梅雨が早めに明けて、暑い季節になりましたね。
暑い季節を過ごすための技法や夏バテ対策については過去にも何度か書いてきましたが、改めてまとめておきます。
この記事の目次
暑さにやられてしまう原因例
- 食生活:食べすぎ・飲みすぎ。冷たいものばかり食べたり飲んだりしまう。
- 体の動き:汗をかきたくなくて、動作が少なくなる。呼吸が浅くなる。
- 温度管理:冷房で体が冷える、室内外の温度差に対応できていない。
- メンタル:暑さや汗などによってストレスを溜めてしまう。
これらはすべて「自律神経の異常」につながっています。暑さ対策の基本は、
- 自律神経を乱す原因をなるべくなくす。
- 自律神経を整える技法を実践できるようにする。
ということが重要かと思います。
夏は気温も高く、昼間の時間も長いです。そのため、たとえば食事をとる時刻や内容や量も他の季節と比べて変わっていても良いはずなのですが、なかなか習慣が変えられないということも多いかと思います。
また、暑いから動きが少なくなるというのも、一つの不健康の原因でしょう。
動きが少なくなると体もかたくなり、呼吸も浅くなります。
そして暑さに対するストレス・心の乱れも、大きな不健康の原因です。
これらのテーマを元にして、暑い季節をうまくすごすヒントを書いていきます。
ちなみに、体は暑いけれど手足・末端は冷えてしまうという人は、以下の記事も参考にしてみてください。
暑さ対策 呼吸法
最も軽視されがちなのですが、実は最も大切なので、一番最初に書いておきます。
先に書いたように、暑さで参ってしまう原因の多くは、自律神経の不調によるものが多いです。
自律神経は、裏側で心身を整えてくれる需要な仕組みをコントロールしているものです。
自律神経が乱れると、血行が悪くなったり、温度調整ができなくなったり、眠れなくなったり、消化が悪くなったり、生理不順になったり、いろいろな症状が現れます。
自律神経を整えるには、呼吸が最も重要です。
普段の呼吸を深める
気温が高いと、動きが小さくなりがちなので呼吸も浅くなりやすくなります。
首肩周り・胸やお腹周りなどがかたまっていると呼吸が脳までうまく届かないので、後述のヨガポーズなどもやってから呼吸を深めると良いでしょう。
お腹も胸も全部使って、なるべく深い呼吸をするようにします。
まずはしっかり吐ききることです。たくさん吐かなければ、たくさん吸えません。
たくさん吐くための筋肉を目覚めさせるには、ストロー呼吸も有効です。口を少しすぼめて、口から強く息を吐き出します。吸うのは、鼻からが良いでしょう。これは歩きながらなどでも行えます。
背骨に意識を通し、自律神経を整え内臓を活発にする呼吸
尾骶骨の先から、首の後ろ側〜頭のてっぺんまで、背骨を伝って呼吸が通るようにします。
吸う息で背骨を伝って意識を上に上げていき、頭のてっぺんに意識を置いて少し息を止めます。吐く息で背骨を伝って意識を下に下げていき、尾骶骨の先に意識を置いて少し息を止めます。その繰り返しです。
深い呼吸と共に、このような意識を通すことも行えると、より自律神経の調整に役立ちます。
体を冷やす呼吸法
マスクをしていてもできる、シータカーリー呼吸法を紹介します。
口を少し開けて歯は軽く閉じた状態(イーと発音しているような口の形)で、歯の間を通って歯茎を冷やすように、舌の上を風が通って冷やすように、息を吸い込みます。
冷たい空気が体中に入ってくるイメージをして、吸い切ったら口を閉じ、少し息を止めます。
体の中の熱を吐き出すようなイメージで、鼻から息を吐きます。
暑さ対策 食生活
原則として、「食欲がないなら、無理に食べない」ということです。
「食べないと夏バテする」という説もありますが、消化吸収するにもエネルギーを費やしているので、食べたくないときには食べない方がエネルギーの余計な消費が抑えられます。
また、冷たいものをたくさん食べるのも、内臓に負担をかけて結果的に元気がなくなる原因となってしまいます。
たとえば病気の回復食などでも「少食・消化の良い・内臓に負担の少ないものを食べる」ということは行われています。
そして冬に比べると、脂肪を蓄えなくていいので、自然な食欲に従えば、全体的に食べる量は減って体はスリムになっていくと思います。
「でもおいしいものをたくさんたべたい!」と食に執着するひとは、それもまた人生です。そのためのエネルギーを、他で消費しないように上手にコントロールしてください。
