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手足末端の冷え性対策(夏)

手足末端の冷え性対策(夏)

なぜこんなに暑いのに、手足だけ冷たく感じるのか

夏でも手足(末端)が冷えてしまう人に、冷え性対策のヒントを書いておきます。

仕事中などでもできるような小さな運動、体の巡りをよくする呼吸法や、自律神経やエネルギーなどの観点から考えた冷え性の原因と対策についてまとめています。

末端は冷えるけれど体は暑いという方は、以下の暑さ対策の記事を参考にしてみてください。

参考:暑さ対策ヨガ・呼吸法・食生活・瞑想・アロマ

この記事の目次

冷え性対策の基本

冷え性対策を調べてみると、たとえば「冷房を控えめにする」「風を直接あびないようにする」とか「冷たいものを摂りすぎないようにする」といった、言葉で聞くと「当たり前じゃん!」というようなヒントがよく見つかります。

しかし意外と仕事中などにはそこまで考える余裕がなかったりして、基本的なことがうまくできていないことも多いです。

しっかり気づきを磨きながら、基本的なところにも原因がないか探りつつ、セルフケアできるようにしていくと良いでしょう。

ただ、セルフケアをするにしてもストレスをためてしまうのは良くないので、苦行のような方法はなるべく選ばないようにして、あまり我慢せずに、時間と費用をかけずにできる自分なりのセルフケアを持っておくと良いかと思います。

冷え性の原因の例「気と自律神経」

冷え性が起こる原因がわかると、対策をちゃんとしようというやる気も湧いてくるかもしれません。

なぜ暑い季節なのに手足(末端)だけ冷たく感じるのか、今回は気(エネルギー)と自律神経という観点で考えてみます。

エネルギーが足りていない、あるいは流れが悪い

人間は、体温を一定にするためにいろいろな仕組みを働かせて、体の健康を維持しています。

もちろんその仕組みを動かすためにもエネルギーが必要です。

ここで言うエネルギーとは、東洋医学で「気」などと呼ばれる生命エネルギーです。ヨガでは「プラーナ」などと呼びます。

内臓が働いたり、熱を産み出したりするために必要なエネルギーと考えておくと良いかと思います。

エネルギーが十分足りていなかったり、うまく流れていなかった場合、なるべく生命維持に必要なところにエネルギーが割かれることになります。

たとえば冷房や冷たい飲食物によって内臓が冷えてしまった場合、それを温めるためにエネルギーが要ります。

温めるためのエネルギーが十分でないと、生命維持のために比較的重要でない部分にはエネルギーをまわす余裕がなくなり、末端はエネルギーが不足して冷えてしまいます。

直接冷やされているわけではないのに、なぜ末端が冷えるのか?なぜ別の場所に影響が現れるのか?という原因のひとつが、こういったところにあるかと思います。

なので、エネルギーを浪費しないようにして、適切に蓄えて、滞らせずに流すことができるようになると、冷え性やいろいろな不調が改善していくかもしれません。具体的な対策の例は後で紹介しています。

自律神経が乱れている

自律神経は、発汗や血圧やホルモン分泌などをコントロールして、「刺激(体の外や中からの)」に対して体を整えてくれています。

参考:自律神経の基礎知識・整え方

暑い・寒いといった刺激に対して、適切に体が変化してくれれば不調はいずれなくなるはずですが、バランスが崩れた状態が続いてしまうと、偏った状態が慢性化して病気や慢性的な症状になってしまいます。

これは自律神経が悪いのではなく、心身のバランスを崩すようなことを慢性的にしてしまっているのが原因です。自律神経は、そのバランスを整えようとしてくれていますが、バランスが崩れた状態が続くと対応しきれなくなってしまいます。

特にストレスを受け続けていると、心身の維持のために脳や内臓がたくさん働かなくてはならなくなり、やはり重要度の低い末端の温度を保つということができなくなってきます。

なので、偏った環境・偏った食生活・偏ったストレスなどが続かないように、体の外や中からの刺激のバランスをとることが大切です。

冷え性対策の例「気と自律神経を整える」

具体的な冷え性対策をいくつか挙げていってみます。全部やらなくても良いので、自分なりにできそうなものを選んで試してみると良いかと思います。

落ち着いて呼吸する

自律神経を整えるには、まず落ち着いた深い呼吸が有効です。

「息の仕方が生き方である」と言われるように、呼吸にはその人の生き様が現れます。呼吸には心身をうまくコントロールする重要な鍵があります。呼吸は、意識しなくてもできてしまうものですが、意識して変えることもできます。

深い呼吸が苦手な人は、吐く息を長くしてみることから練習してみると良いかもしれません。5秒吸って・10秒吐く、というのがよく行われる呼吸法です。

息を止める

息を止めると、一時的に血圧が上がって毛細血管に圧がかかり、末端に刺激が加わります。

滞っている状態を変えるための刺激になりますが、やりすぎても別の問題になることがありますので、気をつけて行ってください。高血圧や心臓病や血管のトラブルのある方は避けた方が良いでしょう。

