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ヨーガマカランダ概説【8】2章冒頭 ヨーガの8支則の探究

ヨーガマカランダ概説【8】2章冒頭 ヨーガの8支則の探究

8支則に基づく、クリシュナマチャリア氏のヨーガ

「現代ヨガの父」ことクリシュナマチャリア氏の主著である「ヨガマカランダ(ヨーガ・マカランダ)Yoga Makaranda」を読み進めていきます。

参考:ヨガマカランダ(ヨーガ・マカランダ)の概要

今回から2章、ヨーガの8支則の探究に入ります。

引用部分は、特に記載のない限り以下の英語版(2006年)Yoga Makarandaを出典とします。

Yoga Makaranda(無料PDF 3.9MB)

この記事の目次

ヨーガの8支則(ヨーガーンガ)

第2章の英語版タイトルは「Investigations of the Yoganga ヨーガーンガの探究」となっていて、この本の中では「ヨーガーンガ」という言葉がよく用いられています。

アンガは「支え」「分支」などの意味で、ヨーガーンガは「ヨーガの支則」といった意味になりますが、日本ではあまり聞き慣れない言葉です。日本では一般的にヨーガの8支則は「Ashtanga アシュターンガ」と呼ばれることが多いです。アシュトゥは「8」の意味です。

現代ヨガのアシュタンガヨガは、呼吸とともに流れるようにポーズをつないでいきながら、この8支則を実践するヨガということになります。

参考:アシュタンガヨガとは、どんなヨガ?

8支則の内容

第2章冒頭の一節の最後に、8支則が列挙されています。

Yoga consists of eight angas which are yama, niyama, asana, pranayama, pratyahara, dharana, dhyana and samadhi.

  1. ヤマ
  2. ニヤマ
  3. アーサナ
  4. プラーナーヤーマ
  5. プラティヤーハーラ
  6. ダーラナー
  7. ディヤーナ
  8. サマーディ

ヨーガを学んでいる人々にとっては、おなじみの8支則。クリシュナマチャリア氏のヨーガも、この8支則に基づいて進めていくことになります。

そして2.1節のタイトルは、第1・2支則の「Yama and Niyama(ヤマ・ニヤマ)」になっているので、このあと8支則それぞれについて説明が始まるかな?と思いきや、2.2節のタイトルは急に「Announcement(緒言)」となっていて、それ以降の支則については節ごとにまとめて説明されているわけではないようです。

ヤマ・ニヤマの項目数

ヤマ・ニヤマは、ヨーガスートラではそれぞれ5項目ずつ示されている禁戒・勧戒で、現代ヨガにおいてはその5項目のほうがメジャーではありますが、ヨーガ・マカランダではそれより少し後の時代のハタヨーガプラディーピカーで示されている、各10項目のヤマ・ニヤマが用いられています。

ひとつひとつの戒律は、時が経つにつれて、世界や人の変化に応じて増えたり減ったりするものなのでしょう。ただ、基本方針である8支則は、長年変わらずに続いているようです。

長生きするには、プラーナ・ヴァーユ・シュッディが必要

A man can live in his body for as long as he wishes, not just one hundred years.

「人間は、100年どころか望むままに長く生きることができる」という文から始まっていますが、クリシュナマチャリア氏はちょうど100歳で亡くなっています。

But for that, prana vayu suddhi is essential. Prana vayu suddhi means to keep prana vayu under one’s control. If prana vayu is to be kept under our control, pranayama is the most important tool.

長生きするためには、プラーナ・ヴァーユ・シュッディが必須であるといいます。プラーナ・ヴァーユは生命エネルギー(気)の流れで、シュッディは「浄化」などの意味です。プラーナのコントロールには、プラーナーヤーマ(調気・呼吸法)が最も重要な手段となる、と説明されています。

用語:プラーナ(プラナ) prāṇa

用語:ヴァーユ(ワーユ) vāyu

用語:シュッディ(シュッダ) shuddhi/shuddha

正しいプラーナーヤーマが、心と体を正しい状態にする

プラーナーヤーマ(調気・呼吸法)は、8支則の中ではアーサナ(姿勢・ヨガポーズ)の後の、第4支則に入っています。

We mistrust our history and the great people who came before us and undertake physical exercises and movements that are dangerous to our lives. As a result, we age within a few years of birth, struggle and stagger to a corner and fall down.