アーユルヴェーダからのヒント
暑い季節にはピッタ(火)を増大させないような食生活が適しています。
その考え方に基けば、辛いもの、熱いものを食べすぎない方が良いと思われますが、冷房で冷えてしまっている人には逆に温めるものが必要です。
自分に何が足りていないのか、何が過剰なのか、注意深く観察しながら、食べるものや量をコントロールするようにしましょう。
参考:食物の6味と6性質 〜今の体質(ドーシャ:ヴァータ・ピッタ・カパ)に合ったものを食べる、アーユルヴェーダの助言〜
冷たいものを食べすぎない・飲みすぎない
暑い季節には冷たいものを欲してしまうかもしれませんが、体の内側を冷やしてしまうと、だんだん内臓が弱り、元気がなくなってきます。
冷たいものを欲したとき、先に挙げた「体を冷やす呼吸法」を試したり、冷たい水でうがいをするなどすると、反射的に湧いた欲求が消えていくこともあります。体に取り入れなくても、冷たい刺激があるだけで、十分に満足できることも多いです。
とはいえ、体には良くないとわかっていても、「反射的に」ついついやってしまうことは多いかもしれません。
一旦冷静になって、深い呼吸をして、「本当にこれを欲しているのか?」と考えてみるのも良いかもしれません。
暑さ対策 温度差への対処
室内はキンキンに冷えていて、外に出ると暑い。という状況に苦しむ人も多いかと思います。
室内にいるときには、カーディガンを羽織る・膝掛けをかけるなどして冷えないようにしましょう、といったことは基本です。
とくに冷えやすく、冷えるとマズい部分について知っておくと良いかと思います。
二の腕の外側
半袖やノースリーブを着ると、二の腕の外側がクーラーにあたって冷えやすくなります。
ここが冷えてしまうと、経絡で言えば体幹部分全体の機能に関わる「三焦」の働きにとくに影響します。エネルギー変換や伝達の効率が悪くなり、食べても活力につながりにくくなったり、元気が湧いてきにくくなります。
人は寒くなるとここを自然にさすって温めようとします。それをやってみたらいいです。
なるべく冷やさないように、カーディガンなどを羽織って、冷えていることに気づいたらさすったりして温めます。
首の根元の背骨「大椎」
風邪のひきはじめに固まってくる場所、寒気に効くツボなどとしても重要なツボ、大椎。
襟口がおおきく開いた服、特に女性が着る背中側に大きく開いた服はセクシーでよろしいのですが、大椎が冷えやすいです。
クーラーが効いている空間では首肩にストールをかけて冷えにくくしたり、冷えてしまっているのに気づいたら手を擦り合わせてからそこに当ててみたり、直接さすったりして温めます。家でケアするときはお灸を置いてみるのも良いでしょう。
デコルテ周辺
姿勢が悪い状態でクーラーの風をあびながら長時間仕事をしていたりすると、胸の周りも冷え固まってきます。
血行が悪くなるというのも原因の一つですし、クーラーで冷やされた空気を吸い込むことでさらに肺を冷やしてしまいます。
鎖骨の下あたりをさすって温めたり、肩を上下・前後に動かす(肩をすくめる&なで肩にする動きと、肩甲骨を寄せる&開く動き)ことで肩周りの緊張をほぐして熱を生み出し、デコルテ周辺のコリも改善することができます。
またお風呂に入るときは、短時間でも良いので首までお湯につかって温めるようにすると良いでしょう。
胃の周り〜下腹部
冷たいものを食べたり飲んだりすると、胃のあたりが異常に冷たくなります。皮膚の上からでもさわってみると、暑いのにおなかは冷えている、ということに気づくかもしれません。
とくにストレスが溜まっていると、ここが固まってさらに冷やされて、消化も悪くなり活力も湧かず、いずれは胃の病気につながります。
ヘソから4本指上くらいにある中脘のツボを中心に、さすったり温めたりして、この部分は温かく柔らかい状態にしておきましょう。
手足
手足もエネルギーを取り入れたり出したりする重要な場所なので、冷えてしまうと全身に影響があります。
特に手の真ん中の労宮、足の真ん中の湧泉などのツボは、指で押して刺激するなどして温かく柔らかい状態にしておきましょう。
労宮や湧泉からエネルギーを取り入れたり出したりするようなイメージで呼吸するのも良い循環を生みます。
暑さ対策 アロマスプレー
暑さ対策・ニオイ対策・虫除けなどのために、アロマオイルを使ってアロマスプレーを作っておくのも良いでしょう。
ハッカ油を用いるのがオススメです。
