1日のほとんどの時間を、イスに座って過ごすという人も多いでしょう。
この記事では、なるべく姿勢良く、なるべく楽に、イスに座るための簡単なコツを紹介します。
この記事の目次
お尻(坐骨)の置き方
イスに座る上での土台となる、坐骨。
坐骨は、立つ時の「足」のように大事な部分です。坐骨がどうなっているか、意識して座ってみましょう。
座った時、座面にささるのが坐骨です。ささるような丸く尖った形で下へ向かってついている骨です。
丸く尖っているので、「ゆりかご」のようであると言われることもあります。
この左右のゆりかご状の「足」が、どのようになっていれば「良い姿勢・楽な姿勢」になるのか。
坐骨の状態チェック
ひとまず左右の坐骨の下に手を入れて座ってみましょう。あまり体重をかけすぎると手が痛いので、柔らかめの座面かタオルを敷くなどしてから軽く座ってチェックしてます。
坐骨の位置が、左右平行に並んでいなかったり、坐骨のとんがりの向きが前や後ろや斜め横へ向いていたり、いろいろな癖があることに気づくかもしれません。
この坐骨が、左右平行に並んで、まっすぐ垂直に立っていれば、自然と一番良い・楽な姿勢に近づくはずです。
ただ、坐骨は下についているので見えませんし、触ってもよくわからないことも多いでしょう。その場合は、以下のように坐骨以外の部分で骨盤の向きをチェックします。
坐骨がわかりにくい場合の骨盤チェック
坐骨を触りにくい、触っても状態が分かりにくい場合は、骨盤の前側の「三角形」を使うと良いでしょう。
腰の左右の前側に、前向きに尖った骨(上前腸骨棘)があります。そして骨盤の中央下の方の前側に、恥骨があります。
その三点を結んだ三角形が、骨盤の向きの目安になります。この三角形が垂直に、まっすぐ前を向いていれば、骨盤は立っていることになります。
多くの猫背の人はこの三角形がかなり後ろに傾いていて、反り腰の人は前へ傾いているかもしれません。
足の置き方
イスに座っている時、あまり足については意識していない人も多いかもしれません。
試しに、座っているときに両足を1cmくらいでいいので浮かせてみてください。だいぶ腹筋や太ももに力が入ると思います。
お尻だけでなく、足も結構な重さを支えてくれていることがわかると思います。
なので、お尻だけでなく足の置き方も大切です。
足裏をしっかり床に置く
まず、なるべく足裏がしっかり床などに置けるような高さのイスに調整すると良いでしょう。
そのときの足裏には、姿勢良く立っている時と同じように、内側外側へ偏りがないように、目安は内くるぶしの下に重心がくるようにします。
そのような安定した足が床に置けるようにして、膝が90度に曲がるように、イスの高さを調整します。
イスが高すぎる場合
もし足裏がつかなくて、爪先立ちになっていたり、脚がぶらぶらしている状態の場合、太ももの筋肉にかなり負荷がかかることになります。下半身の血行が悪くなって、むくんだり冷えたり、前屈ができなくなったりする原因のひとつですね。
そのような高いイスに座っている場合、骨盤が後ろに倒れやすくなります。より一層、先ほどの「骨盤を立てる」ということが難しくなります。腹筋や腸腰筋が必要になり、座りながら筋トレしているような状態になります。
座面の高さを調整するか、可能なら足の下になにか置くようにすると良いでしょう。
高さ調整もできなくてやむをえずそのようなイスに座らなくてはならない場合は、なるべく長時間座らず、たまに立って前屈や後屈などの運動を軽くするようにすると良いでしょう。できない場合は、まあ、あとで、寝る前にでもやりましょう。
イスが低すぎる場合
カフェなどでたまにありますが、イスが低すぎる場合、足裏をちゃんと床に置いて膝を90度に曲げようとすると膝が座面より高くなって、太もも裏が座面から浮くことになり、ほとんどの場合。骨盤が後ろに倒れてしまうでしょう。
だいたいそういうイスはソファだったりするので、後ろに倒れればふかふかの背もたれがあるでしょうから、それほど問題ではないです。
ただ、低いイスでも背もたれがなかったり、ちゃんと背骨を立てたいという場面もあるかもしれません。
その場合、服装によってはやりにくいかもしれませんが、スカーサナ(安楽座)の足を応用して用いるやり方もあります。
脚をクロスして、足首を90度に曲げて、足の小指側のエッジを床に置く形にします。こうすると、あぐらを組んでいるように安定した姿勢を作ることができます。
女性など脚を開きたくない場合は、膝をくっつけて、左右どちらかに倒すような座り方になるかと思いますが、ずっと続けていると股関節に負担がかかり骨盤が傾きますので、お尻はしっかり両側とも重さを均等にすることに気をつけて、脚はたまに逆へ倒すようにすると良いでしょう。
基本的にはなるべく足も使って体の重さを支えるように意識する、というのが大事かと思います。
背骨の立て方
お尻と足、土台ができれば自然に上半身は立つはずですが、手や目が前へ前へと動こうとするので、姿勢は上半身から崩れていってしまい、いつのまにか土台もぐちゃぐちゃになっていることでしょう。
上半身を整えるために、姿勢を整えるトリガーを以前紹介しました。
姿勢が崩れそうになったら、「頭のてっぺんを上から吊られるようにイメージする」などのトリガーを自分なりに持っておいて、すぐに整えられるようにしておくと良いでしょう。
気をつけていても、やはり姿勢は崩れます。
崩れているのに気づいたら、なおす。その繰り返しを続けていれば、意識しなくても良い姿勢が少しずつつくれるようになっていきます。
イスに座って瞑想しても良いのかという話
日本や中国やインドの神仏はほとんど蓮華座で座っていることが多いですが、エジプトなどの神様はイスに座っていることも多いです。
ヨーガスートラでは、具体的な坐法は指定されておらず、瞑想をするために「快適で安定した坐法」が必要であるとされます。べつにあぐらや蓮華座・結跏趺坐が組める必要はないです。ちなみにハタヨーガでは、シッダーサナ(達人坐)やパドマーサナ(蓮華座)が重要とされますが、これらには行法との関連もあるのでそれなりの理由があります。
参考:ヨーガスートラ解説 2.46-2.48 〜アーサナ(坐法・姿勢)〜
イスに座っていても、以上のようなことを気をつけてみると、長時間座っていられる「快適で安定した姿勢」がつくれるのではないかと思います。
瞑想できるくらいの、快適で安定した姿勢を、日頃の仕事のときにも意識して整えてみると良いかと思います。
仕事中もたまに1分間くらい、大丈夫な職場なら、少し目を閉じて深呼吸をする瞑想をするのも良いですね。