アシュタンガヨガとシヴァナンダヨガは、どちらもインド発祥で、世界中で行われている人気のあるヨガです。
今回は歴史などはあまり考慮せず、それぞれのヨガの特徴や効果を比較して、どんな人に向いているかなどをまとめます。
この記事の目次
アシュタンガヨガ・シヴァナンダヨガの分類
ヨガの分類:ハタヨガとヴィンヤサヨガ
体を動かすことをメインの目的とした現代ヨガには、大きく分けると「ハタヨガ系」と「ヴィンヤサヨガ系」のクラスがあります。
どちらのヨガが難しいというわけではなく、それぞれに特徴があり、ポーズの選び方によってレベルや効果は大きく変わります。
シヴァナンダヨガはハタヨガ系のヨガ、アシュタンガヨガはヴィンヤサヨガ系のヨガという分類になります。
ちなみに古典ヨーガの教典には、体を動かすポーズなどはほとんど含まれておらず、瞑想など心を扱うことを中心としたものでした。そのあたりは以下の記事を参考にしてみてください。
参考:ヨガの大分類(ジュニャーナ・バクティ・カルマ・ラージャ)〜体を動かすヨガ・それ以外のヨガ〜
ハタヨガの特徴
ハタヨガは、ポーズを一つずつ時間をかけて行い、ポーズの間に休憩を挟んだりすることもあります。
ひとつひとつのポーズをしっかり練習するのに適していて、難しいポーズにチャレンジする前に準備ポーズを行ったりする構成になっていることもあります。
内容としては、「ハタヨガ」という世界共通のクラスがあるわけではなく、教えている先生によっていろいろな内容のハタヨガのクラスがあります。
また、体を動かすヨガはみんなハタヨガであるとする分類もあり、ハタヨガという言葉の定義は曖昧なので、どんな意味で使われているかは注意深く読み取るようにしましょう。
「ハタ」は「太陽と月」あるいは「力強い」などの意味の言葉です。
そもそも古典的なハタヨーガは、現代ヨガのハタヨガとはかなり異なったものでした。そのあたりは以下の記事などを参考にしてください。
参考:ヨガの種類・流派一覧
ヴィンヤサヨガの特徴
ヴィンヤサヨガは、ポーズとポーズをつないで、連続技のようにして行っていくヨガです。クラス全体の動きがつながっていて、呼吸に合わせて動きながら流れるように行っていきます。
ひとつのポーズのキープ時間は比較的短く、たとえば「5呼吸キープする」などして、次のポーズへ移行します。その移行の動きも、休憩したり余計な動きをなるべく挟まずに、流れるように行います。
こちらも「ヴィンヤサヨガ」という決まった内容のヨガがあるわけではなく、先生によっていろいろなヴィンヤサヨガがあり、名前も「フローヨガ」と呼んだりします。
「ヴィンヤサ」は、「呼吸に合わせて動く」といった意味です。
アシュタンガヨガ・シヴァナンダヨガの比較
アシュタンガヨガもシヴァナンダヨガも、世界中でほぼ同じ内容で行われています。
ヨガをやっている外国人に出会った時には、共通の話題になるかもしれません。
ただ、先生によって重視するポイントが様々であったり、教え方は結構異なるようなので、効率的に学んでいくには、自分に合った先生を見つけることも大切でしょう。
アシュタンガヨガの特徴

アシュタンガヨガはヴィンヤサヨガの一種で、ポーズ内容やポーズ間の動きと呼吸も、全て決められています。
基本的にほとんどのポーズは5呼吸キープして、次のポーズへ向かいます。前のポーズに執着せず、次々とポーズをつないでいきます。これを繰り返し練習していくことで、ひとつひとつのポーズを深めていきます。
流れが決まっているとはいえ、できないポーズが出てきた時は、人それぞれ軽減する方法を先生から教わりながら行っているかと思います。
アシュタンガヨガのレベルは6段階ありますが、世界中の多くの人は最初のプライマリーシリーズを練習しています。また、一般的な60分くらいのアシュタンガヨガクラスでは、プライマリーシリーズから少しポーズを減らした「ハーフプライマリー」を行っているかと思います。
アシュタンガヨガのハーフプライマリーの内容は、以下のようになっています。
- 太陽礼拝A
- 太陽礼拝B
- パーダングシュターサナ
- パーダハスターサナ
- トリコーナーサナ
- パリヴリッタトリコーナーサナ
- パールシュヴァコーナーサナ
- パリヴリッタパールシュヴァコーナーサナ
- プラサーリタパードッターナーサナA〜D
- パールシュヴォッターナーサナ
- ウッティタハスタパーダングシュターサナ
- アルダバッダパドモッターナーサナ
- ウトゥカターサナ
- ヴィラバドラーサナA(Ⅰ)
- ヴィラバドラーサナB(Ⅱ)
