レッスンの後半でシャヴァーサナへ向かう前などに行われることの多い仰向けポーズ、ハッピーベイビー(アーナンダバラーサナ)。
陰ヨガやリラックスポーズとしてもよく行われますが、しっかり腹筋を使って股関節の柔軟性を高めるやり方もあります(その場合はあまりハッピーでベイビーな感じではなくなるかもしれませんが)。
この記事の目次
ハッピーベイビー(アーナンダバラーサナ)の主な効果
ハッピーベイビー(アーナンダバラーサナ)の禁忌・注意点
ハムストリングスやお尻の筋肉を痛めている場合は、痛みのない範囲で無理なく行いましょう。
腰周りを痛めていたりヘルニアなどがある場合は、腰椎を丸めない方法で行います。
妊娠中の方は、膝が脇の下に来るようにしっかり脚を開いて、太ももがお腹を圧迫しないように行いましょう。
ハッピーベイビー(アーナンダバラーサナ)のやり方
1)仰向けになり、両膝を曲げます。
2)脚を持ち上げて腰幅に開き、膝は90°くらい曲がった状態にし、足裏が上を向くようにして、足裏を外側から手で持ちます。もし足裏に手が届かない場合は、足首やスネを持つか、もも裏を抱えるなどします。
3)手で足を引き寄せるようにしながら、頭は上がらないように、膝が脇の下へ近づいていくようにしていきます。
4−1)リラックスポーズとして行うやり方:お尻は床についたまま、リラックスして5呼吸ほどキープします。
4−2)少し腹筋を使って股関節の柔軟性を高めるやり方:脚を頭の後ろにまわすポーズの練習になるやり方です。腰を丸めるようにしてお尻を少し持ち上げ、さらに膝を床へ近づけます。ここで5呼吸ほどキープします。
5)脚を伸ばして床におろし、シャヴァーサナに向かいます。
陰ヨガやリラックスポーズとして行うバリエーション
お尻は持ちあげず、手は足裏にひっかかってぶら下がっているような感覚にして、腕の重さも脚にあずけ、重力をうまく使って、膝を脇の下へ向かって可能な範囲で下げていきます。
股関節の奥の方へ、深い呼吸を入れるようにして2分程度キープします。
足のつかみ方のバリエーション
- 足裏に手が届かない場合は、足首やスネを持つか、もも裏を抱えるなどします。
- 少数派のようですが、足の内側からつかむやり方もあるようです。
- 足の親指をつかむやり方で行うこともあるようです。
足裏を内側からつかむ場合は、肩を内旋する動きが加わり、場合によっては前屈が深まる方向へつながります。また、つかむ側によって刺激される経絡が異なる場合があります(内側:肝経など、外側:胆経など)
足の親指をつかむ場合、パーダングシュターサナなどの前屈ポーズに近い形になり、親指の反射区としては脳や首、経絡としては脾経・肝経を刺激することになります。
内側からつかむ場合と親指をつかむ場合は、膝が外へ開いてしまう(外旋してしまう)可能性が高まるのと、少し腕が窮屈になって肩がすくんでしまったりするデメリットはあるかと思います。
ハッピーベイビー(アーナンダバラーサナ)を深める方向性
- 手で足裏をしっかりつかめるようにする
- 膝を脇の下へ近づけていく
- (腰椎を丸める場合)さらに膝を床に近づけていく
ハッピーベイビー(アーナンダバラーサナ)のコツ・練習法
顔は天井へまっすぐ向く、頭が上がったりアゴが上がったりしないように
アゴが上がってしまうことが多いポーズなので、首の後ろをゆるめるようにしてアゴを自然に引けるようにしましょう。
脚を上げる際などにも、首に力が入らないように気をつけながら行います。
骨盤が左右にずれないように
左右の股関節の柔軟性や膝や足首の癖などがあると、骨盤がずれてしまうことがあります。
まず骨盤を安定させて、それを維持しながら、左右の足を同じように下ろしていけるようにしましょう。
骨盤を基準にできれば、脚の癖を把握して直していくことができるようになりますが、骨盤がずれてしまうとそれが難しくなります。
スネを垂直に保ち、足は天井に立っているような形に
柔軟性や手足の長さなどによって多少異なりますが、膝の角度は90°くらいになり、スネは垂直になります。
足は、足首を90°曲げて足裏が天井へ向くようにし、天井にしっかり立っているような足を保ちます。
足が天井へ向き、スネが垂直であれば、「真下へ膝をおろしていく」という目的の動きをやりやすくなります。
膝を適度に開き、脇の下へ近づける
膝は胸にくっつくのではなく、脇の下へ降りていきます。膝同士の幅は、胴体と同じくらいに開いていることになります。
妊娠中の方は、特に脚がせまくなりすぎてお腹を圧迫してしまわないように気をつけましょう。
お尻を上げる(腰を丸める)かどうか
膝を脇の下におろしていく動きは、スプタクルマーサナのように脚を頭のうしろにもってくるポーズの練習にもなります。
より筋肉を使って強くこの動きを行うとしたら、腹筋を使って腰椎を丸めて、脇の下の床まで膝を近づけていくこともできます。
リラックスポーズとして行うか、このように筋力を使って股関節の柔軟性を深めるかは、目的に合わせて明確に区別するようにしましょう。
陰ヨガやリラックスポーズとして行うなら、力まず重力をうまく使う
脚が上にあり逆転しているポーズになるので、重力の使い方がわかりにくいこともあるかもしれません。しかし腕や脚の重さをうまく使って深めていくこともできます。
膝をできるだけ脇の下へ近づけていくという目的の動きに合わせて、脚や腕の重さをうまく活用し、また目的の動きを妨げている筋肉(主にハムストリングスや大殿筋)の力をぬくように深い呼吸を行いましょう。
アジャスト例(インストラクター向け)
- 頭が上がっていたりアゴが上がったりしている場合は、指示をするか首の後ろをさするなどして修正を促す。
- 骨盤が左右に傾いている場合は、お尻側から骨盤の左右を両手で支えて修正する。
- 膝が脇の下に近づくように、足裏を軽く押してサポートする。腰椎が丸くなるのを防ぎたい場合は、立った状態で自身の足を使って骨盤を軽くはさんで支えながら、足を上から軽く押す。
- 肩がすくんだり首に力みがあったりする場合は、軽くさすって脱力を導く。
シークエンス例
- アイオブザニードルと合わせて行うと、股関節の可動域を高めるのに効果的です。さらにスプタパリヴリッタガルダーサナ(ガルーダツイスト)を合わせて行うと、背骨と股関節を全体的に動かせます。
- セツバンダサルヴァンガーサナ(橋のポーズ)やサルヴァンガーサナ・ハラーサナ・マツヤーサナなどの前後によく行われます。
- 脚を頭の後ろにもってきてクロスし、ヨガニドラーサナにつなぎます。
- アーカルナダヌラーサナ、エーカハスタブジャーサナ、スーリヤヤントラーサナなど膝を肩の近くに持ってくるポーズの準備にもなります。
- パヴァナムクターサナ(仰向けのチャイルドポーズ)へつなぎ、リラックスします。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】ハッピーベイビー、ハッピーベイビーのポーズ、ハッピーベビー、ハッピーベビーのポーズ、アーナンダバラーサナ、アーナンダ・バラーサナ
【梵】Ananda Balasana
【英】Happy Baby Pose