私がよく作る夏用のアロマスプレーの内容は、
- 水90ml
- エタノール10ml
- ハッカ油5滴
- レモングラス3滴
- サンダルウッド1滴
- ユーカリ1滴
といった感じです。好みに合わせて調整してみてください。
オイルはAmazonか無印良品などで買っています。無水エタノールはAmazonや薬局で、スプレーボトルは100均で買えます。
暑さ対策 ヨガポーズ
アーユルヴェーダの考え方によれば、ピッタ(火)を散らすためにはねじりのポーズが特に有効です。
参考:ドーシャバランスを整えるアーサナ・呼吸法 〜アーユルヴェーダとハタヨーガ〜
逆に、冷房やアイスなどで冷気を溜め込みすぎて夏風邪を引いてしまった人には、カパを減らす、反る動きやたくさん動くようなヨガが有効です。
ここでは特に、自律神経について扱っているので、呼吸を深めることにつながるねじりポーズを挙げてみます。
下腹部から、胸、首も含めて、しっかりねじるようにしましょう。
日常的に行うには。チェアヨガのポーズが良いかもしれません。体全体を動かせない場合は、首だけでもしっきり動かしてみるとよいでしょう。首が動くだけでも、呼吸を深め、頭の働きを高めるにはとても有効です。
寝る前などには仰向けのねじりポーズで全身をしっかりねじると、睡眠も深まります。
暑さ対策 瞑想
暑さ対策に瞑想が有効なの??と思うかもしれませんが、昔から「心頭滅却すれば火もまた涼し」という言葉もあります。
暑さによるストレスをなくし、メンタルをコントロールするためにも瞑想は重要です。
また、イメージを用いた「観想」もとても有効です。
結局のところ、ストレスをつくり出しているのも、快適をつくり出しているのも、自分の心なのです。
心は実際と同じ経験を生み出します。いやな記憶を思い起こして、いやな気持ちがぐるぐる回り始めると、同じ経験を繰り返しているということになります。暑いのいやだなあ…と考え続けていると、ずっと暑くていやだという経験を重ねていることになり、ストレスはたまっていきます。思考のループから抜け出すには、論理をこねくりまわすのではなく、なにかに集中をすることです。それが瞑想です。
イメージしたことが、実際の経験と同じ作用を脳にもたらす、という性質をうまく用いて、本当に快適な空間にいるイメージを明確に描ければ、実際にそこにいる経験をしたことになります。それが観想法の原理のひとつです。
ストレスを減らす瞑想
背骨がまっすぐ立つように、どんな形でも良いので座ります。椅子でも、床にあぐらでも構いません。なるべく刺激の少ない邪魔の入らない環境を作ります。
参考:ヨガのあぐら一覧
5分程度、時間をきめたらアラームをセットします。
目を軽く閉じて、呼吸と姿勢を整えることに集中します。
姿勢:なるべく頭頂が高いところにくるように、なるべく偏りがないように、そしてその良い姿勢をなるべく少ない力で支えられるようにしていきます。
呼吸:5秒吸って、5秒止めて、5秒吐いて、5秒止める、を繰り返します。
雑念が入っても、そこにぐるぐる思考がとどまらないように切り替えて、また集中に戻ってきます。
快適な空間に居るイメージをする観想
背骨がまっすぐ立つように、どんな形でも良いので座ります。椅子でも、床にあぐらでも構いません。なるべく刺激の少ない邪魔の入らない環境を作ります。
5分程度、時間をきめたらアラームをセットします。
自分の最も快適だと思う空間にいるイメージをします。そこはどんな温度か、どんな明るさか、どんな香りか、どんな音が流れているか、どんな風が吹いているか、なるべく明確に、イメージし続けます。
雑念が入っても、またそのイメージに戻ります。
対処する方法を身につけつつ、原因をなくしていく
私の考えるセルフケアは、いま気になっていることへの対処法と共に、根本的な原因をなくしていくことも重要と捉えます。
根本的に、暑い季節がいやなら、暑くない国で生きていくことも本気で考えてみたらいいです。
とても苦労することもあるかもしれませんが、それが結果的に幸せかもしれません。
今は、夏が暑い国で生きるという今の生活を、自分で選んでいるわけです。
どうしてもコントロールできないものは、それについて愚痴っても無駄なエネルギーを消費するだけです。
コントロールできる問題は、先送りにせず、自分なりになんとかしていきましょう。
心身を不健康にしている原因に気づき、いろいろ試して、自分に合った対処法を、楽しみながら見つけていってください。