- ダンダーサナ
- パスチモッターナーサナ
- プールヴォッターナーサナ
- アルダバッダパドマパスチモッターナーサナ
- ティリヤンムカイカパーダパスチモッターナーサナ
- ジャーヌシルシャーサナA
- ジャーヌシルシャーサナB
- ジャーヌシルシャーサナC
- マリーチアーサナA
- マリーチアーサナB
- マリーチアーサナC
- マリーチアーサナD
- ナヴァーサナ
- ウルドゥヴァダヌラーサナ
- パスチモッターナーサナ
- サルヴァンガーサナ
- ハラーサナ
- カルナピーダーサナ
- ウルドゥヴァパドマーサナ
- ピンダーサナ
- マツィヤーサナ
- ウッターナパーダーサナ
- シルシャーサナ
- バッダパドマーサナ・ヨガムドラー
- パドマーサナ
- ウップルティヒ
- シャヴァーサナ
ポーズ数は多く、休みなく続けていくので、運動量の多いヨガです。ひとりひとりレベルに合わせて難しいポーズは適宜省いたり軽減したりしながら、繰り返し練習していくことで、少しずつできるようになっていく楽しさがあります。
詳細は、以下の記事を参考にしてみてください。
参考:アシュタンガヨガ・ハーフプライマリーのアーサナ(ポーズ)内容&順番図解
ざっと図で見たい方は、以下のマップを参考にしてください。
参考:ASHTANGA JOURNEY MAP HALF PRIMARY|アシュタンガヨガ(ハーフプライマリー)アーサナ習得順図解
シヴァナンダヨガの特徴

シヴァナンダヨガもほぼ流れは決まっていて、こちらはカテゴリー別(たとえば「前屈」「後屈」「逆転」など)に、それぞれ自分のレベルに合ったポーズを選んで行っていく形式です。ポーズの選び方は人それぞれ異なるので、同じクラス中でも隣の人は別のポーズをやっている、ということもあり得ます。
ひとつひとつのポーズに時間をかけて練習し、できるようになってきたら難しいポーズにチャレンジしていきます。ポーズの間には休憩が入り、体の変化に気づきを向けながら深めていきます。
シヴァナンダヨガの基本ポーズの構成は、以下のようになっています。太陽礼拝に含まれるポーズは12個、基本ポーズも12個と数える場合は以下の(1)〜(12)となります。
- シャヴァーサナ
- カパラバティ
- アヌローマヴィローマ
- 太陽礼拝
- レッグレイズ
- シルシャーサナ(1)
- サルヴァンガーサナ(2)
- ハラーサナ(3)
- マツィヤーサナ(4)
- パスチモッターナーサナ(5)
- プールヴォッターナーサナ
- ブジャンガーサナ(6)
- アルダシャラバーサナ
- シャラバーサナ(7)
- ダヌラーサナ(8)
- アルダマツェンドラーサナ(9)
- カカーサナ(10)
- パーダハスターサナ(11)
- トリコーナーサナ(12)
- シャヴァーサナ
シヴァナンダヨガはアシュタンガヨガのクラスよりは行うポーズが少なく、ポーズ間には休憩を挟みながら行うので、ひとつひとつのポーズをしっかり練習できます。レベルに合わせてこれらの基本ポーズを、簡単なポーズや難しいポーズに入れ替えたりしながら練習して深めていきます。
詳細は、以下の記事を参考にしてください。
アシュタンガヨガ・シヴァナンダヨガの太陽礼拝の比較
アシュタンガヨガにもシヴァナンダヨガにも「太陽礼拝」という連続技があります。
同じ太陽礼拝という名前ですが流派によって内容は少し異なり、好みは分かれるかもしれません。
太陽礼拝自体は、呼吸に合わせてポーズをつなぐ動きなので「ヴィンヤサヨガ」の技と言えるかと思いますが、シヴァナンダヨガや一般的なハタヨガのクラスでも冒頭によく行われています。
英語では「Sun Salutation(サンサリュテーション)」、サンスクリット語では「Surya Namaskara(スーリヤ・ナマスカーラ)」などの名前で呼ばれています。
アシュタンガヨガの太陽礼拝
アシュタンガヨガには、太陽礼拝Aと太陽礼拝Bがあります。
現代ヨガのハタヨガクラスでは、主にアシュタンガヨガの太陽礼拝Aをベースにした太陽礼拝が行われているかと思いますので、これを基準に比較してみることにします。
太陽礼拝Aの内容は、以下のとおりです。
- ウルドゥヴァハスターサナ
- ウッターナーサナ
- アルダウッターナーサナ
- (ジャンプバック)チャトランガダンダーサナ
- アップドッグ
- ダウンドッグ
- (ジャンプ)アルダウッターナーサナ
- ウッターナーサナ
- ウルドゥヴァハスターサナ
- サマスティティヒ
