現代ヨガは、世界中で多くの人々に実践されています。
ヨガが世界に広まる大きなきっかけをつくったアイアンガー氏と、アシュタンガヨガを広めたパタビジョイス氏。その二人の師匠が、「現代ヨガの父」と呼ばれるクリシュナマチャリア氏です。
現代ヨガを深く探究するために、クリシュナマチャリア氏の主著である「ヨガマカランダ(ヨーガ・マカランダ)Yoga Makaranda」を読み進めていきます。
引用部分は、特に記載のない限り以下の英語版(2006年)Yoga Makarandaを出典とします。
この記事の目次
目次と構成の詳細
ヨーガマカランダの構成は、各項目を和訳すると、以下のようになっています。
- 前書き・参考文献
- 1. 序論
- 1.1 なぜヨーガを修習するのか
- 1.2 チャクラ
- 1.3 プラティヤーハーラ
- 1.4 ダーラナー・ディヤーナ
- 1.5 ヨーガを修習する権利のある人
- 2. ヨーガの支則の探究
- 2.1 ヤマ・ニヤマ
- 2.2 緒言
- 2.3 注意点
- 2.4 重要な気づき
- 3. ヨーガの修習について
- 3.1 ヨーガを実践する場所
- 3.2 ヨーガの実践を始める時期に関する議論
- 3.3 ヨーガ実践者の食事制限
- 3.3.1 食べても良いもの
- 3.3.2 避けるべき食べ物
- 3.4 推奨される行動・避けるべき行動
- 3.4.1 避けるべき行動
- 3.4.2 推奨される行動
- 3.5 ナディについて
- 3.6 シャットクリヤに関する探究
- 3.7 ヴァーユについて
- 3.8 20種類のムドラーに関する探究
- 4. アーサナについて
- アーサナ索引
- 図の索引
- 用語集
ヨガのポーズ(アーサナ)については42種類が示されています。その中には、現代ヨガで行われているポーズの原型がたくさん見られます。
構成としては最後に結びのような章は無く、アーサナ集が示された後に索引と用語集で終わっています。
マントラと前書き
Sri Hayagrivaya Namaha
他のヨーガの教典と同じように、冒頭にはマントラ(真言)が示されています。インドのヨガのクラスでは、座学でも必ず最初にマントラを唱えていました。
頭のSri(シュリ)は「聖なる」などの意味で、終わりのNamaha(ナマハ)は日本でも「南無」などと訳されていますが「礼拝する」といった意味の言葉で。これらは神様へ礼拝するマントラの定番の組み合わせです。
Hayagriva(ハヤグリーヴァ)は、知恵・知識・学問の神で、ヴィシュヌ神の化身であると言われます。この本でヨーガを学んでいく上で、まず学問の神に祈りを捧げるということになります。
このマントラの後に、インドのカルナータカ州の王への賛辞が述べられ、このヨーガマカランダを書くにあたっての許可と祝福を王に求めたといった話が書かれています。現代の本でもよく冒頭に書かれている「謝辞」に近いもののようです。
カルナータカ州はインド南西部にあり、中心都市はIT系の人々には有名なバンガロール(ベンガルール)。そして現在もアシュタンガヨガの総本山となっている都市マイソールはこの州にあります。
クリシュナマチャリア氏による参考文献リスト
前書きの末尾に、クリシュナマチャリア氏はこんな古典を全部勉強した上でヨーガマカランダを書いたのです、ということを示すリストが並べられています。
Bibliography
1. Rajayoga Ratnakaram
2. Hathayoga Pradipika
3. Yoga Saravalli
4. Yoga Balaprathipikai
5. Ravana Nadi (Nadi Pariksa of Ravana)
6. Bhairava Kalpam
7. Sri Tattvanidhi
8. Yoga Ratnakarandam
9. Mano Narayaneeyam
10. Rudrayameelam (Rudrayamalam)
11. Brahmayameelam
12. Atharvana Rahasyam
13. Patanjala Yogadarshanam
14. Kapilasutram
15. Yogayajnavalkyam
16. Gheranda Samhita
17. Narada Pancharatra Samhita
18. Satvata Samhita
19. Siva Samhita
20. Dhyana Bindu Upanishad
21. Chandilya Upanishad
22. Yoga Shika Upanishad
23. Yoga Kundalya Upanishad
24. Ahir Buddhniya Samhita
25. Nada Bindu Upanishad
26. Amrita Bindu Upanishad
27. Garbha Upanishad
ヨーガを研究しているとよく見かける文献もあれば、あまり日本では知られてないタイトルもいくつかあるようです。
私も過去にまとめたハタヨーガの三大教典、「ハタヨーガプラディピカー」「ゲーランダサンヒター」「シヴァサンヒター」なども含まれていますね。より古い時代のウパニシャッドなどもリストに含まれています。
またクリシュナマチャリア氏は、このリストにも含まれている「ヨーガヤージュニャヴァルキヤ」という書物を重要視していたと言われています。ヤージュニャヴァルキヤという人物は紀元前8世紀頃に生きていたとされ、その人物による著作だとするならばハタヨーガは現在想定されているよりもずっと昔からあったということになり、クリシュナマチャリア氏の主張する「ヨーガの歴史の長さ」の根拠とされることもあります。
しかしヨーガヤージュニャヴァルキヤの作者は、紀元前のヤージュニャヴァルキヤとは別人ではないかという説が有力で、このあたりは学術的にはまだ不明瞭な点が多いようです。ヨーガヤージュニャヴァルキヤも英語版が公開されているので、いつか詳しく読んでいきたいところです。たしかにそこにはハタヨーガの技法が含まれているようですが、成立年代は不明確です。
そして1番目に挙げられているRajayoga Ratnakaramという書物が気になりますが、この名前で調べてもなかなか見つかりません。Ratnakaraという言葉は「海」または「鉱脈」といった意味で、ラージャヨーガに関する大切なことが書かれていそうな気配はします。これを1番目に挙げている意図は、やはりハタヨーガはラージャヨーガに至る階梯であるということを示しているのかもしれません。
参考:ヨガの種類・流派一覧
このあと、長年ヨガを教えてきたクリシュナマチャリア氏による、「なぜヨガを行うのか」といった話が始まっていきます。
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