横向きに寝て行う(側臥位)ポーズの中でも人気のあるアナンターサナ。
アナンタは「無限」などの意味で、ヴィシュヌ神の別名や、蛇の王の名前などで用いられる語。
この記事の目次
アナンターサナの主な効果
- 姿勢改善・骨盤調整
- 脚のむくみの改善・シェイプアップ
- ハムストリングス・内転筋・ふくらはぎのストレッチ
- 中殿筋・大殿筋・梨状筋など股関節外転&外旋の強化
- 体幹(特に側面の筋肉、腹斜筋・腰方形筋など)の強化
- 骨盤周りの筋肉(腹横筋・骨盤底筋など)の強化
アナンターサナの禁忌・注意点
首や肩、ハムストリングスや内転筋などを痛めている人は避けましょう。
また、猫背やストレートネックがひどい場合などは、首の位置が前に出てしまいやすく負担がかかりやすいので、姿勢に気をつけながら行うか、猫背やストレートネックを改善するポーズを十分に練習してからアナンターサナを行いましょう。
アナンターサナのやり方
1)体の左側を下にして寝ます(側臥位)。左肘を曲げて床につき、左手の上に側頭部をのせます。かかと・膝・骨盤の側面・肩・肘が一直線になるように保ちます。骨盤・胸・顔は真横を向いています。右手は体側にのせるか、身体のバランスをとるのが難しい場合は、胸の前の床に軽く置いて支えます。右足は左足の上にぴったり重なっています。
2)右膝を曲げて、右足の親指を右手の親指・人差し指・中指で巻くようにつかみます。(右手を床に置いて支えていた場合はここでその支えがなくなるので、体幹の力だけで支えるようにします)
3)体幹や顔の向きを保つことを優先しながら、できる範囲で右膝を伸ばします。ここで5呼吸キープ。
4)体幹や顔の向きを崩さないように、右膝を曲げてポーズを解き、右足を左足の上に重ねて、1の状態にもどります。
5)右側を下にして寝て、逆側も同様に行います。
バリエーション
顔を上へ向ける形もあります。バランスを保つのがより難しくなり、首に負担がかかりやすいので、体幹をしっかり強く保って集中しながら行いましょう。
アナンターサナを深める方向性
- 体幹の姿勢を保ったまま、できるだけ膝を伸ばしていく。
- 長時間キープできるようにする。
アナンターサナのコツ・練習法
上から見て一直線に見えるように、土台をつくる
アナンターサナの土台になるのは身体の側面です。かかと・膝・骨盤・肩・肘などの各ポイントが一直線に並ぶように配置しましょう。
実際、これらがズレてジグザグしているほうが、土台が広くなるので、バランスは取りやすいので、ついついそうやってしまいがちです。
特に、以下のような悪い例が多いので、気をつけて観察してみましょう。
- ×かかとが前や後ろに行っている
- ×膝(下側の脚)が曲がっている
- ×骨盤が前や後ろにズレている
- ×肘が前に出すぎている
骨盤・胸・顔の向きを保つ(顔は上を向くバリエーションもあり)
骨盤・胸・顔が下や上へ向いてしまうことも多いです。
これらがしっかり真横を向いている状態を保つと、アナンターサナのように横向きになるポーズは、とてもキレイに見えます。
体幹の安定性が足りないと、これらが全部バラバラに動いてしまって、どこが基準になるのかわかりにくいかもしれません。どの部分から揃えるか、は人それぞれ向いているやり方があるかもしれませんが、まず下腹部の引き締めを常に行うことを意識するのが良いかと思います。
顔は上を向くバリエーションもありますが、その際は頭の位置がズレてしまわないように気をつけましょう。上をむこうとすると、猫背になって覗きこむような形になってしまうことがあります。背骨の位置を保って、真横(上方向)へねじる形で首の向きを変えるようにします。
首に負担が集中しないように、体全体で姿勢を支える意識を保つ
上の脚を伸ばすことに意識が向いてしまうと、土台のほうがおろそかになりがちです。
特に頭の位置や首の支え方が雑になってくると、首の側面などに負担が集中してしまいます。土台はしっかり並べて、背骨の位置を保ち、上の脚だけでなく体全体に意識を向けながらポーズを行うようにしましょう。
姿勢を崩さないことを優先して、できる範囲で膝を伸ばす
脚を伸ばすことが最大の目的にも見えますが、優先度としては土台のほうが重要です。
土台が崩れない範囲で、できるだけ膝を伸ばすようにします。
膝を伸ばすための柔軟性は、トリコーナーサナやスプタパーダングシュターサナなどで高めておきます。アナンターサナはくつろいでいるように見えますが、脚は重力に反して持ち上げていくので筋力を必要とします。柔軟性を高めることに集中するのであればトリコーナーサナやスプタパーダングシュターサナのほうが重力を味方にしやすいです。
アジャスト例(インストラクター向け)
- 背中側に座る。脚を上げる前に、かかと・膝・骨盤・肩・肘の位置がズレていれば修正する。
- 脚を上げる際は頭の位置・胸の向き・骨盤の向きなどが変わりやすいので、必要に応じて軽く支えてサポートする。
- 仙骨の後ろに自身の膝か太ももの側面を軽く当てて支え、片手で骨盤の側面(上側)を支えて安定させながら、上の脚の腿裏かふくらはぎを逆の手で支えて、脚を伸ばす動きをサポートする。
シークエンス例
- スプタパーダングシュターサナ(横へ開く形)を準備として行うと、より脚が伸ばしやすくなります。
- ヴァシシュターサナやカシュヤパーサナなど、よりパワーの必要な横向きポーズにつなぎます。
- ピラティスのサイドキックやクラムシェルなど、側臥位のエクササイズと組み合わせることもできます。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】アナンターサナ、アナンタアーサナ、横向きの足上げポーズ、横向きの脚上げポーズ、蛇の王のポーズ
【梵】Ananthasana
【英】Sleeping Vishnu Pose, Vishnu’s Couch Pose, Eternal One’s Pose, Side-Reclining Leg Lift