チャトランガダンダーサナを、膝をついた8点のポーズに置き換えたり、アップドッグをコブラに置き換えたりなどして軽減して行われていることも多いです。
参考:太陽礼拝Aのアーサナ(ポーズ)順番・ドリシュティ・サンスクリット語カウント
太陽礼拝Bは、Aの内容にウトゥカターサナやヴィラバドラーサナⅠが入るなど、ポーズ数が増えて運動量が多くなっています。
参考:太陽礼拝Bのアーサナ(ポーズ)順番・ドリシュティ・サンスクリット語カウント
シヴァナンダヨガの太陽礼拝
アシュタンガヨガの太陽礼拝との大きな違いは、まず「左右」があるということです。そのため「左右を行って1セット」という数え方をします。
左右の違いがあるポーズは上の写真のアシュワサンチャラナーサナで、前に出す足を左右交互に替えながら行っていきます。
また、立って手をあげるときに、アシュタンガヨガの太陽礼拝ではあまり背骨を反りませんが、シヴァナンダヨガの太陽礼拝では後屈を行います(ハスタウッターナーサナ)。
ダウンドッグ(シヴァナンダヨガではパールヴァターサナまたはマウンテンポーズ)は足を揃えて行うことが多く、アシュタンガヨガのように5呼吸キープは行いません。
シヴァナンダヨガの太陽礼拝は、以下のような内容になっています。
- プラナマーサナ(合掌)
- ハスタウッターナーサナ
- パーダハスターサナ(ウッターナーサナ)
- (右足後ろ)アシュワサンチャラナーサナ
- クンバカーサナ(プランクポーズ)
- アシュタンガナマスカーラ(8点のポーズ)
- ブジャンガーサナ(コブラ)
- パールヴァターサナ(マウンテンポーズ)
- (右足前)アシュワサンチャラナーサナ
- パーダハスターサナ(ウッターナーサナ)
- ハスタウッターナーサナ
- プラナマーサナ(合掌)
アシュワサンチャラナーサナの足を左足から動かす流れに替えて同じように行って、左右1セットになります。
アシュタンガヨガ・シヴァナンダヨガの効果、オススメな人
共通してオススメな人
アシュタンガヨガもシヴァナンダヨガも、どちらも流れが決まっているので、内容を覚えて深めていきたい人にはオススメです。ある程度覚えていれば、予想外のポーズが来て心乱されることがないので、安心して行えます。
(反面、内容が決まっていないクラスは、予想外のポーズが来ることで頭の刺激になったり、新しいポーズに出会うきっかけになって、心身の変化が起こる可能性もあります。)
アシュタンガヨガの効果・オススメな人
アシュタンガヨガは、流れが全て決まっているので、ある程度覚えていれば集中して行えるため「動く瞑想」のように楽しむことができます。
プライマリーシリーズは特に、前屈と股関節を動かすポーズが多く、柔軟性と筋力と持久力・心肺機能などをバランス良く高めていけるかと思います。
シヴァナンダヨガの効果・オススメな人
シヴァナンダヨガは、ひとつひとつのポーズをしっかり練習したい人にはオススメです。また、背骨を動かしたり体幹を強化したりするポーズが多く、また呼吸法も入っているので、自律神経を整える目的や、体幹トレーニングや姿勢改善などにも効果的かと思います。
基本ポーズの順番はチャクラの覚醒にも関係しているので、チャクラ・クンダリニーなど古典的なハタヨーガに通じる行法に興味のある方にも有効なヨガとなります。
フレアプラスのヨガレッスン
フレアプラスでもシヴァナンダヨガ・アシュタンガヨガのレッスンを行っています。
アシュタンガヨガの60分オープンクラスは、基本的にハーフプライマリーの流れで、人それぞれ軽減したり調整しながら行っています。
シヴァナンダヨガも人それぞれに合ったポーズをお教えしているので、みんな同じポーズを行わなくても大丈夫です。
一番多く行っている「ヨガベーシック」のクラスは、シヴァナンダヨガの考え方をベースにして、アシュタンガヨガ・ヴィンヤサヨガの要素も加えながら行っています。呼吸法、太陽礼拝、ヴィンヤサヨガの要素を含めて、バランスの良いヨガにしています。
また「陰ヨガ」のクラスでは、これらのヨガに共通する動きを、陰ヨガ的なアプローチで行っています。陰ヨガ的なやり方は、ポーズ中の適度な脱力の仕方や、深い呼吸の仕方の良い練習になります。一般的なヨガで練習していてもなかなか柔軟性が上がらないという方は、良いヒントになるかもしれません。
プライベートクラスでは、アシュタンガヨガのポーズの詳細な解説など、ひとりひとりに合った練習法をお教えしています。オンラインでも行っています。
自分に合ったヨガを、選んでみてください。











