仰向けポーズの間にはさんで行われることの多いポーズ、パヴァナムクターサナ(ガス抜きのポーズ・仰向けのチャイルドポーズ・アパーナーサナ)。パヴァナは「風」、ムクタは「自由」「解放」「解脱」などの意味。
リラックスポーズとして行われることも多いですが、背骨を丸めて股関節と膝関節をしっかり動かすという目的で行う場合は、しっかり膝を抱えて少し力を使うポーズになります。目的に合わせて、形とやり方を選ぶようにしましょう。
「パワンムクターサナ」と呼ぶ場合もあり、同じ名前で別のパワンムクターサナ(全身運動を行う一連の動的アーサナ)は以下の記事で解説しています。
この記事の目次
パヴァナムクターサナ(ガス抜きのポーズ)の主な効果
- 股関節屈曲・膝関節屈曲の柔軟性UP(大腿四頭筋・大殿筋などのストレッチ)
- 消化器系・生殖器系・泌尿器系の調整、代謝UP
- 下半身のめぐりを良くして、むくみ・冷え性を改善
- 腰痛を改善
- 骨盤矯正
- 腹直筋の強化(腰椎を丸めて行う場合)
パヴァナムクターサナ(ガス抜きのポーズ)の禁忌・注意点
お尻まわりの筋肉を痛めている場合は、痛みのない範囲で無理なく行いましょう。
首や腰周りを痛めていたりヘルニアなどがある場合は、背骨を丸めない方法で行います。
妊娠中の方は避けて、お腹を圧迫しないハッピーベイビーや膝を開いたチャイルドポーズなどを代わりに行いましょう。
パヴァナムクターサナ(ガス抜きのポーズ)のやり方
1)仰向けになり、両膝を曲げます。両足と両膝同士はくっつけてそろえておきます。
2)膝をしっかり曲げて脚を持ち上げ、太ももがお腹に近づくようにし、膝の下あたりを腕で抱えるようにします。
3−1)背骨を丸めて行う場合:腕で脚を引き寄せながら、頭を持ち上げて顔を膝に近づけ、可能であればお尻も少し巻き上げるようにして背骨全体を丸めます。ここで5呼吸ほどキープします。
3−2)リラックスポーズとして行う場合:頭とお尻は床についたまま、腕で膝を軽く抱えるようにして、腕の重さも使いながら可能な範囲で太ももをお腹に引き寄せます。ここで5呼吸ほどキープします。
4)脚を伸ばして床におろし、シャヴァーサナで休みます。
バリエーション:片脚のガス抜きのポーズ
片脚だけ曲げて、もう片方の脚は床で伸ばしたままにしておく「片脚のガス抜きのポーズ」もよく行われます。
片脚だけのほうが抱え込みやすく、よりお腹に引き寄せやすいのでガス抜きの効果が高まる場合があります。ただし骨盤のバランスが崩れやすいので、片方の腰が上がってしまわないようにまっすぐ脚を引き寄せるようにすると良いかと思います。
こちらも頭をあげて背骨を丸めながら行う形と、頭は床においたままリラックスポーズとして行う形があります。
これらのポーズは、同名の全身運動のパワンムクターサナ2の中にも、「スプタ パワンムクターサナ」という名前で含まれています。
パヴァナムクターサナを深める方向性
- 膝をしっかり曲げて、太もも裏とふくらはぎをくっつける。
- 股関節をしっかり曲げて、太ももをお腹にくっつける。
- 背骨を丸めて行う場合は、背骨全体がしっかり丸くなるようにしていく。
パヴァナムクターサナ(ガス抜きのポーズ)のコツ・練習法
骨盤が左右に傾かないように
ふだん椅子に座っているときの癖などによって、左右のお尻のかたさが異なっていることが多いです。そのまま膝を引き寄せると、お尻が左右に傾いてしまうこともありますので、なるべく骨盤は平行に保ちます。
骨盤の位置を安定させて、左右の膝を同じように引き寄せられるようにしていくと、股関節の柔軟性UPと骨盤調整につながります。
コンパクトに折りたたむ
ふくらはぎと太もも裏をくっつけるようにしっかり膝を曲げて、太もも前とお腹をくっつけるようにしっかり股関節を曲げます。
その時、両膝と両足同士はくっつけてそろえておくようにします。足首は伸ばしてそろえながらしっかり膝を曲げることで、X脚・O脚など脚全体の癖の改善にもつながります。
意外と膝がしっかり曲がっていなかったり、癖が出てしまう人も多いです。スプタヴィラーサナなどと合わせて、膝の柔軟性(主に大腿四頭筋の柔軟性)を高めていきましょう。
背骨を丸める場合のコツ
リラックスポーズとして行う場合は、頭もお尻も床に置いたまま可能な範囲で膝を引き寄せる形にします。
さらにお腹に太ももをぎゅっとくっつけてガス抜きの効果を高めたり背骨を丸める柔軟性を高めたい場合は、頭をあげて顔を膝に近づけるようにし、可能であればお尻もあげて腰を丸めるようにしていきます。
背骨を丸める場合は、意外と下腹部と太ももの間に隙間ができてしまうこともあります。そこはしっかりくっつけた状態を保ちながら、背骨をできるだけ丸めていくようにします。
キャットアンドカウと同じように、窮屈にならないように背骨の間を広げながら、全体を大きく丸めていきます。
呼吸をどうするか
リラックスポーズとして行う場合や、お腹まわりのめぐりをよくする目的で行う場合は、腹式呼吸で骨盤まで呼吸を入れて行うと効果が高まるでしょう。その場合のポーズのやり方としては、あまり太ももとお腹をぎゅっとくっつけて圧迫すると腹式呼吸ができないので、適度に圧をかけている状態になるかと思います。
背骨の柔軟性を高めるという目的で行う場合は、ピラティスのようにお腹は薄く長い状態にしておいたほうが背骨を動かしやすいので、下腹部は呼吸に使わず胸式+αの呼吸を行うほうが都合が良いかもしれません。
アジャスト例(インストラクター向け)
- 骨盤が左右に傾いている場合は、お尻側から骨盤の左右を両手で支えて修正する。
- 太もも裏とふくらはぎの間、お腹と太ももの間が空いてしまっていてうまくコンパクトになりきれていない場合は、上からスネを軽く押すなどしてサポートする。
- アゴが上がってしまっている場合は、指示をするか首の後ろをさするなどして修正を促す。
- 肩がすくんだり首に力みがあったりする場合は、軽くさすって脱力を導く。
シークエンス例
- アイオブザニードルやハッピーベイビーなどと合わせて、股関節の柔軟性を高めるために行います。
- スプタヴィラーサナとあわせて行うと、膝関節を曲げる柔軟性が高まります。
- スプタパーダングシュターサナとあわせて行うと、膝関節を伸ばし前屈の柔軟性も高まります。
- セツバンダサルヴァンガーサナ(橋のポーズ)やサルヴァンガーサナ・ハラーサナ・マツヤーサナなどの間によく行われます。
- ブリッジ(ウルドゥヴァダヌラーサナ)などの強い後屈ポーズの後に、カウンターポーズとして行います。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】パヴァナムクターサナ、パヴァナムクタアーサナ、パワンムクターサナ、パワンムクタアーサナ、アパーナーサナ、アパーナアーサナ、ガス抜きのポーズ、仰向けのチャイルドポーズ
【梵】Pavanamuktasana, Apanasana
【英】Wind Relieving Pose, Wind Releasing Pose, Knees to Chest Pose