ただし、今日(当時)のプラーナーヤーマは、伝統的なやり方が疑われて変更された末に、命を危険にさらすようなエクササイズ的なものになってしまい、正しい効果が得られず、人々は若くして苦しんでいるといいます。

It is important to first learn that through the practice of asana and pranayama we keep our body, mind, prana, indriyas, and atma in a proper state — this is yoga.

まずアーサナとプラーナヤーマの実践を通して、身体、心、プラーナ、インドリヤ、アートマンを適切な状態に保つ方法を学ぶことが重要であり、これがすなわちヨーガである、と説明されています。

用語:インドリヤ indriya

用語:アートマン(アートマー) ātman(ātmā)

そして、ヨーガの種類についての説明が、この後に続きます。

ヨーガの種類

There are many types of this yoga — 1. hatha yoga, 2. mantra yoga, 3. laya yoga, 4. raja yoga.

クリシュナマチャリア氏は、ヨーガの種類には以下の4つがあるといいます。

  1. ハタ・ヨーガ
  2. マントラ・ヨーガ
  3. ラヤ・ヨーガ
  4. ラージャ・ヨーガ

これはシヴァサンヒターに出てきた、4種の分類法と同じです。

参考:シヴァサンヒター概説【14】5.17-5.31 四種のヨーガ・四種の修行者

現代におけるその他のヨーガ分類法としては、以下の4つを用いることもよくあります。

  1. ジュニャーナ・ヨーガ
  2. カルマ・ヨーガ
  3. バクティ・ヨーガ
  4. ラージャ・ヨーガ

参考:ヨガの大分類(ジュニャーナ・バクティ・カルマ・ラージャ)〜体を動かすヨガ・それ以外のヨガ〜

ハタヨーガ

Hatha yoga focusses mainly on descriptions of the methods for doing asanas.

ハタヨーガは、主にアーサナのやり方の説明に重点を置いている、とシンプルに説明されています。

ヨーガスートラの時代は、ヨーガは瞑想が主体で、「アーサナ」は主に「坐法」「姿勢」を意味する言葉でしたが、ここではおそらく「ハタヨーガ的なアーサナ」を意味し、それは多くの身体的な実践、いわゆるヨガポーズなどを含んでいると思われます。

参考:ヨーガスートラ解説 2.46-2.48 〜アーサナ(坐法・姿勢)〜

参考:ハタヨーガプラディーピカーの概要・アーサナ一覧

ラージャヨーガ

Raja yoga teaches the means to improve the skills and talents of the mind through the processes of dharana and dhyana. It also explains how to bring the eleven indriyas under control and stop their activities in the third eye (the eye of wisdom), the ajña cakra, or the thousand-petalled lotus position (that is turn their attention inward and not outward) and describes how to see the jivatma, the paramatma and all the states of the universe.

ラージャヨーガとは、一般的にヨーガスートラによって示されたヨーガのやり方のことを指しますが、ここではダーラナー(集中)とディヤーナ(瞑想)のプロセスを通して、心の能力と才能を向上させる方法を教えるものである、と説明されています。

また、11のインドリヤを制御し、第三の目(智慧の目)またはアージュニャー・チャクラまたは千弁の蓮華の場所(意識を外側ではなく内側に向けること)でその活動を止める方法を示し、ジーヴァートマー、パラマートマー、そして宇宙のあらゆる状態を見る方法を示しているといいます。

このあたりは、ヨーガスートラでシッディ(霊能)について語られている部分と関係があるかと思います。ヨーガスートラで示される道に従ってラージャヨーガの修行を続けていくと、宇宙のことが分かったり、自分の体の構造が全て分かったり、色々な超能力が目覚めてくると言われています。

参考:ヨーガスートラ解説 3.26-3.29 〜見えないものや遠くのことを知る?〜

参考:ヨーガスートラ解説 3.30-3.35 〜ちょっとだけ、体の話〜

ヨーガスートラは簡潔な詩によって書かれていて、具体的に技法として語られていることは少ないように見えますが、神智学や魔術など他分野の人々からも「優秀な実践書である」という評価を受けていて、その内容の読み取り方によって多くの有益な気づきを得ることができます。

But even here it is mentioned that to clean the nadis it is necessary to follow the pranayama kramas.

