方をふさぐ)、交互に左右入れ替えながら行うやり方もあります。
その他のドーシャバランスを整える呼吸法
シータカーリーやシータリーは、ピッタ(火)をバランスする呼吸法です。
その他のヴァータ(風)・カパ(水)を整える呼吸法も、身につけておくと良いでしょう。
ヴァータは気分がせかせかしているとき、カパは気分が重くだるいときなどに、アンバランスになっています。
メイン画像出典:Asana Pranayama Mudra Bandha / Swami Satyananda Saraswati