苦しくなるほど長く止める必要はありません。楽に止めていられる長さで、心身を力ませないようにしながら止めるようにします。

深い呼吸とともに、止める時間を少しつくってみるのも良いでしょう。たとえば5秒吸って・5秒止めて・10秒吐く、といった感じです。1〜2分ほど行っているだけで、何か変化は現れるはずです。

なかなか集中力がなくて1〜2分すらも続かない!という人も多いかもしれませんが、それも練習です。ひとりではできないようであれば、誰かに教わったり、友達と一緒にやってみるのも良いかもしれません。

手足の指と手首足首をしっかり動かす

しっかり末端を動かして、血液とリンパ液の流れを導きます。

特に足の指と足首は、日常的に動かすことが少ない人も多いかと思います。

足首を動かすとふくらはぎの筋肉が使われて、むくみの改善にもつながります。

椅子に座っていても、できる運動は結構ありますので、仕事中に少し行ってみても良いかと思います。

参考:チェアヨガ・ベーシック|オフィスや学校で全身を動かせるポーズ集

気を向ける

ただ気を向けるだけでも、その部分の働きが高まって、温まってきます。

気を向けるといってもどうするのか?あまり日常で意識的にやったことはないかもしれませんが、「手足の先を温かい空気が取り巻いているイメージする」というようなイメージで良いかと思います。

ほんまかいなと疑いながらやってもあまり効果が出ないので、やるからにはしっかりイメージするように練習していくと良いでしょう。

気を向けるという練習は、以下の「気の通り道」を整えるイメージにもつながります。

気の通り道を整える(小周天)

エネルギーが伝わる道は、体の中にたくさんあると言われています。それは血管とはまた別のものです。

気功や鍼灸などでよく用いられる、体の前側の真ん中を通る道(任脈)と後ろ側の真ん中を通る道(督脈)をつなぐように気を回すイメージをすると、全身の巡りがよくなります。「小周天(しょうしゅうてん)」と呼ばれる技法です。

いろいろなやり方がありますが、シンプルなやり方を紹介しておきます。

気を回すには、前(お腹側)から上げるか、後ろ(背中側)から上げるかで2つの方向がありますが、どちらの方向で行うかは、人それぞれコンディションによっても異なるので、どちらも試してみて「気持ち良い」と感じる方向を行うと良いでしょう。(性別で異なるという説もありますが、どうもそれだけでもないようです。)

息を吐ききったときに、意識を尾骨の先に置きます。

息を5〜10秒かけて吸いながら、お腹側あるいは背中側から、体の真ん中のラインを通って気が上がっていくイメージをします。吸い切った時、意識は頭のてっぺんに置きます。

息を5〜10秒かけて吐きながら、背中側あるいはお腹側から気が降りていくイメージをします。吐ききった時、意識は尾骨の先にあります。これで一周です。気持ち良いと感じる回数だけ、まわしてみましょう。

真ん中のラインを通そうとしても、はっきりわからずに気が飛び飛びになってしまうこともあるかと思います。これは背骨の歪みや昔の怪我なども影響することがあります。

これも練習でうまくなっていきます。なるべく真ん中のラインをはっきりイメージできるように練習を続けていると、気の流れも整い、背骨も整っていきます。

参考:気は意に従う

小周天について詳しく知りたい場合は、以下の本などを参考にしてみてください。

参考:現代仙道百科―心身改革の秘法体系/小野田大蔵(著)|書籍紹介

食生活を整える

食べ物をたくさん食べたら、エネルギーがつくのかどうか。

適度に食べればいずれはエネルギーになるのですが、たとえば肉を消化して吸収してエネルギーを流すのにもたくさんの仕組みが働いています。働かせすぎたり、仕事を頼むタイミングを間違えたりすれば、それもまた疲弊につながってしまいます。

適切な量を、適切なタイミングで食べるのも大切でしょう。

なにが適切なのかは、人それぞれ異なり色々な説もありますが、基本的には「決まった時間にこだわらず、自分がお腹の空くタイミングで食べる」のと「なるべく少量の、栄養のあるものを食べる」ということは共通して言えるかと思います。

たとえば食欲がないのに、あとでお腹がすくと困るからといって無理して決まった時間に食べようとしたり、夏バテしたくないからといってたくさん食べると、他のことに使われるはずのエネルギーが消化吸収のために使われてしまいます。

なるべく余計なことに頭を使わないようにする

ストレスや雑念、考えることや決断することなども、エネルギー消費につながっています。

YouTubeを眺めながら、観たい動画を探しているのも、結構なエネルギーを使っています。

慢性的なストレスを受けたり、余計なことを考え過ぎて頭を使いすぎたりすることによってエネルギーが足りなくなり、これも末端へのエネルギー不足につながります。

雑念・煩悩をなくす練習のために、瞑想を習慣にするのもいいでしょう。簡単に瞑想を始めるなら、まず先ほど挙げた深い呼吸の練習を数分間するだけでも十分効果があります。

参考:瞑想入門・マインドフルネス入門

書籍紹介:自律神経の科学「身体が整う」とはどういうことか(ブルーバックス)/鈴木郁子 (著)|書籍紹介

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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