アシュタンガヨガの概要・効果
「アシュタンガヨガ」に興味を持つ人が増えているようですが、どんなヨガ?初心者がやっていいものなの?と気になっている人も多いようなので、初心者がアシュタンガヨガを始める場合のコツを簡単に書いてみます。
ヨガに対するイメージは「体をやわらかくするもの」「リラックスするもの」など様々ですが、アシュタンガヨガはヨガの中でもたくさん体を動かす流派で、柔軟性だけでなく筋力・体力も高める効果があります。
周りに惑わされず自分自身に集中して練習することで集中力が高まり、「動く瞑想」などとも呼ばれます。
アシュタンガヨガの具体的な内容
「◯◯ヨガ」と名前の付くヨガはたくさんありますが、そのほとんどは内容がキッチリと決まっているわけではありません。
それらに対して、アシュタンガヨガはポーズの内容・順番から呼吸の数までしっかり決まっています。実際のポーズ内容は下記の記事に書いてありますので、この記事を読んだあとに、まずはざっと見てみてください。
内容が決まっているなら、どのスタジオで教わっても同じなのかというと、そういうわけでもなく、先生によって若干進めるペースが異なったり、ポーズへの助言やサポートが異なったり、それぞれ得意とする・重視するポーズがあったりといった個性が出てきますので、色々な先生のアシュタンガヨガのレッスンを受けてみると良いと思います。
アシュタンガヨガのレベル分け
アシュタンガヨガは6つのレベルに分かれていますが、世界中の多くの人は「レベル1の半分」である「ハーフプライマリー」を練習しています。ハーフプライマリーだけでも十分に難しく、そして多くの人を惹き付ける魅力があります。レベル6まで習得した人は世界でも数人しかいないと言われています。
アシュタンガヨガは1レッスン60〜90分程度の長さで、下記のような流れです。
- ウォーミングアップ(太陽礼拝A・B)
- 各レベルごとに決められたポーズ
- エンディング〜最後に「屍のポーズ」でお休み
順番を飛ばして先へ進まないように、必ず順番通りにポーズを身につけていくようにします。人それぞれ、体の中にバランスの悪い部分があるとできないポーズがでてくるので、そこで数年立ち止まってしまう人も多いです。
アシュタンガヨガのポーズを動画で見てみる
現代のアシュタンガヨガの流れをまとめたパタビ・ジョイスさんが教えている動画がYouTubeに上がっているので、それを見てみると良いと思います。
ただ、ここに出てくる人たちはかなり洗練された動きをしているので、いきなり完璧にマネしようとは思わないでください。
みんなが唱えている呪文のような「マントラ」も、一旦飛ばしてしまって大丈夫です。
初心者はまずこの最初に行われている「太陽礼拝A(スーリヤナマスカーラA)」を練習し始めます。
ヨガ初心者向け・アシュタンガヨガの始め方
流れは決まっているので、動画や本を見ながらひとまず始めてみるのも良いと思いますが、体に痛みや違和感が出てきたら、一度しっかり先生に教わってからやってみるようにしましょう。
ヨガ初心者にとっては、ハーフプライマリーを全部やることだけでも難しいので、さらに分割して練習したり、簡単バージョンのポーズに入れ替えたりして少しずつできるポーズを増やしていきます。
呼吸の練習
まずは胸式呼吸の練習をします。アシュタンガヨガで動いていくときは胸式呼吸(正確にはおへそから上を使った呼吸)を行い、下腹部を引き締めたままで呼吸をし、アーサナを行っていきます。これによって、腰が保護されて、体幹の筋肉を鍛えることができます。
慣れてきたら、喉の奥を少し締めて、ゆっくりさざ波のような音を鳴らしながら呼吸をする「ウジャイ呼吸」を行っていきますが、分かりにくい場合はまず胸式呼吸で練習します。
などと言っていてもなかなか最初のころは、動くことに意識を向けてしまって、呼吸はたいていおろそかになります。
まずは「呼吸が動きを導く」という感覚を身につけるようにしましょう。呼吸が始まってから動きが始まり、動きが終わるところで呼吸が終わる、というようにコントロールします。
呼吸と動きの組み合わせは、早いうちに正しく教わっておきましょう。呼吸が正しいほうが、動きやすいということが分かるはずです。
初心者向け太陽礼拝Aの練習
アシュタンガヨガで最初にでてくるウォーミングアップの流れ、「太陽礼拝A」を、まずしっかり練習します。
太陽礼拝Aは10のポーズがあり、慣れてきたらこれらを呼吸に合わせて流れるようにつないでいきますが、まずは1つ1つのポーズをしっかり練習する必要もあるでしょう。
アシュタンガヨガではウォーミングアップとして行われますが、初心者のレッスンでは十分メインディッシュになり得る運動量であり、これだけを集中して練習する価値のある、効果的で伝統的な流れです。
太陽礼拝Aの中で、難しい動きがいくつかあるので、それらは下記のように軽減ポーズに置き換えて練習していきます。
- ジャンプする動作は、片足ずつ歩いて移動する形で構いません。
- チャトランガダンダーサナが難しい場合は、8点のポーズに置き換えます。
- アップドッグが難しい場合は、コブラに置き換えます。
- ダウンドッグが難しい or 体力がなくなってきたら、チャイルドポーズに置き換えます。
初心者向けエンディング
伝統的には、初心者は太陽礼拝Aを練習した後、蓮華座(結跏趺坐・パドマーサナ)を練習し、仰向け(屍のポーズ・シャヴァーサナ)で休みます。
現実的には、少し坐位や仰向けのポーズを入れてリラックスしてからシャヴァーサナに向かってもいいでしょう。前屈・後屈・ねじり・股関節外回し&内回しの流れを入れてから、半蓮華座を練習すると良いと思います。
次のステップ
太陽礼拝Aを引き続き洗練させつつ、椅子のポーズと戦士のポーズ1を練習して、太陽礼拝Bを行えるようにします。
太陽礼拝Bは18のポーズがあり、太陽礼拝Aよりも運動量が多くなっています。その分、シェイプアップや体幹のトレーニング・股関節の柔軟性UPにも有効です。
太陽礼拝Aを5回・Bを5回、余裕を持ってできるようになったら、次のポーズ(パダングシュターサナ)から1つずつ増やしていき、練習の最後はエンディングを行って終わるようにします。
焦らず1つずつ、ポーズを洗練させていくようにしましょう。
できないポーズに出会ったら、それは心身の癖に気づき根本的に変わっていくチャンスだと思って、しっかり時間をかけてポーズと向き合ってみてください。