ナディの浄化のために正しいプラーナーヤーマの手順に従うべしという教えは、ラージャヨーガの道の中でも説かれているといいます。

ヨーガスートラでは、プラーナーヤーマの具体的な実践法は詳しく書かれていませんが、姿勢と呼吸を整えていくことで、最終的に息は自然に止まった状態「ケーヴァラ・クンバカ」に至り、そのとき心も静止した状態になると説明されていました。

クンバカは止息という意味で、プラーナーヤーマとクンバカはほぼ同義の言葉として使われることもあります。

参考:ヨーガスートラ解説 2.49-2.53 〜プラーナーヤーマ(調気・呼吸法)〜

マントラヨーガとラヤヨーガ

ちなみに残りの2つ、マントラヨーガとラヤヨーガについては、ここでは説明されていません。

マントラヨーガについては、シヴァサンヒターなどでも詳しく語られていました。

参考:シヴァサンヒター概説【20】5.239-5.268 マントラ行法、ハタヨーガの実践

ラヤヨーガについてはシヴァサンヒターでも具体的に説明されていませんでした。「ラヤ」という言葉自体は、ハタヨーガの教典にもよく出てくるのですが、なかなか内容を教えてくれる教典は少ないようです。

「laya ラヤ」の言葉としての意味は、「止まる」「心が不活性な状態」「家」「休む」「死」など多くの訳が見つかりますが、全体的に「止める」というニュアンスが感じられ、ラージャヨーガの「心の働きを止滅する」という状態に共通するものがありそうです。

アーサナとプラーナーヤーマの実践、インドリヤの制御

インドリヤの制御

Asana and pranayama are initially extremely important. But if one wants to master asana and pranayama, it is essential to bring the indriyas under one’s control.

アーサナとプラーナヤーマは、最初は非常に重要であるが、それらを習得するには、インドリヤを自分の制御下に置くことが不可欠である、という説明でこの節が締められています。

インドリヤについては1.5節で出てきましたが、以下の10個とマナス(心)を合わせた11個の感覚・行動器官のことです。

  • ジュニャーネンドリヤ(感覚器官)
    • 皮膚
  • カルメンドリヤ(行動器官)
    • 発声器官(口)
    • 排泄器官
    • 生殖器官

私たちは日々これらを使って世界を感じ取り、行動しているわけですが、欲望に身を任せているとこれらを乱用してしまい、心と体のバランスを崩していきます。

しかし、インドリヤを制御するのは第5支則のプラティヤーハーラ(感覚制御)で行うのではなかったか?第3・4支則をマスターするためにインドリヤの制御が必要とは?と気になってしまいます。

プラティヤーハーラへ向かう各支則の考察

プラティヤーハーラについては具体的なやり方を示している教典が少ないという話を前にしましたが、ヨーガ・マカランダではその具体的手段として第1〜4支則を実践するべし、という文脈で書かれているとも考えられます。

このあとの2.1節では、第1・2支則のヤマ・ニヤマが具体的に10項目ずつ挙げられていきますが、これらを実践していくと整った生活になっていき、つまりインドリヤを制御することにつながります。

ヤマ・ニヤマを入口として日常生活を整え、アーサナ・プラーナーヤーマを実践して肉体と気の流れを整えることで、心を不動にしていく、という流れかと思います。

そしてヤマ・ニヤマ・アーサナ・プラーナーヤーマの第1〜4支則が完璧になったとき、同時に第5支則のプラティヤーハーラ(外界への執着が無くなり、刺激に振り回されない状態)が成る、というように捉えても良いかもしれません。

ヨーガスートラを注意深く読むと、これと同じように「同時に成る」と捉えられる文章がいくつか見つかります。

努力なしに自然な状態で姿勢をとれるようになり、永遠なるものに瞑想することで、アーサナに熟達することができる。[2.47]

アーサナに熟達した者は、二元性によって思考を妨げられることがなくなる。[2.48]

安定した姿勢が得られたとき、吸気と呼気の動きが制御される。これがプラーナーヤーマ(調気・呼吸法)である。[2.49]

ヨーガスートラ日本語訳一覧

あるいは、クリシュナマチャリア氏はあまり深く考えずに感覚で書いている可能性もありますが…。そういうところも含めて、読み進めて行ってみましょう。

次記事:(執筆中)

前記事:ヨーガマカランダ概説【7】1.5後半 心と体とアートマー

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